逆説の日本史 19 幕末年代史編2 井伊直弼と尊王攘夷の謎 (小学館文庫 い 1-34)

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094062861

作品紹介・あらすじ

一発の銃弾が日本の歴史を変えた!

幕府老中首座・堀田正睦は手を焼いていた。“水戸のご老公”こと水戸藩主・
徳川斉昭が、日米修好通商条約の調印に断固反対だったからである。そこで堀田がとった手段は、朝廷から「勅許」を得て斉昭を納得させようという方法であった。だがこの安直な判断は、やがて幕府を崩壊へと導く……。
堀田の目論見は外れ、孝明天皇が条約調印に強く反対したため幕府は勅許無しでの調印を強行する。強引な幕府に対する批判は、一橋派と南紀派が激しく争う将軍継嗣問題をも巻き込んで過熱化し、「幕府VS水戸藩」の対立は決定的になった。この両者の確執は、孝明天皇が水戸藩に発した「戊午の密勅」に激怒した大老・井伊直による「安政の大獄」という粛正の嵐に発展し、吉田松陰、橋本左内といった多くの有為の人材が失われてしまう。
安政7年(1860)3月3日、江戸・桜田門外。季節外れの大雪のなかを登城する井伊の行列に、18人の襲撃者たちが襲いかかった。井伊は駕籠に乗ったまま銃撃され、斬殺される。
相次ぐ流血の事態に幕府の権威は失墜。時代は「討幕」「尊王攘夷」へと変わってゆくのであった。

感想・レビュー・書評

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  • この巻では、大老に就任した井伊直弼が、水戸斉昭に代表される攘夷派に対して弾圧を加えたことを中心に、明治維新へと向かっていくことになる大きな時代のうねりがどのようにしてつくり出されていったのかということが解説されています。

    幕末史にかんしては、さすがに多くの需要があるのか、わたくしのような一般の読者にも親しみやすい解説書が多く刊行されており、シリーズの他の巻にくらべると本書の独自色のようなものはあまり感じられなかったようにも思います。むしろ著者の日本史解釈の大きな枠組みである「言霊信仰」などの話が、史実から離して提示されているような印象も受けてしまいました。

  • ★★★2019年1月レビュー★★★

    『逆説の日本史19』は、島津斉彬の死や安政の大獄など。
    この時代、佐幕の大物2人は孝明天皇と井伊直弼であると筆者は説く。井伊直弼は、開国を貫いた点は評価できる。しかし惜しむらくは井伊の頭には、「幕府」があって「日本」は無かった。
    また、この辺りから孝明天皇の影に見え始めた岩倉具視。
    まだ水戸藩も存在感がある。
    ここから長州がどう出てくるか、20巻も楽しみだ。

  • 作者自滿說這是目前最佳的幕末史書,我覺得大佛次郎寫得比較好耶。可能因為讀了大佛和海音寺的書,覺得差不多也承襲這兩部巨作的內容而已。井伊被寫得很黑我倒是有些意見,我比較認同大佛的塑形。然後作者指出,安政大獄是長野有意誤導井伊認為存在所謂水戶齊昭的陰謀,所以後來才會導致大彈壓(不過死亡人數似乎不超過五十人,果然是怨靈信仰的國家)。再者,齊彬因為違反武家法度要帶兵上京,作者認為他在齊興主導下被暗殺,因此批評史料絕對主義的學者,不過這顯然是海音寺的想法,拾人牙慧而已。然後作者又指出岩倉在此時早就開始活躍,讓孝明天皇一開始生氣後來承認開國,內容卻是所以幕府要答應日後回到攘夷,挖洞給只想解決眼前問題的幕府跳。作者強調一般坊間說孝明天皇討厭外國人,其實不只如此,這是無視宗教的關係,神道的發展及ケガレ的概念,讓天皇信仰上就是厭惡夷狄,再加上當時的天災(地震、コレラ等!!!!!!)被認為都是因為開國引入夷狄的關係。作者指出歷史學者常常忽略這種宗教感情,但是天災是為政者不德這種想法,正是當時一般人的感覺,接連天災自然會投射到是夷狄所致,所以引起一陣攘夷風是正常的。不過長井雅樂被松陰派討厭,他主張的公武合體航海遠略策其實正是後來大日本帝國維新後走的路線,但為何孝明天皇會欣然接受???所謂的欣然接受是真的還是假的?這個理由我倒想知道,如果誠如作者所強調的宗教信仰的關係,何以又如此輕易同意。不過至少這一卷還沒有答案。

  • 久々に幕末関連の本を読んだ。そのため、発見も多かったし、何より読みやすく、分かりやすかった。
    ただ、やはりこの本の通説批判が正しいだろうか?とは疑問を持たざるをえない。

    島津斉彬の死を暗殺と考えることは、通説では行われていない、という主張だが、証拠がない以上、断定して通説にすることはできないし、学者の中でも暗殺と疑われることはわかっていると思う。
    また、この暗殺説も別に珍しい話ではないのに、自説のように語るのがなんとも言えない。
    あとがきの、孝明天皇の攘夷論の背景も、この本の作者だけが主張している論ではないと思うし。

    自分的には評価は高いが、割り引いた解釈を要するとも思うシリーズ。

  • 20160503読了

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著者プロフィール

1954年、名古屋市生まれ。早稲田大学法学部卒業後、TBSに入社。報道局在職中の80年に、『猿丸幻視行』で第26回江戸川乱歩賞を受賞。退社後、執筆活動に専念。独自の歴史観からテーマに斬り込む作品で多くのファンをつかむ。著書は『逆説の日本史』シリーズ(小学館)、『英傑の日本史』『動乱の日本史』シリーズ、『天皇の日本史』、『お金の日本史 和同開珎から渋沢栄一まで』『お金の日本史 近現代編』(いずれもKADOKAWA)など多数。

「2023年 『絶対に民主化しない中国の歴史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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