ライアの祈り (小学館文庫 も 19-4)

著者 :
  • 小学館
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感想 : 39
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  • Amazon.co.jp ・本 (444ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094061475

作品紹介・あらすじ

映画『ライアの祈り』森沢明夫原作小説!

吉永小百合主演映画『ふしぎな岬の物語』原作者としても著名な著者が描く話題映画の原作小説が待望の文庫化。
縄文時代から豊穣な土地として営みが続けられてきた青森八戸に赴任してきた桃子。バツイチ、35歳で恋に臆病になっている。人数あわせで呼ばれた合コンで出会ったのは、何とも風采のあがらない考古学者だった。彼の誘いで遺跡発掘に目覚めた桃子。古代の人々の、豊かで人間愛に満ちた暮らしを知るうちに、背負ってきた様々な呪縛から解き放たれていく。不器用な二人の思いは成就するのか……。縄文と現代、時を隔てながらも進んでゆく2つの感動物語。

感想・レビュー・書評

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  • 森沢明夫さんの青森三部作、完結編。
    恋愛✕歴史✕家族の絆。

    今回のヒロインは大森桃子、数あわせのため参加した合コンで考古学者、佐久間に出会います。
    この二人の恋愛物語に縄文時代のデジャブも関わってくる歴史ロマン的な深みのある作品となっています。
    佐久間から語られる縄文時代の話はとても面白いです。争いはなく、人々は助け合っていたと言います。裕福よりも幸福を求めていたのです。
    大陸との交流や漆器、狩りの他、現代と変わらぬ魚類を食べていたこと。自分達で木の実を集めたり、栗林を作っていたこと。かなり高度な技術を持っていたことに改めて驚きます。60歳くらいまで生きてたことや、小児麻痺を患った者が成人まで生きていた証しもある。
    確かに日本全国で人口推定20万人の時代だから、争う必要もないくらいの豊かさはあったと思います。

    また、桃子と佐久間の行くお店の料理の美味しそうなこと!私はお酒は飲めませんが、ソウルフードを食べてみたい!青森の自然に触れてみたい!と思わずにはいられませんでした。

    繰り返し出てくる縄文編と現代編が織り成すドラマは核心に迫るにつれて物語の面白さをぐっと増していきます。
    第一部で家族の絆を。
    第二部で青春を。
    第三部では恋愛を。
    順番に読んでいくことで、彼らの生活する世界が立体的に再現されていきます。
    読みごたえがありました。

  • 青森三部作もこれで完読。最強のサブキャラだった桃子さんが主人公。三部作の大円団的な雰囲気が良い。第一人称者が変わっていく手法が、心地いいテンポで読み進められます。
    幸せになるコツが見出せる一冊。

  • “青森三部作”の最終話。
    これまで脇役だった桃子さんが主役を張る。

    だけど、残念、あまり面白くない。

    現代の八戸と縄文時代の話が交互に語られて進む物語だが、八戸の名所と旨いものが並ぶばかりの煮えきらない恋愛話が続き、これが太古の因縁と結びついているのは想像できるのだけど、思わせ振りなばかりで最後はなんだか尻切れトンボ。
    それについては察してねという感じのまま、ミサンガの話がパプアニューギニアに飛んでいっちゃうというのはちょっとどうかな。

    また、『人間として一番大切なことは子孫を残すことだ』という言葉に桃子が鈍い痛みを持ち、それを吐露する桃子に対し、母が『子は宿せなくても、もう充分に親孝行は果たした』と鎮めてくれたにもかかわらず、最後には子どもが出来てめでたしめでたしはないんじゃない。
    七海は子を産んで幸せ、桃子は子は授からなくても幸せ、という話にならなかったのだろうか。
    女は子を産んでこそ女、子を授かってこそ幸せという価値観を押しつけられているようで、とても印象が良くなかった。

  • 青森三部作の三作目。
    縄文時代を生きるライアとマウル、親友サラ。
    現代を生きる桃子とクマゴロウさん。
    遠く離れた時代をつなぐ絆にしびれました。
    ロマンを感じるすごく素敵な一冊!

    桃子と考古学者 クマゴロウさんの二人のお付き合いにキュンキュン♪ 縄文の知られざる魅力と「幸せのカタチ」を感じました。
    マウル、サラ、族長、桃子の母、クマゴロウさん。みんなの気持ちが嬉しくて温かくて、自然と涙があふれてしまいます。
    後半は涙、涙でした。

    『普通って、なんて幸せなんだろうーー』

    家族と一緒に笑っていられれば幸せ。
    本当に普通って最高に幸せで、なにものにも代えがたい。
    青森三部作、大好きなシリーズになりました♪

  • お母さんに全てを話すところ、母親は有り難いね

  • 青森三部作のラストというのを知らないで読んでしまった。弥生時代は稲作がもたらされたから豊かになったというふうに教科書で習った時は思っていたのだが、欲が出てきて不幸になっていった。縄文時代は争いがなかったから続いたのだという説は目から鱗だった。「他者に喜ばれることを自分の喜びと感じられるのは人間だけだ」縄文時代のライアが族長に教えられてきた言葉は身に沁みた。ミサンガはちょっとファンタジーだったが、自分が幸せだと思える人が幸せな人だという根本的なことは変わらない。起こることは全て小さなこと。へいちゃらだね。

  • 41/100
    バツイチ、35歳で恋に臆病になっている桃子が人数合わせで呼ばれた合コンで出会ったのは、何とも風采のあがらない考古学者だった。
    彼の誘いで遺跡発掘にめざめた!
    古代の人々の豊かで人間愛に満ちた暮らしを知るうちに、背負ってきた様々な呪縛から解き放たれていく。不器用な2人の思いは…
    縄文と現代、時を隔てながらも進んでゆく二つの感動物語。
    「津軽百年食堂」「青森ドロップキッカーズ」に続く青森三部作!
    三つ読んで完了となる。

  • 他の人の幸せを心から祈る。
    そしてもらった「ありがとう」と信頼が、回り回って自分の窮地を救う祈りに変わる。
    本当にそんな時代だったかはわからないけど、良い時代だなぁ。
    現代はスッキリしたけど、サラとライアとマウルがどうだったのか。
    ちょっと知りたい…
    でも、そこから繋がった桃子とクマゴロウが温かい幸せを手に入れたんだから、良いのか…と思ったり。

  • 青森三部作ですが、この作品から読み始めましたが違和感なく読めました。バツイチで恋に臆病な桃子がとある人と出逢い、縄文時代の前世の自分達と交互に話が続きます。ラストが本当に良かったです。

  • 青森三部作、ついに完結。
    青森出身者としては、青森市、弘前市、八戸市と馴染み深い地名と、地元なのに知らなかったことなどもあり楽しく読めた。

    今回の「ライアの祈り」を読んで、初めて八戸に縄文時代の遺跡があることを知った。三内丸山遺跡とも繋がっていることにも驚いた。
    縄文時代は歴史の授業で何度も何度も習うのに、土器くらいの知識しかなくて、その当時の生活様式や暮らし、食文化などそこまで発展していたことに驚き。弥生時代になって、なぜ縄文時代の時のように生きられなかったのか、それは現代を生きる私達の課題でもあるのではと考えさせられた。
    今回の主人公桃子さんもクマゴロウさんというかけがえのない人に出会えたこと、人と人との出会いは本当にかけがえのないものなのだと思えた一冊。

    地元民としてはいろいろな方にこの三部作を手にとって欲しい。

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著者プロフィール

1969年千葉県生まれ、早稲田大学卒業。2007年『海を抱いたビー玉』で小説家デビュー。『虹の岬の喫茶店』『夏美のホタル』『癒し屋キリコの約束』『きらきら眼鏡』『大事なことほど小声でささやく』等、映像化された作品多数。他の著書に『ヒカルの卵』『エミリの小さな包丁』『おいしくて泣くとき』『ぷくぷく』『本が紡いだ五つの奇跡』等がある。

「2023年 『ロールキャベツ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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