校則なくした中学校 たったひとつの校長ルール: 定期テストも制服も、いじめも不登校もない!笑顔あふれる学び舎はこうしてつくられた

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093965460

作品紹介・あらすじ

話題の中学校長、初の著書

いじめや校内暴力が消え、平均学力や有名校への進学者数も区のトップレベルに――私立中学進学率の高い世田谷にあって、「越境してでも行きたい」と人気の公立中学は、現場叩き上げの校長が“子どもたちから教えてもらったこと”で紡ぎ出した、笑顔あふれる学び舎だ。
同校の目標はただ一つ、「すべての子供たちが3年間を楽しく過ごせる」。
子どもたちが自ら考え、導き出した「やりたいこと」を実現させるために、最大限サポートをしていく学校環境づくり。
そうしてたどり着いたのは、校則や定期テスト、チャイムの廃止、制服の自由化など、普通の中学校では“当たり前”とされることからの解放だった。
注目を集めるインクルーシブ教育やユニバーサルデザイン化、非認知能力を伸ばせる環境、すべては“まず理論ありき”ではなく、子どもの特性を踏まえながら、必要に応じて採用されてきた独自のオペレーティングシステム。
不登校への取り組みや部活の改善、さらには教師のあり方の見直しまで、なぜそれが必要なのか、過程や理由も、初めて明かされている。
さらに親子関係や家庭学習など、難しい思春期特有の家庭教育のヒントも満載。新しい教育の書になっている。

【編集担当からのおすすめ情報】
●お知らせ●9月28日(土)午後9時半より『ウワサの保護者会』(NHK Eテ)で世田谷区立桜丘中学校と西郷校長の取り組みが紹介されます。

再放送予定:Eテレ/10月5日(土) 午後0時30分より。NHK総合/10月3日(木) 午前11時05分より。(一部の地域を除く)

全国から視察が殺到し、越境や転校してくる生徒がひっきりなしの世田谷区立桜丘中学校。
実際に訪れてまず感じたことは、「これほど子どもの幸せ、そして将来までを考えて行動できる校長先生が実在するなんて」ということでした。

「どんな学校ですか?」と尋ねられると、西郷校長は必ず、「子どもたちを見ていただければわかると思います」と答えられます。
当の生徒たちは、どんなときもニコニコと笑顔が絶えません。そして、いかに学校生活が楽しいか、そして校長以下先生がたが親身になってくれるかを、口々に教えてくれます。

子どもは誰しも多かれ少なかれ悩みはあり、一人ひとりが抱える事情も違いますが、その違いを西郷校長らは真正面から受け止めています。

子どもを愛するとはどういうことか、将来を見据え、社会で生きていくために必要な教えるべきことは何かという、「親としてのあり方」をも、本書では存分に記しています。

「ああ、私もこんな先生と出会いたかった」「せめて子どもはこんな風に育てたい」――そう思える1冊になっています。

教育に携わるかたはもちろん、子育てに迷うすべての親御さんに、こんなに幸せな子育て術があることを知っていただけたら幸いです。

感想・レビュー・書評

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  • 教師の方や親だけでなく、どんな人にも読んでほしい。
    生きづらさはいろんな場所で生まれているけれど、学校で生まれる生きづらさの正体が、よくわかります。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    この本には自分と考えのあうトップ(校長)がくるを待つのではなく、自ら校長となった著者が、約10年にわたり教育の現場でどう生きてきたのかが語られています。

    学校は何かにつけて「ひとつになろう」と呼びかけてきます。
    ルールを守らないことで叱られ、罵られ、そうした生徒たちはますます自分に自信をなくし、殻に閉じこもります。
    そんな学校に通いたい人など、いるでしょうか?

    「私は『普通の子ども』などという子は存在しないと考えています。」(95・96ページ)

    この考え方を教師だけでなく誰もが持つことができたら、「空気を読めないヤツはダメ」とか、「できない人間をいじめよう」などということは、起こらないはずです。

    子どもは子どもらしく、教師は教師らしく、オトナはオトナらしく。
    そんな考え方こそ生きづらさの源であり、そんな仮面は脱ぎ捨てて、ひとりの人として生徒と向き合えばいいのだと、この本は教えてくれています。

    教師、親だけでなく、生きづらさを抱えているたくさんの人に読んでほしい1冊です。

  • すごかった。こんな公立中学が実在するなんて信じられない。教育とはこうあって欲しいと思うすべてが叶えられていて衝撃を受けた。
    私は中学時代の3年間ずっと学校という場所に対する居心地の悪さを覚えていて、無意味な校則に馬鹿馬鹿しいと呆れつつ、でも反発するほどの勇気はなくて不満ばかり抱えながら優等生を演じ切った。
    成績も素行も良く手のかからない生徒だと思われていただろうが、心の中では先生たちを馬鹿にしていたし、学校とはつまるところ周囲から逸脱せずに社会の理不尽を叩き込まれるだけの矯正施設、檻なんだと諦めていた。
    ところがどうだろう。世田谷区立桜丘中学校では、こんなにも生徒たちが自由に奔放に生き生きと過ごしている。"学び"の本質があった。先生は敵じゃ無い。ここは檻なんかじゃない。私がここで中学時代を過ごせたならどれほど救われただろう、と、読みながら時折胸がいっぱいになって涙がこぼれるほど感銘を受けた。

    p23 自然科学の多くは、観察によって法則を発見しましたが、それと同じです。アイデアの源泉はすべて、目の前の子ども。子どもから発想をもらうのです。

    p24 この学校の目標は、生徒が「自分」を取り戻すことです。喜びに満ちた「素」の自分に戻ることです。思いのまま自分を表現できることが、その子にとっていちばん輝ける瞬間なのです。それを促してあげることが、私たちの仕事です。

    p32 「ゆうゆうタイム」は、教員の人としての成長を促す場でもあるのです。生徒に「教える」のではなく、生徒から「教わる」のです。学校は、教員自身にとっても、「学びの場」なのです。

    p56 子どもたちはやがて、論理的に考えることを放棄してしまいます。そして、矛盾がある不合理な規則であっても、単に思考を停止して耐え忍ぶようになっていきます。「先生の指示を守る」ことのほうが、無用なエネルギーも消費せず、周囲に波風を立てないからです。

    p57 「校則という規範がないと、先生によって言うことが違ってくるんじゃないか」こんな風に言ってくる人がいます。それでいい、と私は考えています。それこそまさに「社会」ですよね?社会では、人によって価値観や考え方かま違うことは当たり前なのです。意見や考えは違って当たり前。ではどうするか。自分はどちらの意見が正しいと思うのか、自分で判断すればいいのです。

    p95 私は「普通の子ども」などという子は存在しないと考えています。"子どもたちのデコボコを、デコボコのままで認めることが鍵"だと考えています。その上でそのデコボコを吸収できるような仕掛け、パソコンのOSのような環境を作りたいと考えました。

    p109 中学校の生徒会もそうです。大半の学校で形骸化しています。生徒から意見が出ることはほとんどなく、仮に出たとしても、結局、実施できるかどうかは、教員の判断になってしまう。これでは、生徒も「意見を出してみよう」ということにはなりません。私はこういう形式的な生徒総会が大嫌いです。そこで私は、生徒たちに向かって約束しました。「生徒総会で決まったことは、必ず実現させます」

    p120 勉強するもうひとつの意味は、差別意識をなくすことです。ヘイトスピーチの多くは、無知であることからきています。正しい知識がないばかりに、必要のない差別意識を抱いたり、マイノリティーー少数の人たちや外国の方に敵意を持ったりするのです。正しい知識から差別意識は生まれません。

    p130 何でもいいのです。子どもひとりひとりの個性が異なるように、「何が楽しいか」を決定するのは、校長でも学校でも教員でもなく、子どもなのです。545人の生徒がいたら、545通りの「楽しさ」があるのです。でも545人全員に、「学校に行けば何か楽しいことがある」と思ってほしいのです。

    p139 私たち親の役目は、社会のルールを教え込むことでも、よその子と同じように育てることでもありません。「安心できる環境」を与えてあげることだけなのです。

  • 校長の英断でできた「校則をなくす」。
    しかし、本来、信頼関係ができているなら、校則は不要なのだと気づかせてくれる。また、居心地の良い学校には校則はなくても良いのだとわかる。
    ただし、信頼関係を築くのには時間がかかること、根気がいることもきちんとかかれており、教師の力量と度量が問われるということも描かれている。
    この校長だからできたことなのかもしれないが、本来はどの学校もこうあるべきなのだと強く思う。

  • こんな楽しい学校なら行きたいなー。

    著者のトークショーを聴きに行ったとき、「クラス全体でみない。一人一人をみる」「校則はいじめの原因のひとつ」とおっしゃってて、なるほどなーと思った。

    受験を機に、公立と私立の両方を見たけど、公立の弱点は、文化祭がないことと、部活があまり盛んじゃないこと。資金があるから私立の方が英語の授業が充実している。

    本書を読む限り、公立も熱意さえあれば変革はできる。公立の弱みも強みに変えられる。
    出る杭は打たれやすいけど、出過ぎていたらほっておかれるらしい。なら、校則もなくて、教育委員会ではなくて生徒に向き合っている、桜丘中のような学校が、どんどん増えればいいのにと切に感じる。

  • 改めてぶっ飛んでいる校長先生でした。うちの生徒が修学旅行で桜丘中を訪問し、教育理念から美味しいラーメン屋まで教わって帰ってきた。建前じゃなくて本質的なことが述べられている。自分たち教員が必死に守ろうとしているのは、秩序であって子どもじゃないのではないか。真剣に考えさせられた。

  • 読んでいて、すごく優しい気持ちになれた。
    自分が子どもの頃も、今も、あるべき姿に縛られすぎるが故に、人間関係がうまくいかないというのはすごく感じる。
    でも特に教育の世界って、それが当たり前でやってきてるから、おかしいなぁと思っても、従わざるを得ないようなとこあって。
    そんなことときちんと向き合って、なぜ、なんのためにやるのか?ということを教員や生徒と対話しながら見出していく姿に、感動。
    こんな校長先生が、全国の学校にいてくれたらきっと日本の教育はすごーく変わるだろうなぁと思った。

    でも人任せでなく、自分ができることから始めていきたいと思える、前向きになれる一冊だった!

  • 2020/1/13
    麹町中学校の工藤勇一さんと相通ずるものを感じた一冊。子どもの可能性を広げることが学校に必要なことであるはずなのに、現在の学校の多くは子どもの可能性や、思考する、実践する機会を奪う、個性を潰してしまっている場になっていないかという思いを前面に感じました。
    また、桜丘中学校の西郷孝彦校長もまた、とても柔軟な考え方の人なんだなあというのが文章を読んでいてすごく伝わってきます。
    トップダウンでただ命令や規則を守らせるために生活することに何の意味があるのか、社会に出た時に子どもたちが直面する現実と現在の学校は大きく乖離している現状は否めないと思います。
    いきなり全部を実施するのは厳しいとは思いますが、この本を読んで自分が共感したことやなるほどと思ったことはうまく取り入れて実践へと繋げていきたいなと思いました。
    西郷校長は教員も広い世界を見ていつでも転職できるようにしなさいと言っているみたいです。そんな色々なことに対して前年度を踏襲して…とか、今までこうだったからそれで…という考えに縛られないで、時代に合わせて思考を変化させていける人でありたいなと思いました。

  • 過干渉をやめる。子どもの主体性に任せる。表面的に真似してもうまくはいかないだろう。子どもの失敗を許せる覚悟や辛抱強さが必要だと感じた。心に怒りをもって働く。

  • 『感想』
    〇学校のトップである校長は学校を変えることができることを示した1冊。

    〇この方は最後同じ中学校で10年いられたからよかったが、大きな教育組織の一つとして、人事異動は必要であり、そうであると大きく変わることはしづらい。この後に配置された校長は、もし西郷氏の方針に反対だったら変えてもいいのだが、それはできるだろうか。

    〇学校ってのは規則を守る、集団生活に適応する、そういう所を学ぶ場所でもある。桜丘中学校で学んだことを心に留め、卒業後周りの環境に合わせてその力を使えればいいが、そのまま高校に行ったら結構ギャップあるよね。そのフォローも大事だと思う。

  • 印象に残った文章

    朝礼できちんとさせることが、学校生活で1番大切なことではありません。学校生活で1番大事なことはただひとつ。子供たちが幸せな3年間を送ること。それだけです。

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