- Amazon.co.jp ・本 (395ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093897716
作品紹介・あらすじ
通貨と権力の150年史
中国の通貨の種類は一時、千を超えたとも言われている。
国内は、もとよりばらばら。列強の外貨は押し寄せる。もたもたしているうち、日本の「円」とつながる通貨が、満州国のみならず攻め込んでくる。清朝末期から百年の通貨事情は、中国という国家が置かれていた状況と、まさにコインの表裏である。この時代に刻まれた記憶から、中国の人々の胸の奥底には、国が分裂の危機にさらされるのではないかという恐怖がある。とりわけ統治者には。 ――まえがきより
毛沢東が統一の「象徴」として産み落とし、トウ小平が「改革開放」のために育み、習近平が「世界制覇」の足がかりとした。人民元の正史を辿りつつ、戦前、「反日通貨」としてばらまかれ、戦後、「円」の盛衰を反面教師にしてきた裏面史も明らかにする。
世界経済の主役に躍り出た紅い通貨――。
取材期間20年を経て、その秘史に分け入る。
【目次】
プロローグ 瓜を割られる恐怖
1章 通貨と権力
2章 「Y」をめぐって
3章 良貨か、悪貨か
4章 危機と競争
5章 サークルズ、それは圓の仲間たち
6章 通貨の番人
7章 覇権
エピローグ 顔のない通貨
【編集担当からのおすすめ情報】
計7年間にわたり、朝日新聞・中国(北京・上海)特派員を務めた筆者が、通貨を通して国を、経済を、中国指導者を映した圧巻のノンフィクションです。
中国の歴代指導者がいかに通貨をもって国を治めようとしたのか――。本書では、それが「物語」として紡がれています。
海の向こうの話と考えてはいけません。
過去、欧米からの「人民元切り上げ」要求に異常なまでの拒絶反応を示してきた中国指導部ですが、その背景には、日本における「プラザ合意→バブル崩壊」という構図があることも分かります。つまり、中国指導部は、日本の金融政策の成否をしっかりと研究し、自らの指針としているのです。
人民元全150年史を描いた歴史書としても、中国経済の趨勢を描いたビジネス書としても、毛沢東から習近平に到る歴代指導者の人物列伝としても、本書は読むことができます。
感想・レビュー・書評
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【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/712622 -
日本の通貨当局の中国に対する関わりの記述は面白かった。色々と中国の改革に協力してきたんだなと。
全体としては、人民元にまつわる歴史や国際化、AIIBの話などが著者の人脈を使った大物へのインタビューを交えて語られる。ただ、内容自体は一般向けということもありやや薄っぺらい印象。 -
書籍についてこういった公開の場に書くと、身近なところからクレームが入るので、読後記は控えさせていただきます。
http://www.rockfield.net/wordpress/?p=11531 -
朝日新聞の記者が、通貨を軸にして、共産党政権成立前の通貨乱立の時代から、野心的な国際化をにらむ現代まで、中国経済の進展を描いたもの。
現在の中国を見ていると、このような経済大国になったのは歴史の必然の様にも思えるが、巧みな経済運営や僥倖によるもので、違う歴史もあり得たのだと感じさせる。
主要な人物へのインタビューを織り交ぜ、分かり易く、読み物としても面白い。もう少し突っ込んだ洞察があったらよかった。