ルポ 百田尚樹現象: 愛国ポピュリズムの現在地

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093887687

作品紹介・あらすじ

百田尚樹独占インタビュー5時間半!


百田尚樹は“ヒーロー”か“ぺてん師”か――
5時間半にわたる独占インタビューで
本人が初めて語った「百田尚樹現象」の本質とは?
見城徹、花田紀凱、小林よしのり、西尾幹二、藤岡信勝ら、
百田現象に影響を及ぼした関係者の実名証言も多数収録。
当事者の言葉から2010年代の日本を象徴する社会現象の謎に迫る。

電子書籍にて先行配信。

* * *

ブレイディみかこ氏(ライター・コラムニスト)、絶賛!
「目を閉じていても現象は消え去らない。
壁を超えてみるまでそこにあるものは見えない。
書かれなければならない作品が、
読まれなければならない時に出て来た」

* * *

百田尚樹は、2010年代の日本を象徴する社会現象とも呼べる存在だ。

彼の言葉には多くの批判が集まる一方、数々のベストセラーを生み出してもきた。
賛否両論を巻き起こしながら、彼が日本中の注目を集めるのはなぜか?

百田本人のインタビューに加え、見城徹、花田紀凱、小林よしのり、西尾幹二、藤岡信勝ら関係者の証言をもとに、
百田の「放送作家」「小説家」「右派論客」としての3つの顔に迫る。


【編集担当からのおすすめ情報】
百田尚樹氏を批評する本はこれまで数多く出版されていますが、本書の最大の違いは、本人と周辺者の直接取材から現象を読み解いていることです。
対象に肉薄しないと、見えてこないものがある。ノンフィクションでなければ描くことができなかった一冊です。

感想・レビュー・書評

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  • あやしい表紙ですが、内容はしっかりしていました。
    百田尚樹を知ったのは、岩手県盛岡市のさわや書店が、当時ほとんど注目されていなかった『永遠のゼロ』という小説を約10,000冊も売ったというニュースだった。読んでみたものの、印象に残るような作品ではなかったため、その後も特に読むことはなかったのですが、時折、Twitterでの排外的、差別的な発言が話題になっていたりしていて気にはなっていました。
    そんな中で手に取った本書は、百田本人も含め、問題になった『日本国紀』を出版した幻冬舎の見城徹にもインタビューを行うなど、著者が丁寧に取材を重ねており、”百田尚樹現象”なるものを通して見えてくる現代社会の姿がスッと腑に落ちた。
    百田現象を説明するために「新しい教科書をつくる会」をかなり詳細に振り返っている点も、最初は「?」と思ったが、読み通してみると納得できるものだった。

  • Newsweek誌の特集からその補強的続編として読んだ。イデオロギーと情がキーワードであり、90年代のつくる会の活動との比較から現代の分断の空虚さを暴こうという試み。裏テーマとして「言葉の伝え方」に対する執筆者の思いを感じた。ネトウヨはパヨクを説得させることは出来ないし逆もまた然り。そして両者共に「普通の人々」を取り込むことが出来ない。そんな中で一際輝くのが無自覚なポピュリストたる百田尚樹という皮肉。ポピュリズムは右派も左派も正しい答えに辿り着くことはない。彼らが敵視するリベラルエリートもまた彼らを説き伏せることへ出来ない。個人的には「清貧な知性」のようなものに期待を抱くがそんなものは本当に存在するのだろうか…

  • 右派も左派も結局はどこかの火付け役から乗じる政治マーケティングに踊らされているんだなあとしみじみ。

    百田尚樹に対するイメージをクロス分析させてみたら面白いんだろうな、と、この本読んで感じた。
    にしても「百田尚樹現象」って秀逸な名前だなあ。「菅現象」これからあったりして。笑 
    (もうパンケーキ事件ではじまってるかも!?)

  • 「普通の人々」とは

  • サブタイトルに愛国ポピュリズムの現在地とあった事から、左派的偏りが有るかと思ったが、百田尚樹=ネトウヨ的な短絡的な思考ではなく、ブームとも呼べる現状を本人へのインタビューを皮切りに、多くの人に取材し分析を重ねている。

    2019年現在を第一章、そして保守層のうねりの原点となった1996年を第二章として構成している。第一章では本人、第二章では当時戦争論を著し脚光を浴びた小林よしのりさんに焦点を当て、そこから発展していった新しい教科書を作る会、それを作った当時の ムーブメントを検証分析している。

    特徴的なのは左右問わず、直接インタビューを試みて、分析をしていることである。実地主義とでも言えるだろうか。しっかり地に足のついた分析がなされている。

    (当時は顕在化していなかったが)(左派)メディアに抑圧された右派の反転攻勢という意味では、どちらの時代も同じなのかもしれない。ただ1996年に起きた現象は、いわゆる問題意識を持った人達の攻勢だったのに対し、現在の現象はもっと一般大衆を巻き込んだポピュリズム的な色が見える。これはその当時無かったSNSの発達にともない、マスコミの流す情報に疑問を持つ一定層がヨコヨコで繋がれたのも大きい要因だろう。

    自ら情報発信できるようネット社会において、イデオロギーに囚われる事無く是々非々で臨む姿が、大衆に受け入れられたのだろう。良書である。

  • 前半ではタイトル通り百田尚樹の現象について、インタビューも交えて書かれる。これは良いのですが、後半では90年代のつくる会についての記述がほとんどで、この本を手に取る人はだいたい知ってるのではないかとも思いました。
    とはいえ結論としては、つくる会の活動と百田尚樹は地続きのように見えて明らかな切断がある、という内容なので、現象の違いを浮き彫りにするためには必要な記述だったのだろうと思います。

    つくる会自体も当時は冷ややかに見られがちでしたが、そこからさらに劣化したかのように思われている百田尚樹的なものが、どうしてそのような印象を持たれてしまうかについては、わかりやすくまとまっていると思います。

  • 2022年5月30日読了

  • 本人とその周辺の人へのインタビューならびに来歴、作品を通して百田尚樹がなぜここまで支持されるのかに迫るだけでなく、中盤以降の「つくる会」の章で自分の知らない90年以降の右派論壇の概略も追えてめっちゃおもしろいし超参考になった。あとこれ読んでTwitterの「右でも左でもない普通の日本人」と書く人が少し見えてきて、要は中国と韓国に懐疑を抱く人、反中・反韓感情を持つ人が今の"普通(マジョリティ)の日本人"で、そしてそれは必ずしも与党支持や保守と結びつくわけでないってことが言語化できるレベルではおれはわかってなかった。

  • 21/12/15まで、50%ポイントバック(Kindle版)。どうしようなかあ・・・。

  • どこまで理解できたのだろうか?という箇所もいくつもありつつ
    終章を読んでいると突然これまでの内容がグワーッと脳内に流れ込んで来るような感覚になったことに驚く
    と同時にこれまで読んだもの、聞いた事、見てきたもの、考えを巡らせた事たちへ向かって意識なのか記憶なのかが、まるで神龍に願いを叶えてもらった後のドラゴンボールのようにあちこちへ飛んでいき、それぞれが繋がる様子を傍観者のように見ているかのような
    体験をした感がある、まったく不思議だった

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著者プロフィール

1984年生まれ、東京都出身。2006年立命館大学法学部卒業、同年に毎日新聞入社。岡山支局、大阪社会部、デジタル報道センターを経て、2016 年1月にBuzzFeed Japan に入社。

「2017年 『リスクと生きる、死者と生きる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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