- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093886291
作品紹介・あらすじ
謎の多い国ロシアの実像を池上彰が解説
「おそろしあ」という言葉がある。「恐ろしい」と「ロシア」を合体させた造語。
イギリスに亡命していた元ロシア軍のスパイの男性が毒ガスで殺されかかったり、国際紛争への介入を繰り返したり。
そんなニュースを見ると、「怖い国」と思いがちだがロシアにはそれなりの事情と論理がある、と池上彰は語る。
隣の大国でありながら、ロシアのことを私たちはどこまで知っているだろうか。
北方領土問題をめぐるロシアの言い分と日本の主張の食い違いは何か?
建国当初は世界の期待も大きかったソ連型社会主義はなぜ崩壊したのか?
今のロシアはソ連の時代と同じなのか、違うのか?
絶大な権力を握るプーチン大統領はロシアをどこへ持っていきたいのか?
ロシアという国の基礎基本から、今後ロシアがどのような方針を打ち出しそうかまで、渋谷教育学園渋谷中学校・高等学校、同幕張中学校・高等学校の生徒たちに行った渾身の授業をもとに構成。
【編集担当からのおすすめ情報】
知識欲に溢れた生徒たちの「いい質問」も読みどころです。
感想・レビュー・書評
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ロシアのウクライナ侵攻は、単純な領土拡大の野望だけが原因ではなく、きちんとした背景を学び直したくて手に取った。
ある国が別の国に干渉すると、何らかの形で影響が出る。それが長い年月を経て、後世にトラブルとなる遠因になりうるもの。多くの国と国境を接するロシアだからこそ、複雑な事情が絡み合い、「ロシアにはロシアの論理がある」ことを学んだ。
また、エネルギー資源と絡めた考察も興味深い。北米でのシェールオイル採掘開発、そして地球温暖化に伴う北極海底資源開発など、国際動向(原油価格)が変わるなかで、サハリンの天然ガスを武器に日本と「取引」する思惑もようやく理解した。
池上氏によると、情報には「インフォメーション」と「インテリジェンス」の2通りがあるとのこと。用語(インフォメーション)の暗記では頭の中に残らない。断片的に得た知識をもとに、因果関係を考えてこそ、インテリジェンスという形になって、自分の頭に残り続けるということ。
歴史を学ぶ目的と楽しい学び方を、池上さんの力強い言葉から感じとることができた。渋谷幕張の生徒の皆さんが羨ましいです。
別のシリーズも読んでみたいと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
私が読む池上彰氏の5冊目にして初の図書館本。
今までに読んだ4冊は珍しく全部購入したものだった。
それは、何事かをタイムリーに知りたいと思っている時に図書館では何年待ちにもなってしまうからだったのかな?(自分でもわからないけれど)
そこいくと本書は2018年発行なので、現在は全く待たずに借りられた。
構成が良く、大変わかりやすい。
以前読んで不要に思ったギャグも本書には無くて良かった。
今後も妙なウケを狙わずに、本書のようなわかりやすく為になる本を出して欲しい。
本書を読んで、ロシアだけでなくアメリカやドイツも相当悪(ワル)だったよなぁという印象を受けた。
また、恥ずかしながら私は北方領土問題について今まで調べたことがなく、本書によって初めて触れ、少しは理解できた(ような気がする)。
しかし細かいことは覚えてはいられず、図書館に本書を返却したら北方領土問題の複雑な経緯をまた忘れてしまいそうだ。
池上さんの説明は本当にわかりやすくて良いのだが、気づかぬ内に誘導されないように冷静に読もうとは思う。 -
このシリーズは、テーマの取り方が単なる歴史の振り返りではないところが面白いと思う。
ロシアという国、社会主義がどう日本や世界情勢に影響しているか分かりやすかった。
関連の『東欧・旧ソ連の国々』も読んでみたい。 -
これもずっと読みたくて、
当時はAmazonでずっと売り切れており、
たまたま地元の本屋で見つけて購入しました。
ロシアがどうしてウクライナへ侵攻したのか、
そもそもロシアはどんな国で文化、歴史を持っているのか、
何も知らないままロシアを怖い国、と決めて良いのか、
脳みその軽い私の頭では判断できず、
池上さんの知識を少し分けていただきました。苦笑
とにかく広くて寒い国。
ユートピアを目指していた国。
だけど、現実はともて厳しい。
隣国への対応もそうですが、
アメリカとの関係、ヨーロッパとの関係、
第一次、第二次世界大戦も含め、
歴史がつながって今のロシアがあるんですね。
ただ、過去の歴代指導者たちが、
表でも裏でも批判したり都合の悪い人たちを
大量に処刑、暗殺、殺害していたことに、とても驚きました。
知らないだけで、各国(日本でも)あるのでしょうか。。
ロシアの歴史や目指していた方向を知って、
ロシアに対するイメージが変わりました。
それでも、他国に侵攻、戦争が許されるものではないですが。 -
ウクライナ侵攻がなぜ起こったのか、ニュースではよく分からないと感じて池上さんの本を読んでみた。ロシアという国を、地形、軍事、宗教、外交、領土問題、経済などの多角的な視点で捉えること、長い歴史を振り返ることで今起こっている戦争について考え方の変化もあった。
よくわからないから怖い国と一方的に決めつけないでほしい、歴史を知ってほしいという池上さんのメッセージが印象的だった。
マスメディアからの偏った情報のインプットだけでなく、様々な情報を集めて自分の意見を持つ努力をしていきたい。 -
S図書館
シリーズ7 2018年
1章 プーチン大統領から見る ロシア
2章 社会主義国家から見る ロシア
3章 東西冷戦とソ連崩壊から見る ロシア
4章 北方領土問題から見る ロシア
5章 国際紛争への介入から見る ロシア
6章 エネルギー資源と外交政策から見る ロシア
《感想》
今まで読んできたシリーズに書かれていたことと重なる部分があり、理解しやすかった
ここへきて疑問が浮かんだ
104「アメリカは日本に原爆を投下することで、巨大な軍事力を持っていることをソ連に見せつけたかった」とあった
断定していいのだろうか?
生徒に話すのに都合のよいストーリーを言ってないか?と気になった
聞くところによると、池上氏のテレビ番組が終わった後に、内容が間違っているというSNSの書き込みがあるそうだ
このSNSを100%信じる訳ではないが、意見なのか、事実なのかはきちんと記述してほしい所ではある
そうなると、今まで読んできた本の中にも意見が含まれているかもしれない
自分なりに、年号付きの事実はOKにして、あやふやで意見かもと感じた場合は、そういう見解もあるな程度に留めようと思った
《内容》自分まとめ
○ロシアがウクライナに固執する理由
・ウクライナはロシアのルーツ
187ロシアのキエフはロシアという国名の語源にもなっているルーシー公国の発祥の地だ
ロシアはキエフから始まり、東へどんどん広がって形作られた国
ソ連に属していた時代は「ソ連のパンかご」と呼ばれていた
・クリミア半島は歴史的にロシアのもの
ソ連時代、肥沃な土地を持つウクライナのご機嫌を取るために、ロシア領だったクリミア半島をウクライナにプレゼントした
ソ連時代はクリミア半島もウクライナも、ソ連を構成する共和国の一つ
ただソ連が崩壊し、ウクライナはロシアから分離独立した
その時にクリミア半島もウクライナになった ウクライナからすればロシアからもらったもの
一方ロシアからすれば、歴史的にロシアのものと主張した
その背景には、不凍港のクリミア半島を手放したくないという戦略がある
2014年3月にロシアがクリミア半島を一方的に併合した
・軍事機密の流出を避けたい
ソ連時代のウクライナは、ソ連の軍需工場地帯だった
もしウクライナが西側諸国の仲間になったら 軍事機密が全て流出してしまう
それだけは絶対避けたいとのこと -
安定の池上彰。中学生への講義がベースとなっているので、整理されてるしわかりやすい。
あと、佐藤優さんと共著の「ロシアを知る」で佐藤さんが話してたネタが出て来て、あの対談で得た知識なのかなと思ったり。笑
ソ連は、第二次世界大戦のナチス・ドイツとの戦争で2600万人を超える死者を出し、これは世界最大であること。そのトラウマが現在もロシアに残っていることは、今のウクライナ侵攻を理解する上で重要だ。平和ボケした日本人の一人である私にとって、何故しきりにナチスを引き合いに出すのか、いまいちピンと来なかったのだが、歴史的背景を踏まえれば納得がいく。
あと、スパイの情報源は98%がその国の新聞や雑誌、TVというのは意外。逆に言えば、その国のメディア情報に直接当たることが意外と重要なんだとも思う。 -
この本は「世界の見方」という池上彰さんの授業を書籍化したもの。
収録されているのは、タイトルの通り、ロシアに関する授業。
受講できた生徒たちが羨ましい〜!
しかもこの生徒たち、的確な答えと質問で池上センセーを唸らせる。そりゃあ、池上センセーの講座を受講するだけのことはあるよな…と納得w
(続きは書評ブログでどうぞ)
https://www.everyday-book-reviews.com/entry/%E6%84%9F%E6%83%B3_%E6%B1%A0%E4%B8%8A%E5%BD%B0%E3%81%AE%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E8%A6%8B%E6%96%B9_%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2_%E6%B1%A0%E4%B8%8A%E5%BD%B0 -
今の世界情勢を理解するために読んでみた。
ロシアの歴史がわかるとロシアの理屈がわかる。社会人として必要な知識をわかりやすく得ることができたな。