- Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093885836
作品紹介・あらすじ
明快で痛快な「クラシック音楽の本質と粋」
著者は、サントリー学芸賞・吉田秀和賞ほか受賞多数、NHK・Eテレ「スコラ」(坂本龍一の音楽番組)出演でも知られる京大教授・岡田暁生氏。岡田氏が、ベストセラー『西洋音楽史』と『音楽の聴き方』の粋をよりわかりやすく、より楽しめる1冊として入門者向けに仕立てました。かつ新しい視点も交えて従来の岡田ファンも充分満足する内容になっています。
「音楽史の流れ」「モーツァルトとベートーヴェンの違いについて」などの、ありがちな項目から「うんざりするほど長い音楽について」「ワケのわからない音楽について」など、この手の本にはなかった項目まで、40のキーワードを駆使して「クラシック音楽の本質と粋」が解説されています。全編320ページのボリュームで書かれたクラシック音楽の本が、一度読み始めるととまらない極上のエンタテインメントとなっています。
感想・レビュー・書評
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『西洋音楽史』『音楽の聴き方』を初学者向けにしたようなエッセイ集で,音楽を聴く大衆側から捉えようという意思を感じる。
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クラシック、特にオケ曲関係の記事が、詳しく、読みやすく、そして、とても面白く書かれている。冒頭から、いかに、一般の方との距離感を自覚できていないかに気付かされる。なんで一つの曲なのに四つも曲(楽章のこと)があるのかとか、作曲者、曲目、演奏者(演奏団体、指揮者、録音年)など、さまざまなパラメータがあって一つ違えば別物だし、それぞれの名称がどのパラメータになるのか知っておく必要がある。自分が初心者だったころにもそんなこと思ったなとか、また、以前、出演したコンサートを聴きに来てくれた知人に「演奏後、指揮者が何度も出たり入ったりするの、なんで?」とあとから聞かれたことを思い出した。
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クラシック音楽のエッセイとして、著者の豊富な経験と見識が滲み出ていて、肩肘張らずに読んで面白い本だった。
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2021/1/11
これは面白い。クラシックについてずっと考えていた疑問がいくつかあったが、絶妙に、そして的確に答えてくれた一冊。所々顔を出す岡田先生の素直な意見や本音は音楽に対する姿勢を正されるし、他方で「そういうフランクな理解でいいのか!」といった安心感をもたらしてくれる。
クラシックにおけるフランス革命の影響はよく聞くことであるが、ウィーン体制下における音楽という視点は勉強になった。 -
クラシック音楽を歴史の境界点や流れに絡めて説明してくれる良著。また読みたい。
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著者の名前に見覚えはあったが、このリーダビリティの高さには覚えがなく…検索したら、「デスマスク」の人だった。あれもたいそう面白い本だったが、筆致はもう少しシリアスだった気もする。あちらの題材が題材だったからなのか、本書が肩から力を抜いて書いた随想だからなのか。
とまれとびきり読みやすく、楽しい本である。強いて言えば多少タイトル詐欺というか、一見さんにクラシック音楽の定義を講義する本ではない。もっと敷居が低く、とっつきやすい。
個人的に愛好する論者の方はみなそうなのだが、ことクラシック音楽の評論は、「ノリノリでカッコイイ」とか「怨念がおんねん、だがそこがいいw」とか「正直、バロックってみんな同じに聞こえる(汗」とか、率直な感想を等身大の言葉で綴っているものがいい。たたでさえ観念的で、さらに遠く数百年の時を経たものを「天上的な霊感に満ちた」などと形容されたところで、とっつきにくいものがさらにとっつきにくくなるだけだ。そこのところ、「コンサートで気持ちよく居眠りした」と書く高名な音楽学者、最高である。
「本物」の自信は、しょーもないハッタリなど必要としないのだ。
2018/11/15読了 -
振り返りには良かったかも。初心者向けの部分から独断と偏見に近いような部分まで、こういう考えもあるのかと思いながら読みました。私もバッハとベートーベンが特に好きです。先日、サントリーホールでサイモン・ラトル指揮、ロンドン交響楽団のマーラー9番を聴きましたが、大ホール全体が息を飲んで静まり返っている中、とんでもないアホバカの客が最終音が消えると同時に拍手を始めて、コンサートの全てをぶち壊してくれました。こういうクソ野郎を死刑にしろと書いて欲しいです。
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音楽学者の著者による、クラシック音楽入門である。
すでに類書が山ほどあるわけだが、この著者の本は前に『音楽の聴き方』というのを読んだことがあり、これが大変面白かった。なので、「岡田暁生が書いたクラシック入門なら読んでみたい」と思ったしだい。
期待を裏切らない力作であった。本書の内容は、クラシックにくわしい人にはあたりまえのことが多いのかもしれないが、門外漢の私にはとても新鮮だった。
面白くてためになる。著者は初心者向けに、語り口調に近い平明な文体を採用しているが、それでもなお、文章に格調と知的興奮がある。
また、シロウトから見ると“得体の知れない大陸”のように思えるクラシック音楽の世界を、著者は手際よく腑分けし、すっきりとした全体の見取り図を読者に提供してくれる。
たとえば、次のような一節――。
〝図式的にいって、私たちがクラシックと呼んでいるヨーロッパの近代音楽には二つの「極」があった。ドイツの交響曲とイタリアのオペラである。ドイツvsイタリア、そして交響曲vsオペラ――両者はもう水と油のように音楽文化が違うのだ。ちなみにフランスやロシアなど、その他の国の音楽文化の体質は、何らかの形で両者の間にあると思っておけばいい。あくまで一般論であるが、ドイツの交響曲文化ほど真剣難解長大ではなく、さりとてイタリアのオペラ文化ほど娯楽性が強いわけでもない、といったところだ。
「難解な音楽」としてのクラシックのイメージは、専らドイツ/オーストリア音楽によって作られてきた。このことをどれだけ強調してもしすぎではない。クラシックのすべてが「真剣な音楽」(単なる娯楽ではない音楽)というわけではないのである。〟
質の高いクラシック入門であると同時に、音楽エッセイとしても愉しめる書。 -
これからクラシックを聴きたいという人には恰好の入門書。ロマン主義大好き人間を自称する著者は、実はバロック音楽を聞いてもあまり区別がつかないと書く。この潔さに、ああこの人は信頼のおける人だなあと実感。
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◆イメージと違う?
目からウロコの解説書◆
表紙はいたってシンプルな「♪」が1つ。
そして丸くデザインされている。クラシック音楽という堅く、とっつきにくいイメージを払しょくするには、と考えられた結果と予想できる。そして著者が語っていることも当然、というよりかなり驚く内容となっている。例えば「うんざりするほど長い音楽について」
多くの人が感じているであろう表現もしかり、その音楽の聴き方は・・・。なんだそうか、ちょっと聴いてみようかなと思わせる1冊。