- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093885706
作品紹介・あらすじ
”宴の後”を希望へとつなぐ未来の処方箋
かつて日本銀行政策委員会審議委員として、日本経済の表も裏も、光も影も知り尽くした著者が、東京五輪後の日本経済のゆくえを、鋭く予想します。
日本銀行による「異次元緩和」と「東京五輪開催決定」によって、株高や不動産価格の高騰、さらには企業の高収益が実現し、表向きは順調に見える日本経済。しかし、日本経済の未来にあるのは、決して明るい材料ばかりではありません。世界最悪レベルにある政府債務や、急激に進行する少子高齢化、長引くデフレ…。東京五輪後には、日本経済は、これまでの人類が経験したことのない、未知の世界へと突入すると、著者は説きます。では、それは一体、どんな姿なのか?
「株価はどうなる?」「為替はどうなる?」「不動産価格はどうなる?」「金融危機は再びやってくるのか?」「ハイパーインフレはおこるのか?」「日本の財政は破綻するのか?」…。日本の金融政策の最前線にいた著者だからこそ語ることのできる、日本経済の近未来予想図。
【編集担当からのおすすめ情報】
著者は、世界各国の政府関係者や中央銀行首脳とも広く交流を持ち、彼らと対等に議論を交わし、政策提言をおこなうなど、まさに世界レベルでの活躍を続けています。そんな著者だからこそ語ることのできる、日本経済の真実がここにあります。また本書では、日本経済だけではなく、世界経済についても詳しく解説してあり、国内外で活躍するビジネスマンにとって、いわば経済学の教科書としても最適です。
感想・レビュー・書評
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2020年の東京オリンピック後の日本経済を予想した一冊。筆者の立場がはっきりしているからこそ、新しい観点で経済を見ることができる。
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日本円だけで資産を保有するのは危険です。
元日銀審議委員として客観的に現在の状況と将来の見通しが述べられています。日本経済を占う上でも、自分の資産を守るためにも一読する価値あります。 -
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171205 白井さゆり 東京五輪後の日本経済
難しい金融と世界情勢を平易に解説している姿勢は立派
現在の異常な金融緩和政策に対する警鐘の書だが、諦めムードも強い
歴史上、前例のない状態の先に何が待っているか
⇒コントロールできない事態 混乱
「統合政府論」(220)だけはいただけない B/Sが理解されていない
持続不能な金融緩和を続けることは国家に対する背任行為と言うべき
日本国民の不安は根源的 ①財政②社会保障
どちらも持続性はないのに誰も手をつけようとしない 手をつけられない
太平洋戦争と同じで、誰も止められない 国家として脳死状態
安倍首相と黒田総裁には国家に対する責任意識があるのだろうか
安倍首相は祖父と孫、二人のA級戦犯を家系から出すことになる
日本銀行の金融緩和政策
国債を80兆円購入 現実は60兆円 残高400兆円
株式を 6兆円購入 残高15兆円→2020年には30兆円 -
元日銀審議委員で、モーサテでもおなじみの白井氏による、日本経済の課題と今後の展望について述べた本。経済の素人に対するような簡易な説明で、わかりやすく、よく理解できた。分析は緻密で深く説得力があった。特に、不動産と財政赤字に関する解説が、印象的であった。
「株式市場において、今やGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)と日本銀行は、それぞれ日本株の第1位と第3位の大株主となっています」p43
「(テーパリング)ETFの買い入れ量を減らしていくこと」p49
「一般家計の金融資産は、2017年現在で約1800兆円ですが、なんとその半分以上の900兆円程度もの金融資産が、預金・現金なのです。これは先進国中でも異例のことといえます」p55
「日本のデフレは「構造的な問題」であるため、金融緩和によっては解決できないと考え、大規模な金融緩和には消極的であった白川前総裁の考え方のほうが、結果的には正しかったともいえます」p81
「多くの国民が、可処分所得が低迷する中で生活は楽ではないと感じているところに、企業が商品価値を上げてしまうと、消費者からは見向きをされなくなり、自社製品がまったく売れないという状態に陥ってしまいます」p105
「1990年代以降、日本では多くの国民が、どんどん可処分所得が減っていく状況の中で、少しでも節約を心がけて生活するという「身の丈消費」に徹してしまっています」p107
「これまでの教科書では「人手不足だと賃金が上がり、販売価格も上がっていく」とされてきました。ところが日本では、賃金を上げる前に企業が企業活動を抑制し、その結果、人手不足にもかかわらず賃金上昇圧力が働かないのです。つまり、現在の日本では、これまでの教科書の常識を超えた現象が起きている、というわけです」p113
「いっこうに財政再建や構造改革も進まず、一方で少子高齢化が急速に進んでいるにもかかわらず、その対策も小手先のものにとどまっている」p211
「(IMF指摘)日本は、税収が歳出と比べてあまりに少ないため、資金調達を国債発行などに大きく頼る依存度が、先進国で最大」p213
「(ヘッジファンドなど外国人投資家)私たちは日本経済に未来があるなどとは考えていないし、興味もない。日本に投資しているのは、ここ1~2年で儲ける機会があると見ているだけだ」p216
「こうした状況を緩和するのには、まず移民の受け入れは不可避です」p233
「いよいよ企業淘汰が始まることになります」p235
「日本政府はこれまでずっと、つねに問題を先送りする政策を続けてきました。しかしそれはやがて、必ず将来世代にツケを回すことになります」p241
「今の日本には、厳しい現実から目を背けて、今さえよければいい、という風潮が漂っているように思える」p244
「これから人手不足が深刻化する日本社会では、ひとりでも多くの働き手を必要としています。本人のやる気さえあれば、たとえいくつになっても、やってみたかった仕事や憧れだった仕事に実際につけるチャンスが、これまで以上にたくさんあります」p247 -
かなりバランスがとれている作品。
リフレ論に警戒しつつも、極端な悲観論についても否定的に論述している。 -
手段など直接的な言及は避けている印象があるがこれから日本の進んでいく「成長なき社会」について示唆に富む部分が多い。
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黒田金融緩和の縮小は必然。
金利上昇、日銀がETF買いを縮小すれば株は下落。
株下落で日銀のバランスシート悪化。
円の暴落はおこらないが、国債の買い手がいなくなる・
富裕層は、既に米ドル買いに走っている。
人口減少で不動産は2020年以降下落。
不動産に融資している地方の金融機関があぶない。
スウェーデンを参考に。キャッシュレス化を進める。
銀行の窓口は不要になる(既に半減を発表しているが)
スウェーデンには銀行が6つしかない。日本は多数。
銀行・企業の淘汰が進む。
人口減少が需要不足とデフレの原因だからこれも必然。
外国建ての資産運用で、自己防衛が必要、ということ。
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2020年を私たちは、どのように迎えるのか。
そして、その時、日本経済は、何を見ているのか。
あと、2年だ。 -
大手銀行は不動産関連の投資はREITにする。地方銀行や信用金庫は、個人に積極的に融資している。
スウェーデンは移民や難民の受け入れで住宅価格が高騰している。
バブル期の株の外国人保有率は7%前後。今は30%前後。
ブルーデンス政策=持合株式の日銀による取得。現在は売却中だが、その分ETFを買っている。
個人は身の丈消費。
企業は利益が伸びても売上が伸びているわけではないので積極的に設備投資はしない。
日本型デフレ。需要不足が構造的になっている。
統計的に物価が下がっても上がったと思ってしまう消費者心理がある。食料とエネルギー価格に反応しやすい。
ファースとフード店が、人手不足で深夜営業をやめるのは、企業活動の拡大が望めないことを示している。
通常なら、人件費を上げて企業活動を維持しようとするはず。=成長制約=活動を抑制することで経済活動が縮小する=今までは想定されていなかった。
海外の買収資金の用意のため賃金をあげられない。
3つの貧困層=老人世帯、フリーターの若者、シングルマザー。しかし、まとまった声には成りにくい。
売上高増加を伴わない最高益=経費の削減と円安によるもの。
アメリカは売上も伸びている。
中国発のリーマンショックはないが、中国経済は購買力平価でみたGDPは世界一位。減速による間接的な影響は大きい。
東京五輪の浮揚効果は開催一年前まで=2019年夏まで。
富裕層はひそかにドル買いを勧めている。
IMFは日本がもはや財政再建が可能、とは見ていない。
世界標準はユーロ圏の対GDP比60%。
人口減少による人手不足。しかし需要は伸びないので経済は活性化しない。単に人手が不足するだけ。
更に需要減が続くと企業淘汰が始まりチェーン店だけが残る可能性がある。