漂流郵便局: 届け先のわからない手紙、預かります

著者 :
  • 小学館
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感想 : 62
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093884020

作品紹介・あらすじ

届け先不明の想いが流れつく郵便局の物語

恋人へ、10年後の孫へ、がんで急逝した夫へ、
11歳で天国に行ってしまった息子へ、祖父母の愛犬へ、ボイジャー1号へ・・・。
心に響き、心を揺さぶる手紙69通を収録。

これらは瀬戸内海の小さな島・粟島にある、不思議な郵便局に寄せられた手紙。

瓶に詰められた手紙が海を漂うように、
届けたくても届け先がわからない想いがブリキ製の漂流私書箱に集まる。
その名は「漂流郵便局」。
旧粟島郵便局を現代アートとしてよみがえらせたものだ。

胸の内に秘めた想いが綴られた手紙と、瀬戸内国際芸術祭作品としての精巧なしつらい、ゆったりと時がすすむ粟島の佇まい…。
涙とともに、なぜか懐かしく心地よく癒される世界へと、読む人を誘う。

感想・レビュー・書評

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  • 綴る大切さを感じた一冊。

    届け先のない手紙を預かるという瀬戸内海に浮かぶ粟島にある「漂流郵便局」

    人って、時にどうしようもない心を抱え、置き場所を見つけられない時がある。
    そんな時に胸のうちをとにかく言葉に綴ってみたら…。

    文字は永遠に残るからこそ、想いが風化されるわけじゃない証になる。
    だからこそ言葉に綴る大切さを感じた。

    決して漂着しなくても良い。
    想いに終わりはないから。
    ずっとゆらゆら漂って、波に削られるように心も丸くなっていくのをいつか愛おしく思えたら…。

    そんな優しい眼差しを送る郵便局の佇まいにじんわり感動。

  • 何も知らないまま、図書館で見つけた本。
    漂流??でもって郵便局??
    半信半疑で読んでみたら、なんと実在する。
    瀬戸内海に浮かぶ粟島。
    ここ最近は瀬戸内の島はアートで溢れているのだ。そういうわけか。

    そして実際に、ハガキを出す事が出来る。
    言えなかった事や、面と向かっては言えない事。
    人それぞれの思いをここで受け取ってもらえる。

    なんて素敵なんだろう。そして出してみようと思った。

  • 瀬戸内海の小さな島・粟島に実在する「漂流郵便局」。
    届け先の分からない手紙はここに流れ着き、受取人を静かに待つ。

    恋人へ、10年後の自分へ、未来の孫へ、地元を離れた息子へ、急逝した友人へ…
    文字に起こすことで人は、心に溜め込んだものを消化する。
    道なき道を彷徨う旅人の背中を見届けているような気分に。

    ふとクラフト・エヴィング商會の作品を思い出した。
    手書きっていいな。

  • ドラマを見たあと、たまたま図書館で目について借りてきた。行ってみたい。局長の笑顔がとても素敵。

  • 文喫さんのオススメ本だった本書。
    面白そうだなーと手にとってみたら、想像と違っていた。

    届け先のわからない手紙、預かります。とあったので、そういうハートウォーミング的な小説なのかと思った。
    しかし、中身は、瀬戸内海に浮かぶ粟島にある、実在の旧粟島郵便局。
    瀬戸内国際芸術祭で発表されたアート作品だった。
    アート作品は、芸術祭が終わった後、現在も郵便局長を置き、宛先のない手紙を保管してくれている。実在の物語。

    宛先に届かない手書きの手紙たちは、たくさんの思いを打ち明けている。
    時に泣きそうになる手紙もある。
    力強く励まされる手紙もある。
    気づかされる手紙もある。

    いつか、この地に降り立って、届け先のない手紙たちに、自分もあってみたいなと思うと同時に、自分も出してみたくなった。

    さて。
    自分は誰宛にだすだろうか。
    過去、未来の自分?
    亡くなった身内?

  • 2019/04/09読了


    一種のアート的な存在でも
    ここに手紙を出し、夢を描いたり、救われたり、気持ちを整理している人はいる。
    色んな手紙と書き手がいる。その中心となっているというのがとても感銘を受ける。
    いつか行ってみたい。誰かにたどり着くようなエネルギーを持つ手紙を読んでみたいし書いてもみたい。
    それは宇宙人とかロケットとか、存在が誰それでなくとも受け入れてくれる広さすら感じる。思いを届けるところに、制限などないのだと知る。

  • すごく面白かった。
    もう届くはずのない手紙、と、忘れきれない想い。
    エモかった。

  • タイトルから小説と思って手に取ったら、瀬戸内国際芸術祭出展作品のルポ本だった。届け先の分からない手紙を預かる郵便局。死者や長年連絡の付かないかつての大事な人などに向けて思いの綴られた手紙が集められ、他人のそれを見ることができるインスタレーション。作者は「私たちは大きな流れの中の一部に過ぎない」という。なるほど、人にとって、多くの思いが集まったこの漂流郵便局で、他の人の思いを見る行為は、自らの思いを大きな流れの中で相対化する意味があるのかな、と思えた。それは自分の思いを、一歩前に進める行為なんだろうな。

  • 涙腺刺激されましたわ、
    手書きの文字ってどんな人か想像しちゃうからいいよね。
    いつもより綺麗とか、崩れてるとか、そんなことで'どんな状況で書いたんだろ~'とか考えるの楽しい。
    誰しも吐き出したいことってあるんよ

  • 真実は、小説より奇なりで。手書きは、活字よりも心を表す。よね。やっぱり。

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