- Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093883634
作品紹介・あらすじ
小説のような実話。壮絶だけど明るい介護。
その日がいつかくることはわかっていた。著者63歳の秋。歌人の93歳父が入院したのだ。88歳認知症の母には介護が必要だ。母は自分が息子であることもわからないが、ついに妻子を残し帰郷することを決意する。
その後も入退院を繰り返す両親。男ひとりの孤独な介護は続く。疲れを紛らわせるための酒が進むのも、むべなるかな。2年後90歳の母を看取るが、父の介護は終わらない。
父と弟は歌人、著者自身も元文芸誌編集長で現役編集者と文芸家族だからこそ、介護生活もどこか味がある。著者自身が交通事故に遭って入院するなど、度重なる絶体絶命のピンチは壮絶だが、それを感じさせない飄々とした筆致が冴える。
感想・レビュー・書評
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男手1人で両親を看取る。
1人は完全な認知症で1人は老衰とともに緩やかに認知症が進む。金銭的な明細もつまびらかに記載し、介護の入門書の趣を見せる。
ところどころに入る両親との掛け合いがリアルに面白い。うちの両親と設定がそっくり。私が同居してない処だけ違うけど。要介護の合計度数まで一緒。参考にします。 -
両親の介護、本当に大変、将来はわからない。
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定年退職した著者が、実家に戻り両親の介護の奮闘をつづったノンフィクション。
元編集者だけあって、赤裸々な両親との確執、老人ホームの悪口や日々の交通費・治療費の明細、そして他人には相談しにくい介護の悩みを、あけすけに事細かく語っている。
介護中に自身もストレスで体をこわしたり白内障の手術を受けたり交通事故に遭ったりと、まさに七転八倒の壮絶な老老介護の日々。やっと母親を看取ったと思ったら、今度は父親のボケが始まり新たな介護生活が待っていた。
ただ著者も語っているように、いざというとき頼れる親族や地元の友人がいた著者の環境はまだ恵まれている方なのだろう。親の介護と同時に、自分が介護される時のことを考えさせられる一冊。