- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093867085
作品紹介・あらすじ
戦時下と現代の熱い駅伝魂を描く感涙小説 ボストンマラソンの会場で、とある選手から古びたボロボロの日記を受け取った新米駅伝監督・成竹と学生ナンバーワンランナー神原。それは、戦時下に箱根駅伝開催に尽力したとある大学生の日記だった。その日記から過去を覗いた二人が思い知ったのは、美談でも爽やかな青春でもない、戦中戦後の彼らの壮絶な軌跡。そこには「どうしても、箱根駅伝を走ってから死にたい」という切実で一途な学生達の想いが溢れていた。 現代の「当たり前」は昔の人々が死ぬ気で勝ちとってきた想いの積み重ねと知った彼らは・・・・・・・。そして、戦時下の駅伝を調べ、追う彼らに起きた、信じられないような奇跡とは。 先人達の熱い想いが襷として繋がり、、2024年、第100回箱根駅伝は開催される。 熱涙間違いなしの青春スポーツ小説、最高傑作です。 【編集担当からのおすすめ情報】 いち駅伝ファンとして2024年1月の第100回箱根駅伝を盛り上げたい、との一方的な熱い想いからこの企画は生まれました。毎年溢れる感動を与えてくれる駅伝。戦時下に『幻の箱根駅伝』と呼ばれる大会があったことは知っていました。今回そこにスポットを当てた文芸作品に仕上げていただきたい、とお願いしたところ、駅伝愛に溢れる額賀澪さんからこんなにも素敵な原稿が上がってきました。著者・額賀澪さんの駅伝ベストセラー小説『タスキメシ』シリーズでも、多くの駅伝関係者を唸らせたリアルな競技描写と心理風景は今回も健在です。その上で、史実に基づいた取材と調査を重ねた本作品。 何度涙腺が崩壊したことか。読後は感動のあまりしばらく現実世界に戻ってこられませんでした。青春スポーツ小説史上に残る大傑作だと思います。 駅伝好き、スポーツ好きに限らず一人でも多くの方に届けたい作品です。 重いテーマを扱いながらも読後に残る爽快感は、額賀作品の魅力です。
感想・レビュー・書評
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箱根駅伝は2024年が100回の記念大会だったのか。
現代と戦時下での箱根駅伝を走る者達の様子が、交互に描かれていて、テンポよく読めた。
タスキに想いを寄せて走るという点では同じだけど、戦時下で箱根にかける想いはまさに命懸けで、ずっしりと重たい。
マラソンランナー神原の心情の変化が、それを物語っているなと思った。
今年の箱根駅伝を観る前に読むべきだったなぁ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
戦争と駅伝の一冊。
泣かずにいられようか。
走ってから死にたい、ただそれだけの想いに。
昭和と令和を結びながら、ゴールが靖国神社だった幻の箱根駅伝を描いた物語は戦争という時代に抗えない苦しみ、消えない心の灯火が終始、涙となり溢れた。
忍び寄る戦禍、1区を走ったその足での有無をいわせずの入営に胸が詰まり、改めて戦争が奪った時間の重みを感じずにはいられない。
終盤は時を超えたタスキを思い、勢いが増す涙。
当たり前を享受できることがどれだけ幸せなことか。
先を生きた人達から今を生きる者に託されたタスキを考えずにはいられない。 -
第100回箱根駅伝が開催されたこの時期に読み終わり、とても感慨深い。
今までのタスキメシシリーズとは一線を画して、別の角度から箱根駅伝を捉えたストーリーで、シリーズの中ではダントツ一番。
箱根駅伝は関東学連の学生たちが運営しているのは知っていたが、戦前、戦中も学生たちが苦労を重ねながら、運営に携わっていたとは。
駅伝を走ったあとに出兵した多くの学生たちがいたこと、戦後の箱根駅伝復活の際にも無事復学できた学生たちがいたことを忘れてはならない。
額賀さんの『モノクロの夏に帰る』もそうだったが、戦時中と現代社会を行き来した作品はみな心に残る。
『タスキメシ箱根』と同様、大学名をわかるようにもじってるのが「額賀さん、一生懸命考えたな」と。 -
箱根駅伝の歴史に基づくフィクションということで、あの大学この大学を連想させる架空の大学名やチームカラー、大学駅伝好きとしてマニアックな点にいちいち反応しながら読む。
第二次世界大戦によって中止を余儀なくされた箱根駅伝、その代替となる青梅駅伝、第22回としてカウントされながらも異質の箱根駅伝……。戦争が日本の学生に与えた深い傷を描き、読んでいる私も胸が痛くなる。
スポーツを楽しむことが禁じられ、鍛錬や戦技としてのスポーツのみ許される。そんな窮屈な世界で、それでも箱根駅伝を走りたいという学生の強い想いが生み出した第22回箱根駅伝。「走れてよかった、これで後悔なく死ねる」と思いながら走る。そんな悲しい駅伝があったなんて、知らなかった……。
今ある当たり前が、どれだけありがたいものなのか。噛み締めながら読んだ。
また、一方で今年は第100回箱根駅伝が開催された、記念すべき年でもある。物語は昭和と令和を行き来するのだが、令和のエースがまた新しいタイプのエースで、それがなかなかよかった。
駅伝が嫌いで、駅伝を走らない4年生エース。頑なに箱根駅伝を拒むエースなのだ。「えっ、この人どうしたら箱根走るの?物語的にこの人が走らないと終われないけど、走る未来が全く見えない!」と、先の気になる展開に。
そして一番最後のページの、100回大会の総合結果と区間賞一覧を見て、えっ、この人……!?となったのは私だけではないはず。この気持ちだれかと語り合いたい!
後半はいろんなことが繋がっていく。過去があって、現在があるのだ、というように。先人たちの思いを知って、ますます箱根駅伝への思い入れが深まる作品だった。 -
箱根駅伝を最後に戦争に行かされた学生達が居た。戦争を再びするような国にならないように、憲法9条を守らねば!
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厚めの本ですが夢中になりました。
令和と昭和の編で語られますが、切り替えがスムーズで、読みやすかったです。
途中、実話・実名なのか気になり後ろを見て後悔しました。ネタバレ注意です。
まさか、そこに繋がりがあったとは。そこからはますます読み応えがあり、オススメの一冊になりました。 -
今年2024年に、第100回目を迎えた箱根駅伝。
その軌跡を史実をもとに描いた作品。
本作は駅伝を描いたこれまでの「タスキメシ」シリーズとはまた違い、重厚で感慨深かった。
こんな歴史があったなんて初めて知りました。
こんなに強い思いで、これほどまでに駅伝開催のために尽力し、想いを引き継いできた人がいた事実に胸が熱くなりました。
戦中戦後、駅伝開催の実現に尽力した人たち。
人生最後の駅伝でタスキをつないだ選手たち。
彼らが一体どれほどの思いを抱えていたのか…
ボストンで受け取った古い日記から、少しずつ紐解かれていく箱根駅伝の歴史と関わってきた人々。
過酷な時代を乗り越えて脈々と受け継がれてきた箱根駅伝と、長いときを経て明らかになった奇跡に感動した!
あ~、出来ることなら箱根駅伝をみる前に読みたかったなぁ。
壮大な物語を堪能しました!! -
額賀さんのこのシリーズ全て読んでます。ランナーなので、共感できる部分が多く大好きです。
そして、箱根駅伝が益々好きになりました。史実に基づいたフィクションで、戦前・戦後・現代とどれだけの人を箱根は魅了してきたのかよくわかりました。どれだけの人が動いて箱根駅伝が開催開催できたのか。今も開催されているのか。
これからも大学生そして国民を魅了する大会として開催されていくんだろうなと思いました。
やっぱり走るのは楽しいですね!
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「タスキメシ」シリーズを読んできて本書を見た時「あっ、きた!タスキ」と顔が綻んでしまった。
今度はどんな「タスキ」を描いてくれるのかと楽しみにしていた…ら今作は箱根駅伝の歴史!
そーきたか!やはり唸りますね!
100回大会を迎えた箱根駅伝、今年も勿論テレビに齧り付いて見てました。
意外なドラマを見せてくれた100回大会、ここまで続けられた背景にこんなドラマがあったとは…
時折テレビで昔の映像が流れたり、昔走った事のあるランナーの思い出話を見かける。
なんとなく見ていた人々の中にこんなにも熱く誇らしい歴史があったとは…
走っている本人や家族、監督や仲間との絆をテーマに一人一人のドラマを…背景をクローズアップする番組や箱根駅伝放送中にも紹介がある。
神原八雲君の様にそこに違和感を覚える人もいると思うが自分個人としてはそんな背景を心に様々な人々の生きざまが垣間見える気がして好ましく思って見ている。
そこに力やエネルギーをもらっているのも確かだ。
でもクローズアップされるのは選手関係者だけではないのだ、と、本書にこの箱根駅伝そのものをクローズアップすべきだと思わされた。
生活をするのも…いや、生きる事そのものが困難な中、どんな形であれど箱根駅伝を守り続けてくれた人々がいるから、その想いがあるからこうして今も箱根駅伝は健在し走る人達の生きる目的を、生きがいを、そして沢山の人々に楽しみを勇気をエネルギーを感動を与え続けていてくれる。
そこから選手として生き残れるのはほんの一握り。多くのランナーは箱根がラスト、一般の会社に籍を置くことになる。
でも4年間箱根を目指して走り続けてきた事は必ずその先の人生を生き抜く力をランナー自身に与えてくれていると信じたい。
生きる事もままならない中必死に箱根駅伝を守り続けてくれた人達のおかげで今があるように、あの4年間があったからこその今だ!と思える力をきっと根付かせてくれているはず。
101回大会…今迄の歴史と関わった全ての人達の熱さと誇りを噛みしめながらまたテレビに齧り付くんだろうなぁ〜
今年の箱根を見る前に読みたかった…悔しい^^;
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タスキはキズナと感じました。
少し出来過ぎな感じはしますけど心が打たれますね。
駅伝はあまり観た事は無かったけど観てみたいと思います。