星に願いを

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 199
感想 : 32
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093866972

感想・レビュー・書評

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  • 鈴木るりかさんの本は初読みでした。ラジオで紹介されていて読んだのですが驚きました。この歳でここまで深くものを見る眼があるんだと。
    どんどん引き込まれて、花ちゃんのお祖母さんとお母さんの辛い過去に打ちのめされ、賢人君に少し救いを見る。本当にいい本でした。
    デビュー作から読んでみたい作家さんです。

  • 「愛情と憎悪」、「赦しと罰」、「生と死」。このアンビバレントな想いが凝縮された1冊。「金の星」では貧乏だけど逞しく生きる花ちゃんの中学生活、母親の愛情をしっかり受けて、前を向いて歩いていく。花ちゃんの言動・行動には確固たるモラルを感じた。香川君が背負った十字架、軽くなるといいな。次に「金の星」、タツヨばあちゃんの「赦しを乞う」話し。絶対に赦されない、でも赦しを乞い続けるしかない。背負った十字架は娘、孫にはどう映ったのか?人生は大小それぞれだが十字架を背負わざるを得ない。愛情と赦しでそれを軽くできるはず。⑤

  • 中学生のデビュー作から全て読んでいるが、彼女も大学生か早いものだなと、親戚のおばちゃん感覚で読了。

    軽いタッチで読みやすい文章ながら、突然重たい展開に持ち込んでくる。まだ20歳とは思えない語彙力と知識量に驚くばかり。

    ちょっと切ない恋心やおばあちゃんとお母さんの悲しい過去もわかり、彼女の成長と共に花実ちゃんも立派に成長していて、まだまだこのシリーズは続きそうな予感。

    このシリーズも期待したいが、大人になった鈴木るりかの書く新たな物語も読んでみたい。

  • 滅多に付けない星満点だよ、るりかちゃんは天才小説家だよ。20歳でこの文才……「さよなら田中さん」の続編だが、発売日に一気読み!面白くて切なくて、本題「星に願いを」は、おばあちゃんの過去が明かされ、泣けて泣けて。賢人の最後の言葉も良かった…震えた。田中さんシリーズ全部読み直そう。金の星の方も良かった…花ちゃんは本当に素敵な子だよ、大好き。一番好きな小説です!

  • シリーズの花実ちゃん。
    スイス銀行のくだりは面白すぎる。
    母親が病院にいるから早退って、驚く出来事。
    無事で良かった。
    タツヨさんの日記は、想像以上に壮絶な人生だったことをつづっていて、びっくりした。
    お金って人を狂わせる。
    タツヨさんのお兄さんがひどい。
    花ちゃんの母親真千子の幼い頃など、辛い。
    タツヨさんが遺した日記は、すごい作品だった。
    賢人の推理は、本当にグッジョブ。
    辛さがマイルドになった。
    毎回思うけど、鈴木るりかさんは天才だと思う。
    人を惹きつける作品を描ける作家さんだと思う。すごい。
    今後も楽しみ。

  • 「老後は、子育ての成績表ですよ」という言葉をラジオで聞き、自分の今を思う花実の祖母。彼女の日記に圧倒された。多くの悔恨と諦めようとする中での少しの期待があった。そうなった理由がまた悲しく、どうしようもなかったのかもしれないが、自分がやって来たことへの始末のつけ方は、それでよかったのではと思った。負の連鎖を断ち切る難しさの中で生きてきて、断ち切る兆しを見られたことも、彼女にとっては最高の時間だったはず。

    でも彼女の娘、つまり花実の母親の真千子も、負の連鎖の犠牲者でたくさん辛い目にあってきた。それを本当に頑張って頑張って生きてきたこと、花実と正面から向き合って育てていることは、すごいことだと思う。真千子は大家さんといつもふざけた話をして、2人とも明るくて楽しい人だが、辛いことを経験しているからこそなんだと思う。

    そして、賢人が花実の祖母の日記について語った内容に驚いた。人がわかり合える難しさ、わからなさの怖さを考えさせられた。このことは、花実がずっと考えて抱えていくことだけれど、星に願った思いのように、そうであってほしいと私も思った。祖父と祖母が光の中を歩いていけてますようにと。

    その後に改めて、花実の担任だった木戸先生の言葉の重みを感じた。「すべてを知ることがいいことだとは限りません。その必要もないんです。そして知ってしまったあとでは、知る前にはもう戻れないんですよ」

    この先、皆がどういう道を歩いていくのかとても気になる。いつかこの続編が出版されるのが、楽しみ。



  • いつも明るく楽しい気分になる「田中さん」シリーズ第4弾。
    本作では、涙を流しながらのラスト。
    まさかこんなラストを迎えるなんて! 
    花ちゃんの母・真千子さんの絶縁状態だった母娘の過去に迫る作品でした。

    戦後間もない時代、不遇の家庭環境で家族の温かみを感じることのなかった祖母。そして母娘が一緒に過ごしたのはほんの短い幼少期だけ。
    祖母が遺した日記に記された想いはーー。

    花ちゃんの母でもある娘・真千子への愛情と激しい後悔、自責の念が来る日も来る日も綴られていて、苦しくて苦しくて胸が締め付けられる。
    「おかーしゃーん」の声が耳から離れなくて堪らない。

    祖母への想いを溢れさせる花ちゃんと賢人の会話、言葉の一つ一つが染みる。
    花ちゃんが人にはどうにもならない事情や立場があり、それぞれの想いがあること。考え続けることに思いを巡らすシーンに成長を感じた。

    これまでの作品とはガラッと雰囲気が異なり、深みのある作品。
    切なくて、苦しくて、胸がぎゅっとなる。
    感情を大きく揺さぶられる作品でした。

  • なかなかディープなお話しで、育児、金、贖罪と息苦しく読み進めていきました。

    今では産後うつとか、メンタルの不調も理解がひろまってきていたり、生活もしやすく感じる部分も増えたように思いますが、それでも悩み苦しむ人は数しれず。
    お金や心に余裕が無いと荒みます。
    にっちもさっちもいかなくなる前に、悩みを打ち明けたり、相談出来る人がいたらと思います。
    誰とも心が通わず、孤独を感じることほど辛いことはありません。

    若手作家さんながら、非常に考えさせられる内容でハッとさせられました。

  • 鈴木るりかの星に願いをを読みました。
    私を月に連れてっての続編です。
    今回は、鬼ばばあのお祖母さんが亡くなり、その残された日記が主な内容です。
    前回で鬼ばばあの中にもおやとと思わせる部分があったのですが、それを裏づける日記の内容でした。
    やっぱり映画になって欲しいかも(^-^)

  • 6冊目の鈴木るりかさん。14歳で作家デビューし、現在、早稲田大学の2年生だそうです。20歳になったるりかさんの新作はデビュー作『さよなら、田中さん』の田中親娘シリーズの4作目。

    中学3年生になった花実ちゃん。毎回のことですが、田中母と大家のおばちゃんの会話が本当におもしろい。そして田中母のポジティブシンキング「幸せは自分の心が決める」が素晴らしい。

    今作は田中母がひったくり被害にあってしまうお話と花実の祖母タツヨのお話。田中母と祖母との確執の経緯が明らかに…。大家のおばちゃんの息子で元ニートの賢人くんが何気に頼りになってるなぁ。

    前半は私の好きなるりか節炸裂。そして後半は重くて深い余韻を残します。久しぶりのシリーズ最新作で、前のお話の記憶がおぼろげで、やっぱり前作を読み返しておくべきでした。

    人生、答えの出ない、答えのない問題っていっぱいあるよね。考え続けていくことで、いつか自分なりの決着がつくといいよね。

    次は花実ちゃんのお父さんの話も知りたいし、賢人くんのその後も知りたい。

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著者プロフィール

鈴木 るりか(すずき るりか)
2003年東京都生まれ。史上初、小学4年生、5年生、6年生時に3年連続で小学館主催『12歳の文学賞』大賞を受賞。あさのあつこさん石田衣良さん、西原理恵子さんらが、その才能を手放しで絶賛した「スーパー中学生」。2017年、14歳の誕生日に大賞受賞作を含めた連作短編集『さよなら、田中さん』発表。近年では珍しいローティーンの文壇デビューで、各メディアの注目を集めベストセラーに。

鈴木るりかの作品

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