私を月に連れてって

著者 :
  • 小学館
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感想 : 52
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093866002

作品紹介・あらすじ

現役女子高生作家が紡ぐ、鮮やかな人間賛歌

★遠くへ行きたい
田中花実は、中学2年生になった。前作『太陽はひとりぼっち』からのバディ、佐知子とは相変わらず仲良し。ある日、二人は少女と出会う。よかれと思って少女のために行動した二人だが、思わぬところから、深い社会問題に踏み込んでしまう結果に。笑いあり、涙あり、生きることへの肯定感を滲ませる「るりかワールド」はより広がり、深みを増す。
★私を月に連れてって
デビュー作『さよなら、田中さん』、前作『太陽はひとりぼっち』でも、常に名脇役として登場する2階の住人・賢人が主役の物語。相変わらずむさ苦しく、世捨て人となっている賢人がある日突然恋に落ちる。そのお相手とは……?そして、その恋が、彼の生活、人格すべてを変えていく。賢人が見つけた鮮烈な「恋」の行方は……?
★夜を越えて
今作の『遠くへ行きたい』を受けて誕生した作品。授業の一環、職場体験で出会った「ぶーさん」。彼女は、花実のお母さん・真千子の昔を知る人物だった。実の娘の花実にすら一切を語らない、真千子の壮絶な過去の一端が紐解かれる。そこで描かれる真千子の少女時代。そして、その時代から続く熱い想い、絆に心が震える一編。


【編集担当からのおすすめ情報】
『さよなら、田中さん』、『太陽はひとりぼっち』の続編で、これまで登場した様々な人々の生き様が詰まった3編です。昨年のテーマが「太陽」で、今作品は「月」。デビュー作から続く愛すべき登場人物達のその後や現在。より広がり、深みが増した「るりかワールド」を、現役女子高生作家が描く人間賛歌を、堪能してください。ハッとさせられ、笑って笑ってじーんと涙する。そんな一冊です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

感想・レビュー・書評

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  • 鈴木るりかさんの著作4冊目です。

    この本は多分高校生で書いたのかな。
    もう、「こんなに若くてこんな本がかけるなんて」という驚きは間違ってると気が付きました。
    「こんな本を書ける人がこんなに若いなんて」が正しいです。本の内容がありきで、プラス年齢に驚く感じ。

  • 『さよなら、田中さん』『太陽はひとりぼっち』の続編です。 
    相変わらずの、るりかワールド笑
    何度声を出して笑ってしまったことか笑
    外で時間を潰しながら読んでいた時もあったので、その時は声は出せず、マスクの下の鼻の下を伸ばすにとどめ、なんとか我慢しました笑笑
    主人公花実の母と大家さんの会話が面白過ぎます!
    でも、本当は二人とも重い重いものを背負っているのです。それなのにガハハと笑って生きているのです。
    デビュー作の『さよなら、田中さん』から花実も作者も成長して深みのある作品になっています。
    貧乏だけど明るく生きている!だけでなく、皆、何かを抱えながらも明るく生きている!
    そしてその“何か“は“何か“のままで‥‥知らなくてもいいことがあるんだよ、と。
    家族から離れて遠くの月へ行ってしまいたいと思ったり、一番近くにいるはずの家族が月のように遠い存在になってしまったり。
    今作もまた大満足の一冊でした。

    • こっとんさん
      アンシロさん、はじめまして。
      コメントありがとうございます♪
      私もシリアスなお話も好きだけど、ププッだったり、ニマニマだったりと笑えるお話も...
      アンシロさん、はじめまして。
      コメントありがとうございます♪
      私もシリアスなお話も好きだけど、ププッだったり、ニマニマだったりと笑えるお話も大好物です(*´∇`*)
      るりかワールド、ぜひぜひ堪能してください。
      笑って泣けるいいお話です。
      2023/11/23
    • アンシロさん
      こっとんさん、こんばんは。

      読んでて笑えるっていいですよね!今『イン・ザ・プール』という作品を読んでいるのですがあまりに笑いすぎて隣にいた...
      こっとんさん、こんばんは。

      読んでて笑えるっていいですよね!今『イン・ザ・プール』という作品を読んでいるのですがあまりに笑いすぎて隣にいた子供が不審がっていました笑。

      疲れた時は特にププッ、ニマニマで疲れもストレスもパーッと吹き飛ばしたいです(*^^*)
      2023/11/23
    • こっとんさん
      アンシロさん、こんばんは♪
      それ、電車の中とかでは読んじゃダメなヤツですね〜(≧∀≦)
      私、まだ読んだことないので、今度読んでみようかなー?
      アンシロさん、こんばんは♪
      それ、電車の中とかでは読んじゃダメなヤツですね〜(≧∀≦)
      私、まだ読んだことないので、今度読んでみようかなー?
      2023/11/23
  • 『さよなら、田中さん』の花実親子シリーズ第3弾。
    時代は令和になっても、相変わらず昭和感が色濃く残る田中家。
    花実の母と、親子が暮らすアパートの大家さんの賑やかな会話には今回も癒やされる。
    そんな家庭環境の中、花実も念願のスマホをゲットしたり進路のことで悩んだり、と大人の世界に近づいている。
    そしてふとしたきっかけで、母の過去を知る人物と出逢い…。
    「真実をすべて知ることがいいとは限らないし、その必要もないんです。そして知った後では、もう知る前には戻れないんですよ」
    母の過去を知りたい気持ちは分かるけれど、小学校時代の恩師・木戸先生の言葉通り、知ればいいというものではない。
    いつも花実の幸せだけを心から願う優しい母。
    目の前にある現実だけを真っ直ぐ見ているだけでは済まされないものなのか。
    花実が次回以降、母の過去や自分の出生について知ることで親子関係がどうなってしまうのか、とても心配。

    一方、アパートの大家さんの一人息子・賢人の初恋には大ウケ。なるほどそうきたか…。
    恋する素晴らしさを知り、生きる気力を得て俄然張り切る賢人。
    そんな賢人にも木戸先生の言葉をそのまま贈りたい。
    恐らくは月の裏側を見る覚悟のない賢人。
    月の女神の真実の姿は…知らぬが仏ということで済ませましょ。

  • 相変わらず貧乏だけどその中でも日々を明るく逞しく過ごしている花実ちゃん親娘に出会える3作目。花実ちゃん視点の「遠くへ行きたい」はスマホ持ったり隣の席の石井君のちょっかいをウザがったりと中2らしい可愛らしい日常と平行に社会問題や将来への不安、母親への想いが平易な、しかし真っ直ぐな言葉で語られるのが相変わらず凄い。職業体験で出会ったしのぶさんから漏れてきた母の秘密で今後の展開がちょっと心配。賢人が文代さんという魅力的な人に恋する「私を月に連れてって」は締めも含めコミカルだけど(文代さんって前作のあの人だよねぇ)前に進もうとする爽やかさがいい。でも次でまた元に戻りそうだけど。しのぶさんと母との昔のエピソード「夜を越えて」は秀逸!嘗ての友人への願い。心に浮かべた経験があるなら刺さる。

  • 人は会うべきときに、会うべき人と出会っているのだという。そうなのかもしれないと思った。

    今回は、〈食器棚の奥の骸骨〉がたくさん出てきた感じだった。この言葉は、花実の小学生の時の担任が教えてくれた言葉で、どの家庭にも秘密にしておきたいことがあるという意味だ。

    大家さんと花実のお母さんは、相変わらずとても元気。花実も友達の佐和子と新しい友達の石井くんとスマホで繋がったりと、楽しそうな日々。二階に住む賢人にも新たな展開があった。

    そんななかでの、のんちゃんとの出会い。よかれと思ったことの怖さについて、改めて考えた。そして、職場体験で出会った村山さんと母親の関係、そして隠されている真実が、今後どう語られていくのか。大家さんの息子の賢人、そして文代のことなど気になることは山積み。

    「夜を越えていくんだよ」とかつて花実の母親である真千子が言った言葉が、村山さんから花実に伝えられた。花実は何かを既に感じ取った。これから心身ともに成長していくとともに、乗り越えてほしいと思う。そして、大変な経験を経て今、花実を育てている真千子には、名前の意味と同様に〈真に価千金の子〉となった今の時間が長く続いてほしいと思った。

    皆の今後が気になるので、『私を月に連れていって』の後の作品をすぐに読もうと思う。


  • 花実ちゃんシリーズ第三弾
    今回も大家さんとお母さんの麦茶談義や夏、冬不要説に笑わせられ、これこれとワクワクしながら読み始めたが・・

    職場体験でお母さんの昔の知り合いに出会ったことから、膨らみ始める疑念
    一体この親子に何があったというのだ

    『食器棚の奥の骸骨』どんな家庭にも秘密にしておきたいことがある
    「真実をすべて知ることがいいとは限らないし、その必要もない。そして知った後では、もう知る前には戻れない」
    小学校の担任だった木戸先生の言葉が脳裏に甦る

    昼間の仕事の疲れで軽くいびきをかきながら眠る母の横で、もしこの世界に二人きりだったとしても、全然寂しくない
    花実にとって、どこであろうとお母さんがいるところが故郷

    こんな最高に素敵な母子はいない。過去にどんな経緯があろうともと、強く強く思う

    真千子お母さん、前回で育児放棄で施設を転々とした経緯が明らかになった
    そんな苦労をしてきたのに、底抜けの明るさで強く強く生きているのに、
    まだ、辛いことがあったのかと思うと、読んでいて苦しくて、切なくて泣きたくなった

    ブーさんと夜明けの光を浴びながら言った少女のマチ(真千子お母さん)の言葉

    私の病気はね、何万人に一人とかいうとても珍しいやつなんだって。よりによってなんで私がって思うけど、でもその確率と同じくらいの幸運がこの先待ち受けているんじゃないかって思うんだ。何万人に一人のアンラッキーにぶち当たったんだから、今度は同じくらいの確率の幸運を手にしなくちゃ人生の帳尻が合わないよ。今はアンラッキーの先払いをしているんだよ。私もプーさんも。この先もういいことしか起こらないから。このツケはしっかり覚えてて、あとでちゃんと神様から回収してやるんだよ、必ず。

    なんと素晴らしい前向きな考え方!
    そうでないと悲しずぎる。神様は不公平すぎる

    鈴木るりかさん、毎年お誕生日に新刊を出版されているとのこと、この真相が明らかになるのは、今年の10月、18歳のお誕生日なのか

    どうかどうか、この親子に幸せな未来が待ち受けていますようにと祈りたい気持ちになった

  • 12歳デビューの作家さん
    はじめて作品を読んだとき、文章のうまさに驚いた。
    ユーモアのある人間描写や会話。現代社会の課題や言葉の知識も豊富で文章を読むだけで勉強になる。
    母子家庭で貧乏だけど明るくたくましく生きる親子
    明るいけれどお金や現実にシビア、友人や周囲の感情を適切に汲んで動ける賢い女の子
    いつも明るくなんでも笑い飛ばす母が隠す過去にあった重い事情の伏線
    自分が一番じゃないと機嫌が悪くなる友人
    一見おとなしそうで、メールでは大量の自己表現をする男の子
    そして一度も家から出たことのない、母と二人社会から隔離されて生きる女の子
    現代社会の現実や人間関係リアルに現す一方で物語としても読みやすく先が気になりページをめくる手がとまらない

  • 「さよなら、田中さん」の続編。本作も読み始めてすぐ物語に引き込まれました。
    登場人物がみんな個性的でその語り口も何ともいえず魅力的。
    親子の会話シーンが楽しくて好き。
    大家さんと花実のお母さんとの掛け合いとかホント面白すぎる。それを毎回冷静に観察し、心の中で突っ込みを入れる花実ちゃん!

    2階に住む大家とは名ばかりのニートの賢人。
    花実ちゃんの恩師の木戸先生。
    木戸先生の兄。
    前作「さよなら、田中さん」に登場してた三上君のその後。そしてそこからの花実との再会。
    花実ちゃんのお母さんの子ども時代。

    本編だけでなく、登場人物の視点で綴られた短編どれもが良かった。
    余韻までしっかり楽しみました。
    ちょっと疲れてるときも負担なく読みやすい文章なのもいい。
    ずっと追いかけたい作家さんです。

  • 今作もすごく面白かった。
    賢人の今後が気になるなー。
    文代さんの真実を知ってしまう前に
    社会に出て生活する事に慣れて欲しい、、、

    でも、もしかしたら文代さんの真実を知ったとしても二人は幸せになれるのかも??

  • 現役女子高生が描いているなんて本当に驚き。
    個人的には瀬尾まいこさんや青山美智子さんみたいな日常の中のほっこりするお話が好きなので、すごくタイプの作家さんだなと思った。

    戸籍やジェンダー問題、家庭内虐待等社会問題をテーマにしつつも、重すぎない印象を受けるのはきっと親子や友人、賢人との会話がユーモアに溢れているからだろう。私は石井くんのちょっと不憫な感じがツボだった笑

    鈴木さんの作品は初読でしたが、前2作を読もうと思います。面白くてあっという間に読み終わってしまいました。

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著者プロフィール

鈴木 るりか(すずき るりか)
2003年東京都生まれ。史上初、小学4年生、5年生、6年生時に3年連続で小学館主催『12歳の文学賞』大賞を受賞。あさのあつこさん石田衣良さん、西原理恵子さんらが、その才能を手放しで絶賛した「スーパー中学生」。2017年、14歳の誕生日に大賞受賞作を含めた連作短編集『さよなら、田中さん』発表。近年では珍しいローティーンの文壇デビューで、各メディアの注目を集めベストセラーに。

鈴木るりかの作品

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