トヨトミの逆襲: 小説・巨大自動車企業

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 701
感想 : 76
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093865616

作品紹介・あらすじ

経済界が震撼!衝撃の内幕小説待望の第二弾

ごく限られた関係者しか知りえない事実を多数散りばめ、小説ではなくノンフィクションではないかと経済界を震撼させたベストセラー『トヨトミの野望』(小学館文庫)。覆面作家・梶山三郎の正体も、大物経済記者か、内部の関係者かと取り沙汰された。その待望の続編がついに刊行。巨大自動車企業は世界市場で生き残れるか。ひ弱な創業家社長は権力闘争に勝利できるか。フィクションかファクトか? 深読みすればするほど面白い、超弩級企業小説。

感想・レビュー・書評

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  • トヨトミ自動車(トヨ●)シリーズ第二弾。

    トランプ大統領からイーロン・マスク、孫正義、Apple、Googleまで登場の、手に汗握るビジネス・フィクション!

    2016-2022末までを描く。

    ハイブリッド車プロメテウス(プリウ●)を世界的に成功させ、リーマンショック、アメリカでの大事故スキャンダルを乗り越え、過去最高益を叩き出すトヨトミと、社長の豊臣統一(豊田章●)。

    しかし、その栄華は極めて危ういものでもあった。

    トヨトミに世界的なEVシフトの波が襲いかかる。
    トヨトミはガソリン車、ハイブリッド車、PHV(プラグインハイブリッド)車に重心を置いていたため、後塵を拝している。
    そこで統一はFCV(燃料電池車=水素)へ舵を切るも、それは完全に失敗に終わった。

    トヨトミは命運を賭け、EVシフトを最後方から追うことになるが、課題は山積み。
    航続距離とモーター、全個体電池。

    果たして、統一は生きるか死ぬかのEV戦争に勝ち残れるのか?
    そして、トヨトミ内部の勢力争いの行く末は?

    第一弾に続き、非常に面白い。フィクションだが、こういうのは実話だと思って没頭した方が断然楽しめる。
    相変わらず、統一への評価がボロクソなのは気の毒だし、自分がトヨ●規模の経営を切り回せるかと考えると間違いなくムリ!

    • yukimisakeさん
      トヨトミとプロメテウスに外で笑ってしまいました!笑
      (一人花見中)
      トヨトミとプロメテウスに外で笑ってしまいました!笑
      (一人花見中)
      2024/04/07
    • Tomoyukiさん
      hanamisakeさん
      ひとり花見、オツですね〜
      hanamisakeさん
      ひとり花見、オツですね〜
      2024/04/07
  • 面白かった「トヨトミの野望」の続編。
    こちらも面白そうなので、文庫で買う前に図書館から。

    ※トヨトミの野望
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4062196077#comment

    続編の逆襲は、社長を引き継いだ統一さん(豊田章男氏がモデル)が主人公。
    著者は、豊田章男氏をそこまで評価していないっぽいので、
    「せいぜい部長どまり」など結構、ディスっているのですが、
    前作の公聴会での謝罪など、今回も出るところは意外にしっかりとやってくれる統一さんです。
    この本では、途中から今後のトヨタの未来を空想する展開になっていて、
    若干リアリティーが薄まったような気がしますが、
    大企業のリアリティーを肌で感じるにはもってこいの小説でした。
    (特に、自分のように大企業を経験したことのない人間にとっては。)

    ガソリンエンジンの自動車からEVへシフトが起こる中、
    傘下の下請け企業をどのようにマネジメントしていくのか?は、
    大企業ならではの悩みですね。。
    統一さんの小説内のコメントは綺麗事にしか感じませんでしたが、
    これ実際にはとても扱いが難しくて、
    トップとしては本音と建て前を使い分けないとやっていけないわな…と
    ヒリヒリした思いを感じました。
    一言でいえば、両利きの経営なのかもしれないですが、
    経営のリアルはそんなに簡単じゃないというのが
    小説を通じて(ほんの少しですが)伝わってきます。

    もう現代を超えてしまったので、
    この小説の続編が出ることはしばらくはなさそうですが、
    著者が今後どんなビジネス小説を出していくのか楽しみに待ちたいと思います。

  • <膜>
    ふとしたキッカケから読み始めたシリーズ作品。筆者は経済産業系雑誌か何かの記者らしいが 梶山三郎 という筆名はゴーストライターらしい。基本トヨタ自動車が歩んできた道を面白可笑しく又スキャンダラスに描いている。それだけの事なのに妙に面白い。まあHVだのBEVだの現実の自動車産業界の出来事を詳らかに描いている所が ”そっち系” の読者には受けるのだろう。最新刊の第三巻『トヨトミの世襲』も売れているらしいから良しとするかいな。笑う。

    で本書はその第二巻である。シリズのっけ前巻『トヨトミの野望』と同じで尾張に本拠地のある・・・実際トヨタ自動車の本拠地は尾張ではなく三河であるが,トヨタ→トヨトミ トヨタ自動織機→トヨトミ機械,などの企業固有名詞の他は その三河/尾張の設定だけが異なっているので僕は気になる・・・いや実は僕が尾張地方に住んでいるから気になるのであった。すまぬ。

    そう云う具合に 相変わらず三河ではなく尾張が トヨトミ自動車 の本拠地になっている。だが今回話題のグループ会社 尾張電子は三河の刈谷市が本社の設定になっており なにやら中途半端で思慮に欠ける感じも否めない。もう一々熟考するのが筆者もめんどくさいんだろうな。疲れてきてるのかもな。もしかすると本作は あまり気乗りがしないのに誰か権力者のご要望(メイレイ ともいうw)で無理やり描いてる,って感じもそこはかとなく漂ってくる。まあ読者は本が面白ければその辺りの事は事情はとりあえずはどうでもいいのだが。


    本文86ページに非常に気になる,と云うか僕にとっては意味不明の記述がある。今回準主役の M製作所 で,昼飯を食い終わった従業員達が会社の応接室でくつろいでいる場面で。 ”・・・女性社員が腕によりをかけて作ってくれた昼飯の食器をわきへどけてテーブルの上でトランプに興じていたり・・・”。僕にはこの記述の意味がわからない。M製作所は従業員20人程度の小さな会社。会社内には食堂も無ければもちろん調理設備など無いと思しい。


    なのに 女子社員が腕によりをかけて(食器もかたづけずに食後トランプに興ずる)男の従業員達の為に昼飯を作る,ってどういう状況が作者の頭には描かれているのだ?僕にはわからない。小説作品で一番大切な事は「蓋然性」だと僕は思っている。どんな場面を描こうが作者の勝手だが,そのことに蓋然性(そのことが起きることは当然/必然である事)が無いと 小説とはいえ全部が嘘くさくなってしまう。


    なんだ なんにも考えてないのかこの作者は,と云う具合に。全体としては非常に分かり易くつじつまも通って読みやすい文章を書くゴーストライターなので,そんな筈はないだろうと,自分の読み方解釈が間違ているのだろうと,何度も読み返してみたがやはり僕には理解不能だった。もちろんそれでも僕の解釈が間違っている可能性はあまだあるのだろう。やれやれ。物語全体の筋とは全く関係ない些末な事ではあるが。(もっとも元々この三文小説には物語全体を貫く「筋」などは無いのだが・・・)

    考えてみれば前作もそうだったのだけど、この本は沢山の個別の ”面白い三面記事のようなもの” をうまくまとめて並べて一冊の本にしただけの代物だなぁ。だから面白くない訳が無い。でも一冊の本としての話の流れと繋がりや感じ入る結論はハッキリ言って無い! つまり新聞や経済産業雑誌の記事の様に全部が中途半端で尻切れトンボなんだ。まあ,面白ければ読者はなんでもいいが,このままだと週刊誌の興味本位記事と同じレベルのまま推移しそうだな。まあ面白ければいいんだけれど。大笑い。

  • 表紙がイロモノ感を出しすぎて損してる本。
    2作目の逆襲から手を付けてしまったが、当時は衝撃すぎた。役員会の発言とか、これほどまでに事実のごとく説得力を描き出せるものなのか。

    今でこそ自動車業界は大戦国時代だと誰も疑わないだろうが、2015年頃まではトヨタの敵がGAFAだとか、CASEだかMaaSだかお洒落なアルファベット4文字はお腹いっぱいムードが漂っていた。またまた、そうは言っても製造業は強いよね、とタカを括っていた1人だ。
    しかし一国の大名にしてみたら、見通している先が町民のそれとはケタ違い。この作品のおかげで、その才には素直に感じ入った。

    愛国的なストーリーとは対照的に、下請けに対するアコギなやり口が鮮明に描かれ、大企業の風刺も忘れていない。日ごろ憤懣を募らせている人にとって溜飲が下がる思いもあるのではないか。
    昨今は製造ヒエラルキーのあり方すら問題視され、産業構造そのものの見直しが迫られている。ただ、それを誰がやるのか。プレーヤーはいるのにアンパイアは不在。省庁も経団連も、自ら作ったルールにがんじがらめと聞く。

    プレーヤーは、そうは言ってもね、といつまで言い続けられるだろうか。
    問題提起が多く心に残る良作。

  • 自動車製造に関わる人は、ハマる!
    どこまでがほんとなのかわからないが、そうだったらすごい取材力だと思う。
    トヨトミ社長のワンマンぶりにヒヤヒヤするも、成長する姿がたのもしかった。ぜひ続編も読みたい。

  • フィクションとは思えない取材力。
    一気に読めた

  • 2024年 2冊目
    トヨトミシリーズ3部作のうち2作目。
    つい先日、最終作が発刊されたので、長年積読となっていたこちらを読了。
    自動車業界が直面している課題をわかりやすく説明しつつ、社内でのドロドロとした覇権争いも、まるで筆者が実際に目にしたかの如くリアルに描写されているのがすごい。
    1作目も感じたが、一体この著者は何者なんだ。。

  • 前作の続きとなるこの巻では、血族統一が社長となりEVに向けて本格始動していく中での問題解決に奔走する物語なんだけど、前社長の影がずっと付きまとう。例の記者も今回も活躍だ。
    ちょっと下町ロケットのような話も無きにしも非ずでまぁサプライヤーとの微妙な関係問題など、大手ならではの問題発起があったりと面白さを加えてくれる。アメリカ、中国との貿易摩擦や二国間問題などの微妙な話も小説の中で解説してくれるから新聞を見ているよりもわかりやすくて理解しやすかった。
    せいぜい部長どまりの統一がどんどん社長らしく成長していくのをずっと応援しながら読んでいたのでラストはなかなかの感動物語になっていた。
    このシリーズを読むだけで車のEV事情が大まかにわかった気が出来るので車好きにはもちろん、EVカーや未来の車社会に興味のある人はぜひ読んでもらいたい。

  • トヨトミの大逆襲が素晴らしい結末となりハッピーでした。大逆襲への展開に厚みが欲しい感じもしましたが、製造業の諦めない技術力の進歩や先を読む力に感動をしました。第3巻化やTV化を期待したいです。

  • 2019年12月に初版が出たとは思えない深い洞察力の元書かれた作品。
    前作に引き続き史実に沿って書かれているかのように思えるシーンが多く興味深い。

    社内政治と言うか、大企業になれば本当にこんな風に権謀術数を駆使したやり取りがなされているのか。ロビー活動とかも大切らしいし、素直、純粋、実直とか通じない世界になってるのは寂しい。

    ものづくり日本を体現するような森製作所。
    巨大企業のトヨトミの一担当者が私欲のために裏切り行為を働くも、恨みつらみはありながらも日本の将来のために改めて協力をする事を決めるシーンは涙モノ。

    TESLAがTOYOTAを時価総額で超える現在ですが、なんとなく閉塞感から抜け切らないところに新型コロナ感染症による経済社会への打撃。
    自分の事だけでも精一杯という状況でもありますが、もう一歩、二歩先を見据え、力を合わせて乗り切ろうと元気をもらえた。

    ただ技術先行で色々進んでいる感じがするので、本質と言うか、何を実現する事が幸せなのか。
    難しいが考えないといけない。

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著者プロフィール

経済記者、覆面作家

「2016年 『トヨトミの野望 小説・巨大自動車企業』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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