太陽はひとりぼっち

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093865562

作品紹介・あらすじ

文学界注目の高校生作家、待望の新刊!

デビュー作として異例の10万部を超える大ヒット『さよなら、田中さん』の田中母娘が帰ってきました。単なる「続編」とはせず、ひとつの新しい文芸作品として意欲的に取り組んだ一作。前作で強い印象を残した登場人物達がさらに謎とドラマ、嵐を呼ぶ!!

『太陽はひとりぼっち』花実は中学生となった。ある日、家の前に見知らぬビジネスマンがやって来る。彼は一体何者?さらに別の日にはやせた老婆が家の前に座り込んでいて……。次々登場する謎めいた人物が引き起こす大騒動。一つ一つの事件に込められた人々の思い、苦しみ、葛藤。生きることへの希望を説く「るりか節」が力強く心に響きます。

『神様ヘルプ』デビュー作『さよなら、田中さん』最終章で鮮烈な印象を残した三上信也。中学受験に全落ちし、毒親である母親から山梨県にある全寮制のカトリックスクールに送られた、彼の現在は?

『オー マイ ブラザー』花実に大きな影響を与え、数々の名言を誕生させた木戸先生の物語。オカルトに傾倒し、不思議な話ばかりしている木戸先生の人生における唯一の固執、謎が見事に解明されるラスト。全編を通してテーマとなっている太陽の光が物語に陰影を与える。

以上 全3編。




【編集担当からのおすすめ情報】
お待たせしました!大人気の、あの花ちゃん母娘と仲間達が帰ってきました!
読者待望の『さよなら、田中さん』続編ではありますが、単なる続編ではなく、新たな文芸作品として取り組んだ一冊です。愛すべき登場人物達のその後、そして現在。ここには、人間の「生きる」すべてがつまっています。笑って笑って、ホロッと泣ける。血の通った「るりかワールド」をご堪能ください。

感想・レビュー・書評

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  • あなたには、自分の『居場所』があるでしょうか?

    生きるということは、さまざまな人たちと関わり、さまざまなコミュニティに関係していくことでもあると思います。義務教育を経て、高校、そして大学・専門学校へと進み、社会へと歩み出していく私たち。社会に出たあとも、会社の中での人事異動や転勤、さらには転職…と人が同じ場所に同じ人たちと留まり続ける時間というものは極めて短いものです。それは、家族関係でも同じでしょう。かつて育ててもらった両親が年老いて今度は自らがその介護に当たる番となる、また全くの他人だった人と結婚し、子供が生まれ、かつて自身が育てられたことの逆を行くように子育てに邁進していく。人生とは常に変化と共にあるのだと思います。

    そんな風に考えた時、それぞれの場面であなたの立ち位置というものも大きな変化を余儀なくされます。それは、あなたのその瞬間、その瞬間での『居場所』というものを否が応でも意識させる機会でもあります。場面によっては、

    『この家に私の居場所はないの』

    そんな辛い時間を過ごすことだってあるかもしれません。必ずしも

    『やっぱりここが私の居場所だなあ』

    と感じられる瞬間ばかりを人は送ることはできないと思います。人の世を生きるということもなかなかに大変なことだと改めて思います。

    さて、ここにそんな『居場所』を一つのキーワードに書かれた作品があります。人知れぬ孤独を抱えて生きる中学生や全寮制の学校に強制的に入れられてしまった中学生のその後を描くこの作品。それは、高校一年生になった鈴木るりかさんが綴る「さよなら、田中さん」のその後を描く物語です。

    『えっ、制服一式が七万円?体操着が二万?… 全部で約十二万って、これイートン校の申し込み用紙、間違えてもらってきたのかいな』と、『制服の注文書に目を剝』く母親を見るのは主人公で『この春中学に入学』した田中花実(たなか はなみ)。そんな花実に『一年中制服で暮らすか』と『無茶なことを言う』母親に『値段を聞いたアパートの大家のおばさん』が『この三月に中学を卒業した』家に頼んでお下がりをもらって来てくれました。『これなら十分着られるよ』と『身を乗り出す』母親に対して『校章に「四中」』とあるのを見て『私が行くのは三中なんだけど?』と言う花実に大家さんは『「やっぱ、ダメかね?」と、ぺろっと舌を出し』ました。そして、スタートした中学生活で『最初にできた友達は小原佐知子』でした。そんな佐知子に誘われて家へと赴くことになった花実に『こういう時のための「お取っとき」のクッキー』として『不祝儀の引き物』を持たせる母親は『賞味期限もまだまだある』と太鼓判を押します。そして訪れた佐知子の家は『ヨーロッパ風の鉄の門扉』のある『思っていたよりずっと大きな家』でした。『今、私ひとりだから』と上がらせてもらった部屋で、『ピアノ、弾けるの?』と問う花実に、それは妹のもので『超がつくほどのお嬢様学校』に通っていることを語る佐知子。そんなピアノの上に飾られた写真が『両親と妹だけ』なのに違和感を感じた花実に『祖父母用のなの』と語る佐知子。そんな佐知子は、母親が再婚し『私は連れ子っていうやつね』と自らの境遇を語りだしました。妹とは異父姉妹であること、今日も三人で祖父母の家に行っているが『私だけ異分子』なので『家にひとりでいるほうがよっぽどいい』と思っていることを語ります。『お父さんの実家、結構な資産家』で、全て妹に相続するというようなことを祖父母が話しているとも続ける佐知子。『この家に私の居場所はないの』、『この家には私はいらない子なの』と言う佐知子に、『うちもお父さんいないから』と花実が自分の境遇を告げると『知ってる。だからってわけじゃないけど… この子なら仲良くなれる…声かけたんだ』と佐知子は友だちになったきっかけについて話すのでした。『花ちゃんには私と同じ匂いを感じ』るという佐知子は、『私は起業したいの』、『ここの家からは一円ももらいたくない』と自分の家を出たい意向を花実に説明します。一方で、数日後学校から帰ってきた花実は、『アパートの前で地べたに腰をおろしてタバコを吸っているおばあさん』を見かけます。『あんた、花実かい?』と声をかけてきたおばあさんは『いんの?』と続けます。『今はまだ帰ってきてませんけど』と返すと『ま、いいや。また来るワ』と『火のついたタバコをそのまま放り捨て』行ってしまったおばあさん。中学校に入学した花実の日常と、謎のおばあさんのまさかの正体が明らかになる物語が描かれていきます…という最初の短編〈太陽はひとりぼっち〉。「さよなら、田中さん」の世界観に一気に連れていってくれる好編でした。

    “デビュー作として異例の10万部を超える大ヒット「さよなら、田中さん」の田中母娘が帰ってきました”と宣伝文句にうたわれるこの作品。中学生作家として早くも二作を刊行されてきた鈴木るりかさんの三作目となるのがこの作品です。そんな鈴木さんも高校一年生となり、ますますその腕に磨きがかかって読み味たっぷりの作品を提供してくださいます。そんな今作は宣伝文句の通り、デビュー作の続編という位置付けで、三つの短編から構成されています。大基本は、田中母娘の物語ということになりますが、三つの短編とも視点の主が異なっており、また世界観は同じとはいえ連続した連作短編という感じでもないので、どんな順で読んでも楽しめる作りになっています。では、そんな三つの短編の内容を視点の主と共に簡単にご紹介しましょう。

    ・〈太陽はひとりぼっち〉: 高校一年となった田中花実が視点の主。小原佐知子という友達もできた花実の前に『あたしは、田中タツヨ。あんたのおばあちゃんだよ』と、母親・真千子の母親が登場します。『久しぶりの再会だろうにお互い目も合わさず言葉も交わさない』という二人。そして、そんな祖母が田中母娘の家にまさかの居候をする日々が始まりました。

    ・〈神様ヘルプ〉: 『全寮制の学校』へと進学した三上信也が視点の主。『十二歳の春、僕はすべてを神に捧げる人生を送ると決めた』という信也は『神父になるのだ』と『神と共に生きる』日々を送っています。母親から連絡があっても帰らず寮生活を続ける信也。そして、夏休みに入ったある日、神父から『お父様が急病だそうです。すぐにお家にお帰りなさい』と告げられます。

    ・〈オーマイブラザー〉: 『大学卒業後、僕は都内の小学校の教師になった』という、花実の小学校時代の担任・木戸光雄が主人公。『僕とお兄ちゃんはひと回り歳が離れている』という兄が『本当に煙のように消えたのだ。ひとりの人間が。噓のように』といなくなってしまいます。『神隠しに遭ったのかも』というその出来事。そんな木戸はやがて教師になり田中花実と出会います。

    三つの短編から構成されてはいますが、分量ということでは、〈太陽はひとりぼっち〉が全体の三分の二を占め、また、読んだ印象としても圧倒的にこの短編の内容が心に刻まれます。そういう意味では、この短編が正当な続編、他の二編は”おまけ”的なイメージにも感じます。ただ、そんな”おまけ”を許容できるくらいに「さよなら、田中さん」の世界観というものはきちんと確立されていて、登場人物たちの存在感も十分と言えます。これだけの読み味を感じさせる物語の舞台を中学二年生までに構築してしまった鈴木さんの力量には改めて驚くばかりです。

    そんな物語で一つのキーワードとなってくるのが『居場所』です。上記で冒頭をご紹介した〈太陽はひとりぼっち〉の中で花実の友だちとなった佐知子は自分の存在を『私はいらないピースなの。家族のパズルにはまらない、余計なピースなの。この家に私の居場所はないの』と語ります。母親の連れ子として辛い感情を内に秘める佐知子のことを思いやる花実。そんな花実の前に突如現れた祖母のタツヨ。物語の中では実の娘に対して強烈な存在感を見せますが、一方でそんな祖母の姿を見れば見るほどに花実の中に一つの思いが募っていきます。それが、思わず問いかけの言葉として花実から出た『い、居場所はあるんですか?どこかに』というものでした。この作品の中心となる〈太陽はひとりぼっち〉で、そんな二人の姿を通して『居場所』というキーワードを読者に突きつける鈴木さん。一方で他の二編では苦難の末に『居場所』を確保した存在が描かれます。二編目の〈神様ヘルプ〉では、前作「さよなら、田中さん」で『途中下車できない中学受験』に失敗し、家族から見放された信也が全寮制の学校で『神父になるのだ』と自身の道を見つけ、言葉こそ登場しませんが、『居場所』を確保した姿が描かれます。また、最後の短編〈オーマイブラザー〉では、兄が突如いなくなった家族の中、不安定な日々を送るも『秀才にありがちな変人』という立ち位置を獲得できたことで学校の中で『居場所』を見つけ、やがて教師の道へと進んでいく木戸の姿が描かれていました。”三つの小説に共通しているテーマは家族と居場所”とこの作品についてはっきりと語る鈴木るりかさん。そんな鈴木さんは”立派な家もあり家族もいるのに、自分の居場所がない人もいれば、家族から離れ、自分の居場所を見つけた人もいる。また「居場所なんか最初からなかった。この世のどこにも。生まれた時から」と言う人も”いると続けられます。『居場所』という言葉から感じられるイメージは人それぞれだと思います。人間が集団生活を営む生き物である以上、人は人との関わりなくしてこの世で生きていくことはできません。このレビューを読んでくださっているみなさんも、それぞれに自分にとってイメージする『居場所』というものがあると思います。しかし一方で、この瞬間も自分の『居場所』を持てないという方もいらっしゃるかもしれません。学校で、職場で、そして家族で、人が属するさまざまなコミュニティの中で自分の立ち位置が見つけられず、また自分の立ち位置に戸惑うという時間は多かれ少なかれ誰でも経験されたことがあるのではないでしょうか。そういう私だって、過去を振り返ると幾度かの辛い時間が思い浮かびます。『居場所』とは、決して物理的なものではありません。物理的な『居場所』があるにも関わらず、精神的な『居場所』と合致しない、これほど辛い時間はありません。そんな中で、自分の『居場所』を見つけていくこと、人が人として生きる中では、そんな試練を幾度も経験せざるを得ないのだとも思います。この作品では、そんな『居場所』が見つけられないで苦悩する立場、『居場所』を見つけた先に、苦悩していた時間を振り返る立場など、さまざまな立ち位置の登場人物達の姿が描かれることで『居場所』という言葉を読者が改めて考える一つの契機を与えてくれたように感じました。”そんな人たちが、どのようにしてこれまでを生きてきたのか、今を生きているのかは、本書を読んでいただけたら”とおっしゃる鈴木さん。「さよなら、田中さん」という作品が持つ世界観はとても大きなものです。この作品ではそんな作品から掘っていける『居場所』という言葉の先にある人の生き方を巧みに見せていただきました。高校一年生でこの世界観!と思う一方で、高校一年生だからこそ素直なその目で見える世界がある、それを写し取ったのがこの作品なんだ、そんな風にも思いました。

    『あのつらい経験、過去があったから今の自分がいるんだと、堂々と胸を張って言える人は、現在が幸せな人です。そうじゃない人は、過去のあのことがあったから、今の自分がこうなった。あのことさえなければ、と悔やむんです』という木戸教諭の語りに見られる言葉など、印象的な言葉が数多く登場するこの作品。”続編もの”というものはどうしても前作の後づけのようなイメージになりがちですが、小学生から中学生、そして高校生へと成長する鈴木さんからすると、続編はそんな彼女の成長の先にある存在ともいえ、この作品では、前作の世界観の上に、作品を『居場所』というキーワードで深掘りしていく先に、オリジナルの世界観をさらに深める読み応えのある物語が描かれていたように思います。

    “小さい頃から耳にしていた、母の口癖から取ったのだ。私が「ひとりで行くの嫌だなあ」とか「もし私ひとりだったらどうしよう」などと言うと、お決まりのように母から返ってくる言葉が「太陽は、いつもひとりぼっちだ」だった”

    そんな風にこの書名の由来を語る鈴木さん。そんな由来もさらりと本文中に匂わせながら、ある時はコミカルに、ある時はちょっぴり読者にイヤミスを、そしてある時はじわっとした感動を与えてくれるなど、読者の心の振り幅を意識しているのを感じさせる巧みな構成と、”続編もの”だからこそ感じる鈴木さんの作家としての確かな成長を感じたこの作品。鈴木るりかさんという小説家に、今後ますます目が離せなくなった、そう強く感じた作品でした。

  • 花ちゃん母娘を描いた「さよなら、田中さん」の続編。

    とても面白い。
    1番印象に残ったのは「神様ヘルプ」に描かれる三上君のその後。
    三上君は全ての中学校受験を落ち、母親から疎まれ山梨の寄宿舎付きのミッション系の学校に入れられてしまう。
    三上君自身、母親から疎まれているかも知れないと気がついていることを心の奥に隠す。
    ここには自分の意志で来ていて、やり甲斐も見つけた。家族と離れても寂しくなんかないんだ。母親から遠ざけられたのではなく自分が選んだんだ、と自分を納得させている。
    そんな腹をくくっている三上君なのに花実にあったとたん気持ちがぐらつく。三上くんがいじらしく思えてきた。

    すっかり鈴木ルリカさんのファンになってしまった。

  • 帰ってきた田中さん!
    鈴木るりかさんが、14歳の時に書いた「さよなら田中さん」。極貧の母子家庭でありながら、笑いながら逞しく生きる小学生の田中花実とそのお母さんの話であったが、その田中さんが中学生になった。るりかさんが高校一年生で書いたこの「太陽はひとりぼっち」。
    中学校の制服一式は公立でも7万円もするのだそう(体操着や鞄も合わせると12万円)。確かにうちの子の学校でも「そんなに!」と思ったが、東京の相場は段違いに凄いな。田中さんのお母さんは、「イートン校の申し込み用紙間違ってもらってきたのかいな」という。仲良くしている大家さんが親戚の子のお古をもらってきてくれたのだけど、それが隣の中学校の制服。お母さんは「制服なんてどこのも同じようなものじゃないの。パッと見には分からんて」なんて言っていたが、何と!何とか新品を揃えてくれた。それでも「なんかあった時のために四中(隣の中学校)の制服もとっておこう」なんていうものだから、田中さんは何がなんでも三中(自分の行く中学校)の制服を大事にせねばと決意した。
    中学校で新しく出来たお友達の家に招待されたとき、お母さんは張り切ってとっておきの「不祝儀」のお菓子を大家さんは仏家用に育てていた菊の花をお土産に持たせてくれた。それもアブラムシがあちこちについたヤツ…。相変わらず、田中さんのお母さんとその仲間は抱腹絶倒(^◇^)
    そのお友達の家はとってもお金持ちの様子。だけどなんか様子が変。家族写真には2種類あり、一枚は佐知子ちゃんが一緒に写っていて、もう一枚は佐知子ちゃんだけ写っていないもの。その日佐知子一人が留守番していたのは他の家族全員で祖父母の家に行っているからということ。聞くと、佐知子のお母さんは再婚で佐知子は連れ子で、今のお父さんと血の繋がっている妹のほうばかり祖父母が可愛がり、母も祖父母に気を使うので、佐知子ちゃんには居場所がないとのこと。
    一見恵まれているようで居場所がない佐知子ちゃんとお金も父親もないけれど、居場所はしっかりある田中さん。
    そして、田中さんにもなんとおばあちゃんがいることが分かった。それは、ある日マンションの前でタバコを吸っていたドグロのような怖い顔をした下品なおばあさん。お母さんの所に「仕送り」を「取り立て」にきたとんでもないおばあさん。その実の母親に会ったお母さんは体調を壊して涙を見せた。そして、その母親にどれだけ虐待され、置き去りされてきたか語った。死んだと思ったほうが楽だから死んだと思っていたのに忘れたころにやってくると。
    お母さんは花実が生まれてくれて、やっと憧れていた「お母さん」になれた、「花実お母さんにしてくれてありがとう」と言った(;_;)
    居場所があるかないか。冷たい人と温かい人。だけどそれだけでは割り切れない。大家さんの息子である「元神童、現ニート」の賢人は花実に言った。「そういうふうにしか出来ない人もいる」と。
    ドグロおばあちゃんはお母さんから無事3ヶ月分の仕送りを受け取るとさっさと荷物をまとめて出で行ったが、その帰り際、花実が呼び止めて「帰るところはあるのか」と聞くと「帰るところなどない。太陽はひとりぼっち」だと言った。

    居場所がないのにも種類がある。花実の小学校の同級生で全ての私立中学校の受験に落ちたからと家から追い出されるように山梨の寄宿舎付ミッションスクールに入られた三上くんは「神父になりたい」という夢に目覚めたのに、夏休みに彼を帰省させた家族は彼の本当の中身を認めようとしないまま、わざと明るく接した。
    花実の小学校の時の「オカルト好き」で有名だった木戸先生のお兄さんは本当の自分の居場所へ行くため、誰にも言わず、パラレルワールドへ旅立ったのだった。

    鈴木るりかさんすごいな。文書力だけではなく、本当の居場所とか、本当はみんな一人ぼっちだけど、太陽みたいに輝けることとかあの若さで書けるなんて。
    私は歳をとっているからこの小説の言わんとすることは理解は出来る。だけど、やっぱり鈴木るりかさんの若さでないと書けない小説だと思う。歳をとったら、神経が鈍くなって楽に生きられてしまうから、感じたものをるりかさんのように繊細にキャッチ出来ないと思う。若い時は自分以外の人のことなんて分かんなかったし。ダメだな。

    田中花実ちゃんの成長を見たいな。

  • もう、すっかり私は鈴木るりかさんのファンになってしまいました。
    『さよなら、田中さん』の続編です。
    前作では主人公の花実は小6、今作は中1。
    たった一年だけど、この時期の一年は大きい。
    そして、前作から二年たっての発売なので作者も14歳から16歳へと成長しているということでしょうか?
    前作もとても面白く読んだけれど、今作は花実の成長と作者の成長が重なって、前作よりも成熟した物語になっていたと思いました。
    前作ではどんなに辛いことが起きてもガハハと笑って楽しく毎日を過ごしていた花実親子が印象的だったけれど、今作では花実の母と祖母の確執や、大家さんの息子がニートになった経緯などが描かれています。
    世の中には時間が経ってもどうにもならないこと、どうしても埋められない溝がある。自身の中にある欠けた部分に気付いていても、それと付き合っていくしかない人もいる。
    前作と同じくユーモアたっぷりに描きつつも内容はとてもシリアスでした。
    前作にも登場した三上くんのその後や、木戸先生の過去の短編もあり、読み応えたっぷりの一冊。
    鈴木るりかさん、これからも追い続けていきたい作家さん。推していきますよー!

  • おもしろかった。前作「さよなら田中さん」からさらに完成度がアップしてる。
    高校生となりさらに進化した作家、鈴木るりかさん。
    登場人物個々が躍動している。
    そして、丁寧で柔らかいタッチで描かれる物語。
    引き込まれます。
    「太陽はひとりぼっち」
    花実の母と祖母の物語。突然現れた祖母タツヨはおそらくパーソナリティー障害を患っていて、感情の起伏が異常で花実の母真千子に過去に虐待を繰り返しました。そんな母親と施設を行き来して育った真千子が貧しくともすごくいい母親になってるのは現実的には無理のある話なのだけれど、所々で語られる母子の絆の話に心打たれます。
    「お母さんって、いいなって思う。だから自分がそんなものになれると思ってなかったよ。」と真千子
    「あたしにとっちゃこの子は、真に価千金の子だからそう思ったからつけたんだ。」とタツヨ
    しみじみと語られるこの言葉なはジーンときました。それぞれが孤独を抱えて生きているけど同じ太陽をどこかでみている。つながっていると信じたい。「太陽はひとりぼっち」だから。
    そんな親子の絆を切なく温かく描き出す鈴木さんに脱帽です。
    「神様ヘルプ!」
    山梨のミッションスクールに進学した信也の物語。中学受験の失敗で何もかも失ったかに見えた信也が出会ったのは、カトリックでした。自分の心のひび割れを埋めていくように、行き急いでるんじゃないか思えるほどに、信仰に道を見いだしていきます。その中で頼りなかった信也が自分の中に芯をつくっていったことがうかがえます。
    ところが帰省して花実に会うことで、生の信也の感情や俗な思いが蘇って行くのがおもしろかったです。
    花実母のカトリック→プロテスタント→エクソシストという話は爆笑でした。
    カトリック✕恋慕の狭間で右往左往する信也が面白く、楽しく読めました。
    「オーマイブラザー」
    吉田先生の話。オカルトって本当かどうかわからないし、あってもなくてもいいものかもしれません。でも、その不思議さや怪しさに好奇心を引き付けられてしまうことがあります。そんなオカルト仕立てで、ある日失踪した兄を追いかけていく展開になっています。そして、最後はちゃんと現実に落ち着く結末。うまいと思いました。

    才能ほとばしる作家さん。これからどんな体験をしてどんな作品を生み出して行くのでしょうか。
    これからも応援していきたいと思いました。
    紹介くださいましたブク友さん、ありがとうございました。

  • 鈴木るりか 著

    作者の鈴木るりかさんのこのナイーブで溌剌とした感性に心奪われました。
    今回は、なかなか自分では行けない図書館で借りることが出来た。(主人に借りに行ってもらった訳だけど、予約となるとまた足を運んでもらうのも申し訳ないと思ったけど、ラッキーにも近所の図書館にたまたま在庫があったのだ、そんなこともあるのだ、読みたい念が通じたのか…(^^;;グフっ)

    デビュー作として異例の大ヒット『さよなら、田中さん』の田中母娘再び!前作で小学生だった主人公の田中花実ちゃんが中学生となった「続編」にあたる小説だけど、また新しい文芸作品として蘇ってきた感覚です。
    前作で気になっていた登場人物達の現在と過去に纏わる物語りや豪快だけではない不思議な花実の母に纏わる過去と現在のドラマ展開で、ますます目を離せなくなりました!

    『太陽はひとりぼっち』
    中学生になった花実に次々と起こる出来事。ある日、家の前にやって来る見知らぬビジネスマンとは?さらに別の日にやって来た家の前に座り込んでいたやせた老婆とは?

    『神様ヘルプ』
    前作『さよなら、田中さん』最終章で鮮烈な印象を残した三上信也君のその後は?
    (宗教のことは、よく分からないけど、そん
     な若いうちから…将来の自分を決めなくて
     いいんだよ!もっと遊べって!
     まだ…中学生じゃん!(◎_◎;)私の心の声)

    『オー マイ ブラザー』
    花実に大きな影響を与え、数々の名言を誕生させた木戸先生の物語。

    上記『3編』からなる、さらなる秘密のような物語りの展開に新たなる感動があります。

    私は前作の「さよなら田中さん」から、木戸先生の存在がとても気になって…気に入っており(^.^)花実じゃないけど、木戸先生の言葉に、いちいち感銘を受けておりました。
    ことある毎に、先生の言葉を思い出す花実、
    それほど、生きてる日々で起こる出来事に先生の言葉が教訓のように重なる。
    他の生徒や親たちに気味悪がられたところもあるのが不思議なくらい、こんな話しをしてくれる先生がいたら面白いし、心にずっしり響き、いいなぁって思った(*^_^*)
    色んな場面で木戸先生の言葉にハッとする。
    文中の一つの言葉を引用すれば…
    「あの辛い経験、過去があったから今の自分 
     がいるんだ、堂々と胸を張って言える人
     は、現在が幸せな人です。そうじゃない人
     は、過去のあのことがあったから、今の自
     分がこうなった。あのことさえなければ、
     と悔やむんです」

    とすれば…さしずめ、自分は幸せな人なんだなぁ。と何故か胸を張る(*´꒳`*)
    苦しい…辛い経験あってもその時を通過すれば、辛かったことは通り過ぎて、思い出に変わるように思える。その思い出が結構、いい思い出として残る場合もある。辛い目に遭ったからこそ、救ってくれた人の存在は自分の中で大きくて、そちらの方がより印象に残り、糧になったりする。
    救われた思いは苦しく辛い体験を凌駕する!
    ナンテ言うと何と、能天気な性格だと思われたことでしょう。が…実際の自分といえば、何で、自分はあんなことが出来ないんだろう、あんな馬鹿な発言をしちゃったんだろう?相手を傷つけたかもしれない…と、ウジウジといつまでも悩み自責の念にかられ、後悔の連続の人間だ!
    繊細で(言い過ぎ(・・;)つまらぬところに神経質な自分だけど…ただ、誇れるのは、(うむ(・・?)誇っていいのか??)私は物心ついた頃から、人を妬むという感情は皆無だ。
    自分に決して自信があるわけでも裕福だった訳でもないのにだ(・_・;)
    素直に、お〜羨ましい!スゴイわぁ!と感じたことは数知れず…だけど、羨ましい人の言動自体に感激し喜びを感じる(*'▽'*)
    妬む、という感情に興味がない、と言おうか…やっぱり本来、能天気なのか〜(´⊙ω⊙`)
    知らんけど。

    それにしても、豪快に見える花実の母ちゃんも、
    とんでもない辛い体験をしても、だからこそ、娘の花実を大切にしたい気持ちと守りたい大きな愛情が芽生え幸せになろうと頑張ってる、その姿を見て成長する花実は、とても健気で思慮深い子供だ!
    どんなに親が大切に子どもを育てたとしても、すべてにおいて花実のような優しい良い子に育つわけではないと思う。
    花実の優れたところは、冷静に物事見て判断できる賢さ。優しい思いやりに溢れた行動で相手によく思われたいというより、こう感じたからこうしたいと素直に受け止めた気持ちを相手にさりげなくしてみるという負担をかけない程度の行動が相手の心に伝わる。
    しかしながら、同年代の心をしっかり掴みとるだけでなく、大人にまで信頼と安心感を与えるとは…スゴい少女だ!
    若くたって、作者のるりかさんの視野の広さと鋭いまでの感性とあたたかい安定感が安心感を与えてくれるのだろう。
    胸に痛くて、涙が溢れそうになった時に…
    ポロリ涙が落ちる前に、エッ!なぬ(・・?)
    フト、笑いに変えてくれる潔さ。
    もう、真剣に考えこんじゃたよ〜と思いつつ、いつだって、真剣勝負なんだ!きっと。

    本作に於いては、主人公であるような花実の活躍した物語りではなく花実は…どちらかというと聞き役の立場に徹してたように思えるが、本の中で出会った私にさえ安心感を与えてくれた。 
    何だろう、この花実からもらえる悲しみの中の希望とワクワク感にすっかり夢中になってしまった。
    この少女花実の行く末の楽しみ♪
    作者るりかさんの作家としての今後の成長も楽しみと期待でいっぱいだ!
    良い本読めて…本当に良かったです。
    ついで、前作に続き本作を送る姪っ子の心に響いてくれれば嬉しいなぁと思います。ෆ❛ั◡❛ัෆ✩⃛*⁎

    ところで、本作に登場する賢人くんの過去と現在に触れて…現在は汚く寂しいような生活を送っているが、彼には何かある!とずっと感じているし…汚い風貌でも爽やかな気持ちを持っている彼のことが、結構…?かなり好きになった。ひとりぼっちの太陽の光がひとりぼっちの彼のもとへ降り注ぎ、幸せな道を歩いてゆけますように…。

    • 松子さん
      ひろみ、おつかれさまっ(^^)
      姪っ子ちゃんへのプレゼント決まったねぇ!
      嬉しいねぇ(^^)

      続編も気になるお話ばかりだわっ
      三上くんや木...
      ひろみ、おつかれさまっ(^^)
      姪っ子ちゃんへのプレゼント決まったねぇ!
      嬉しいねぇ(^^)

      続編も気になるお話ばかりだわっ
      三上くんや木戸先生のお話も、花ちゃんとお母さんの事も気になりますっ♪

      レビューからはひろみのあったかな人柄が伝わってきて、そんな温かな人柄のひろみが感動した本っていう事も含めて、続きが読んでみたいわっ
      メモしておこうっと_φ(・_・
      いつも読んでいて心がほっこりする、素敵なレビューありがとう♡
      2022/10/31
    • hiromida2さん
      まっちゃん、おつかれさま〜(・0・)ゞ
      ありがとう(^-^)v
      一緒に喜んでくれて嬉しいよ!
      そんな、まっちゃんこそ優しいわヾ(✿❛◡❛ฺ...
      まっちゃん、おつかれさま〜(・0・)ゞ
      ありがとう(^-^)v
      一緒に喜んでくれて嬉しいよ!
      そんな、まっちゃんこそ優しいわヾ(✿❛◡❛ฺฺ)
      忙しいところ、いつも優しいコメントもありがとう♪
      まっちゃんの明るく…涙もろいあったかい人柄に
      そして…レビューに、こちらこそ癒されてます♪
      続きも気になる登場人物の過去や今に至る思いまで
      理解出来て良かったよ!また時間ある時に読んでね♡
      2022/10/31
  • しまった。。。

    さよなら、田中さん
    を読まずして、こちらを先に読んでしまった。
    多分前作を読んでいたら、全く違う感想になったのだろうなぁ。。。。


    いやでもしかし、読んでなかったが良い作品だった。
    それぞれに沢山の悩みを抱えた人物が沢山登場するのだが、どの話に出てくる人も、みんな前向きで美しい。

    これがこの作者様の魅力なのだろうなぁ。

    木戸先生、よく出てくるなぁと思ったら、最後の短編で木戸先生が。

    こんな展開もとても素敵。
    そして、えーーー!!そんな落ち!?って、どこかほっこり(^-^)

    作者様はまだお若いのに、凄い実力だな。
    他の作品も読んでみたい。素晴らしい(*^^*)

  • 「さよなら田中さん」の続編。

    前作を読んだ時は、これを中学生が書いたのか⁉︎と驚くばかりだったが、今回も冒頭から「三波春夫のシベリア抑留の話(知らなかった)」や、「お大尽」なんて言葉が出てきて、作者は本当に高一⁉︎とまたまた驚愕。
    今作品も、金言格言目白押し。
    中一とは思えない花実ちゃんの、真っ直ぐながらも物事を冷静に客観的に捉える姿勢。
    オバサンも見習わないと…。

    本書は表題の花実ちゃんが主人公である「太陽はひとりぼっち」の他に、
    前作で全寮制のカトリック学校に進学した三上くんの学校生活と夏休みの帰省を描いた「神様ヘルプ」、
    花実ちゃんの小学校の恩師ちょっとオカルトな木戸先生の過去に触れる「オーマイブラザー」

    もおさめられている。

    3つの物語の中では、最後の「オーマイブラザー」が短いながらも一番印象に残っている。

    小学校高学年くらいから読めるだろう。
    中学生は、冒頭の「三波春夫」で止まらなければ読んでくれるかなぁ、あの年頃に読ませるのは難しい。
    2021.8.11

  • 鈴木るりかさんの作家デビュー作『さよなら、田中さん』第2弾。
    新年早々、花実と豪快な花実の母の物語の続きが読めてとても嬉しい。

    老いも若きも男も女も、みな居場所を探してる。
    誰にも縛られることなく、自分が自分らしく居られる場所を。
    誰もが羨む素敵な家に家族と共に暮らしているのに家の中で居場所がない、と嘆く花実の友人・佐知子。
    狭い借家でもお金がなくても大好きな母と賑やかに暮らす花実を見ていると、居場所とは単なる”場所”なんかではないんだな、と思う。
    自分を心から想ってくれる人が側にいて、全力でぶつかってきてくれる。
    他人が何と言おうと自分さえ居心地が良ければそれが一番の居場所。
    新年の始まりに大切な事を教えてもらった。

    いつも豪快な母も壮絶な過去とわだかまりを抱えていたこと。
    第1弾で行く末が心配だった三上くんにもちゃんと居場所が出来ていたこと。
    小学校時代の担任だった木戸先生の悲しい過去。
    読めば読むほど、このシリーズの奥深さに唸る。
    木戸先生兄弟の秘密のサインには泣けた。
    つくづく自分の居場所とは、時間をかけてでも自分で見つけて納得していくものだと思った。
    そして第3弾も必ず読もうと決意して本を閉じた。

    • nejidonさん
      mofuさん、明けましておめでとうございます!
      今年もどうぞよろしくお願いします。

      鈴木るりかさん、いつも楽しみな作品を書きますよね...
      mofuさん、明けましておめでとうございます!
      今年もどうぞよろしくお願いします。

      鈴木るりかさん、いつも楽しみな作品を書きますよね。
      そうか、あの三上君、元気だったんですね。
      最初の作品の、別れの場面で泣けて泣けて。
      お母さんにも何かわけがあったのですか。
      ああ、気になります。これはちゃんと読まねば。
      また良い本に出会ったら教えてくださいね。
      楽しいお話がたくさん出来ますように♪
      2021/01/02
    • mofuさん
      nejidonさん、あけましておめでとうございます。
      今年もよろしくお願いします。

      るりかさんは読む度にパワーアップしてるな、と感心させら...
      nejidonさん、あけましておめでとうございます。
      今年もよろしくお願いします。

      るりかさんは読む度にパワーアップしてるな、と感心させられます。
      あの三上くんのことは前回から心配していたんですけど、彼なりの道を歩んでいて安心しました。辿り着いた場所で頑張っていますよ(^^)
      花実ちゃんのお母さんのことは、まだ謎の部分もあるので第3弾で分かるのかな、と宿題を待つ気分(^.^;
      そして木戸先生にも泣かされました。
      るりかさんも学業と巧く両立させて、小説も書き続けてほしいです。

      nejidonさんのレビューをいつも感心しながら拝見させていただいてます。
      こちらこそ、楽しいお話しが出来ることを楽しみにしています。
      コメントをありがとうございました(*^^*)
      2021/01/02
  • 『さよなら、田中さん』の続編(?)、3編。
    「太陽はひとりぼっち」
    花実は中学生。ビジネスマンや老婆が訪ねてきたりで大騒動。
    「神様ヘルプ」
    中学受験に失敗した三上。全寮制のカトリックスクールに通っている。
    「オー マイ ブラザー」
    不思議な不思議な木戸先生の過去と兄弟のお話。

    若さというの…読んでいて勢い・力を感じるよ。それだけでなく、表現力や登場人物の描き方うまいなあ。やはり何よりも読んでて楽しいのがいい。前向きになれるし、気分転換にもなった、辛いことでも暗くならず、乗り越えてゆくしね。木戸先生のお話が最後、癖のある先生、木戸先生いいなあ。神様ヘルプは恋のお話でもあるけれど、それぞれ家族にまつわるお話、笑えるところあり、しんみりするところあり。まだまだそれぞれの人の続きを見てみたいなあ。

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著者プロフィール

鈴木 るりか(すずき るりか)
2003年東京都生まれ。史上初、小学4年生、5年生、6年生時に3年連続で小学館主催『12歳の文学賞』大賞を受賞。あさのあつこさん石田衣良さん、西原理恵子さんらが、その才能を手放しで絶賛した「スーパー中学生」。2017年、14歳の誕生日に大賞受賞作を含めた連作短編集『さよなら、田中さん』発表。近年では珍しいローティーンの文壇デビューで、各メディアの注目を集めベストセラーに。

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