国会議員基礎テスト

著者 :
  • 小学館
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感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093864954

作品紹介・あらすじ

政治家にも、資格試験を!

三世議員の黒部優太郎は、典型的なボンボン議員だ。部会や委員会をさぼってはデートに明け暮れていた。もっぱらその尻ぬぐいをしていた秘書の橋本は、自分が政治家になるという野望を隠さなくなった。優太郎は、自身の相次ぐスキャンダルと、橋本が周到に準備した策略にはまり、議員辞職を余儀なくされる。 橋本は補欠選挙を勝ち抜き、晴れて代議士となった。三権分立のうち、どうして一番大切な立法を構成する国会議員にだけ試験がないのかを疑問に思っていた橋本は、程なく、政治家にも資格試験を義務化する「国会議員基礎テスト」法案の立法に向けて邁進するのだが……。
「この国を変えるのは、読んだあなただ!」ベストセラー 『限界集落株式会社』の黒野伸一が国会議員の在り方に一石を投じる、全国民必読の政治エンタテインメント!!

【編集担当からのおすすめ情報】
物語は、Q&Aで展開! 読み進むうちに、政治についての理解が進みます。介護や貧困、過疎など、主人公を通して様々な課題に取り組めます。

感想・レビュー・書評

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  • 2016年に選挙権が18歳へ拡大されてから8年が経ちました。若い世代の声を政治に反映させるという目的は、果たしてどの程度達成されているのでしょうか。

    今でも、政権与党の政治家の不祥事やスキャンダルはなくならず、内閣支持率も高くはありませんが、選挙の結果は政権が交代することなく、「国民が声を上げても結局政治は変わらない」ということが続いているように感じます。

    結局、選挙をしても変わらない、という意見は度々聞かれますが、まずは投票に行くということが必要だろうと個人的には感じています。2021年の衆院選、22年の参院選では投票率がそれぞれ53%、54%でした。かろうじて「半数」は超えていますが、これでは「国民の不満を反映して政治を動かす」ことはできないだろうと思います。

    この小説の中には様々な政治家が出てきます。世襲政治家のボンクラ、理想ばかりが高いエリート官僚出身者、既得権益を守ることに奔走する政治屋タイプ…理想的な政治家とはどのような人物なのでしょうか。果たして、国会議員として立候補するために「その資質を測るための試験」を導入することは本当に日本のためになるのでしょうか。

    特に若い世代にはこの本を読んで、選挙に行って欲しいと思います。「自分が応援する人を国会に送る」ためであっても、「どうしても賛同できない人が国会に行くことを防ぐ」ためであっても、まずは投票に行かなければ何も始まりません。私たちの手に選挙権があり、「普通選挙」が行われていることは「当たり前」ではありません。歴史をふり返れば厳しい戦いがありました。
    選挙に行き投票するという権利の行使に、資格を審査する試験である「国民基礎テスト」はないのですから、恐れることなく参政権を使い、政治を国民一人ひとりが自分事として考えてほしいと思います。

  •  国会議員の資質というものに着目し、資格試験を味付けに用いたのが新鮮で面白かった。

     キャラクター設定が類型的だったが、現実の政治家や官僚にいそうな感じもするので違和感はない。

     ストーリーのほか、章ごとのタイトルにも工夫が見られてよかった。

  • 国会議員の検定試験というテーマが面白そうなので、借りてみました。
    とても軽い感じで読みやすく、号泣県議やうちわ大臣など、「そうそう、あったなぁ」という話も添えている。
    チャランポランな三世議員と、その尻拭いをする秘書が、どんな道を進んでいくのか…楽しく最後まで読み切りました。
    正直、現実の政治家には、不信感と諦めのような気持ちしか抱けません。
    でも、判断力、行動力、責任感、それらは政治家に求めると同時に、国民一人一人にも求められるものかもしれないと思いました。

  • ちょうど参議院選挙と時期が重なっていて、選挙制度や政党について現実とリンクさせながら読み進めました。

    選挙の度に国会議員に試験を受けさせて、パスした候補者のみ選挙に立候補できるという「国会議員基礎テスト法」。
    この法案が現実に通ったら日本の政治はどう変わるかな??と想像しました。少なくとも議員について一定の若返りは見込めるかな。でもきっと問題を作成する機関や大学教授を巡ってまた争いが始まって、沢山のカネや利権が動くんだろうな笑 でも、やらないよりはやったほうが、国民が政治に関心を持つようになるのかな…

    やっぱり自分が生きている社会のことは、人任せにしないで自分の意見をしっかりもって行動しないといけないな、と考えさせられた作品でした。

  • 政治と政治家に期待しなくなったのはいつからだろう。選挙のたびになんともいえない無力感やぼんやりとした不信感がつのるようになったのはいつからだろう。
    といいつつ、自分は政治のことをどれだけ真剣に考えているのかと問われると、ごめんなさい何も知りません知ろうともしていません、と答えねばなるまい。
    政治家がどんなことをしているのか。なにが政治家の仕事なのか。いままで知らなかったあれこれがよくわかった。議員と官僚の仕事の違い、そんなことさえ知らなかった自分を恥じつつも楽しく読了。ブラックな国家なんていらない。本当にこの国をよくしようと思っている政治家を、私たちが選ぶんだ。次の選挙が楽しみだ。

  • 『国会議員にもテストを!』

    行政を担う官僚、司法を担う裁判官は試験を乗り越えてその職に就くのに対し、国民の代表たる国会議員はノーテストでよいのか!?

    昨今の不祥事を見ると本当にそう思う部分もあるが、大切なのは学力だけではない。
    選挙やしがらみ、利権に縛られるではなく、本当に国民のことを考えている政治家に票が集まる仕組みになってほしい!

    政治家になるための手順や政治家を取り巻く法律も紹介され、政治の勉強にもなる一冊!

  • 三世代続く政治家一家のサラブレッド、黒部優太郎の秘書である橋本繁は官僚から秘書になった。
    政治家のアホさに嫌気がさし、典型的なボンボン議員の優太郎を落とし入れ後釜に。しかし国会議員基礎テストを導入しようとして党内の反発にあい、失敗。
    その頃、優太郎は介護に携わり、社会勉強の末、国会議員に立候補…

    テストはどうかと思うが、ある程度の常識はあって欲しいと切に願う。

  • 国政をめぐるドタバタ劇
    黒部優太郞は栃木県選出の衆議院議員でいわゆる世襲の3世。苦労知らずのお坊ちゃんで国会議員としての自覚がなく遊び回っている。
    優太郞の政策秘書の橋本繁は元官僚で優秀なだけにそんな優太郞を苦々しく思っている。
    そして一計を案じて優太郞を辞職に追い込み後任として当選するが…。
    作品の構成全体が「第一章 基礎編」、「第二章 中級編」、「第三章 上級編」、「実践編 選挙に出馬して議席を獲得せよ」となっており、各節も「政治とはなにか」、「党の公認を得る方法について述べよ」、「政治活動と選挙運動の違いを述べよ」と、本のタイトルで本書を貫くテーマである「国会議員基礎テスト」に連動している。
    議員の描写が懐かしの号泣議員や料亭議員など、時事問題を扱っているためにやや古びているきらいもあるが、全体として全く政治が変わっていないことにがっかりする。むしろ安倍管政権の結果、行政府が慢心し、野党がふがいないなど、より悪くなっているのか。
    ともあれ一度挫折した優太郞が様々な経験をして成長し復活するストーリー全体はベタだがなかなか読んでて楽しかった。
    映画やドラマ化したら面白いかもしれない。

  • 国会議員基礎テストをやろうと言ってもなかなかとおらないんだなぁ。

  • 面白く読み易かったですね。
    一度挫折した国会議員が紆余曲折を得て復活する。
    少し出来過ぎかなと自分は思うけどね。
    ある種のシンデレラストーリーかな。

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著者プロフィール

黒野伸一(くろの・しんいち)
一九五九年、神奈川県生まれ。『ア・ハッピーファミリー』(小学館文庫化にあたり『坂本ミキ、14歳。』に改題)で第一回きらら文学賞を受賞し、小説家デビュー。過疎・高齢化した農村の再生を描いた『限界集落株式会社』(小学館文庫)がベストセラーとなり、二○一五年一月にNHKテレビドラマ化。『脱・限界集落株式会社』(小学館)、『となりの革命農家』(廣済堂出版)、『長生き競争! 』(廣済堂文庫)、『国会議員基礎テスト』(小学館)、『AIのある家族計画』(早川書房)、『グリーズランド1 消された記憶』(静山社)、『お会式の夜に』(廣済堂出版)など著書多数。

「2021年 『あした、この国は崩壊する ポストコロナとMMT』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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