- Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093864510
作品紹介・あらすじ
つぶやき芸の作者によるサバイバル人生劇場
人間のおかしみを抽出した小説。ひねりのきいた真相。泣いた――乙一氏。
はじめて、小説で声に出して笑った。そしてラストに向かっての切なさと感動。凄い!つぶやき!――三村マサカズ氏
細部で笑わせながらも、ドラマとしてダイナミックなうねりもある、理想的な小説。中盤で必ず「おおっ」となります――和田竜氏
家に遊びに来た長女の彼氏にいいところを見せるために考えたヘネシー作戦とは? 息子を野球とサッカーの史上初の二刀流に育てるための前代未聞の秘策とは? そして、念願のスーパー店長への長く険しい道の果てに待っていた、予想外の結末とは?
伊澤春男、45歳。スーパー勤務。一見平凡な日常は、きょうも彼の脳内で戦場と化す――。
Twitterフォロワー約70万人の作者が、卓越した観察眼で描きつくした、七転八倒中年男の笑いと涙のサバイバル人生劇場。
カバーイラスト・西加奈子氏。
感想・レビュー・書評
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R3.2.28 読了。
どこかにいそうな中間管理職の中年のおじさんが、誰かのために陰ながら黒子のようにサポートしてくれる。誰かとは職場の上司だったり、妻や子供たちだったり。
そんなおじさんも自分の行いを認められ、「よくやった。」と褒めてほしいと願っているあたりは共感できる。
一度は出世話も出るのだがどんでん返しが待ち受ける展開に「え、えー。」と思わず声が出てしまった。
沖縄旅行後の家族団らんの場面は感動的だった。
ストーリーは粗削りで無理があるかなと思われる設定もちょこちょこ見られたが、ハートフルな作品で楽しませてもらいました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
つぶやきシロー「二作目」の小説だが、著者の作品を読むのは初めて。スーパーうめやの主任・伊澤春夫の"つぶやき"小説。「店や従業員、お客様のために」いろいろアイデアを練ってすべてを良くしよう、と奮闘するもなかなか評価に繋がらないところは、気の毒でならなかった。家族構成の内容に驚かされた。
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凄い本でした! 心の語りが凄い。確かに自分もこんな空想というか、心の移ろいをする。そうだよねーってところ正直ある。同じく都合よく空想してしまう。笑えるけど悲しい。部分的に自分と同じ。でも、ここまでの優しさには到底及ばない。本の題名が傑作。これ以上の題名はないのではないか!まさにこの題名しか思い浮かびません。 つぶやきシローさん、是非是非続編をお待ちしています。伊澤さんの応援団長になりたい!でも幸せなら、このままでいいか。。。
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タイトルがすごくキャッチーで、深淵なテーマを勝手に期待して読んだのだけど、ちょっと上がりすぎてしまったハードルを越えられずという感じ。
ところどころつぶやきシローっぽい表現があってそのは笑わせてもらったので、その分はプラス。 -
2020/08/16
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スーパーの店員をやっている伊澤さんのお話
7章からなり、それぞれ独立した話
つながっているものもあるので連作かな
伊澤さんは著者っぽい(イメージ)考えの人で
お店での出来事、奥さんとの出会いや家族のこと
などそれぞれ楽しめました -
芸人が書いた小説としては、これまで読んできた劇団ひとり、太田光、又吉直樹らのものと比べても、個人的には一番面白いんじゃないかと思う。
ごく平凡な小市民の煩悩や間の悪さを可笑しみをもって描いていくあたり、芸人としての著者の芸風そのものだが、あくまで優しさで包み込んだテイストになっているのがよい。
特に、主人公の家族との意外な関係性が解き明かされる中盤の展開にはよい意味で意表を突かれるし、それが終盤に向けて一層の暖かみを作品に与える効果が巧みに生み出されている。
個々の表現にも質の高さが感じられるところも多い。
掘り出しもの。 -
スーパーの主任伊澤春男45歳、妻と娘二人息子一人の独り相撲の話。ストーリーそのものは割と短く解説できる展開だけれども全篇に春男のあれこれ考え過ぎの自意識過剰の妄想と自己満足にまみれた頭の中の「つぶやき」があって面白哀しい感じ。こんな人なのに結婚して子供まで居るのは何でかな、と疑問に思う中盤あたりで、そうだったの!っという予想外のことが出てきて、ハッとなりました。単純なハッピーエンドでもバッドエンドでもないのが良かった。電車に美人が乗っていたら、というくだりが面白かったです。
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初作にあった読みにくさが省かれ、求めていたものが読めた気分。芸人である著者にしかできない、ネタ的おもしろさが自然に織り交ぜられておりやっとやりたかった(とおもう)ことができたね!とほめてあげたい。あわせて主人公の不器用さ、苦悩には共感してしまう。初作より受け入れてくれる場所が多くあって、読んでいる方もちゃんと救われた。著者の頭の中をそのまま覗いているような気がして、好感度上げずにはいられないな。