宿命の子

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 76
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (701ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093798631

作品紹介・あらすじ

父・良一を支えた笹川陽平の「復讐の物語」

本書は、競艇の創設に尽力し「日本のドン」の汚名を背負った故・笹川良一氏と、ハンセン病制圧を中心とした慈善事業を担う三男の笹川陽平・日本財団会長の、父と子の物語である。
1899年に生まれた笹川良一氏は戦後、A級戦犯容疑者として巣鴨プリズンに収監。48年の釈放後、51年のモーターボート競走法制定に尽力、全国モーターボート競走会連合会、日本船舶振興会を設立し、会長に就任。競艇の売り上げの一部を慈善活動に使う集金システムは、「右手でテラ銭を集めて左手で浄財として配る」と揶揄され、90年代にはメディアが“笹川帝国”批判キャンペーンを繰り広げた。
ロシアの沈没船引き揚げに大金を投じるなど、暴走を始めた晩年の父を陰ながら支えた陽平氏は、父なき後、父が特に心血を注いできたハンセン病制圧活動をライフワークに据えた。ジャングルの奥地など世界のあらゆる場所に自ら赴き、薬を届けて啓蒙活動に身を捧げる陽平氏の姿を、著者・高山文彦氏は「これは大いなる復讐の物語だ」と捉え、数奇なる父子の人生を綴ったのが本書です。
本書は週刊ポストで2012~2013年に全74回にわたって連載された。


【編集担当からのおすすめ情報】
メディアが長年にわたってタブー視してきた笹川一族の神話を解き明かし、その真実を明らかにした本書は、昭和史の裏面に光を当てた一級のノンフィクション作品です。著者が自身の代表作と胸を張るノンフィクション文学をご堪能ください。

感想・レビュー・書評

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  • 約680ページの大作だが、とても読みやすかった。笹川一家への見方が変わった。

  • あの笹川良一の三男であり、現日本財団会長の笹川陽平氏。その父子と家族を描いたノンフィクション小説。
    現在も精力的に活躍する、笹川陽平氏同行を含む丹念な取材と多くの資料から見えてくる姿。

    笹川良一=A級戦犯=競艇=財産=なんとなく黒幕 こんなイメージを、なんの疑いもなく持たされてきた。
    しかし、戦中、戦後の大手新聞社をはじめとするマスコミが、いかに国民を騙し、誤った方向に導いてきたかということを知っている私たちには、そのマスコミによって作られたイメージが正しいものであるとは限らないということも容易に想像できる。
    そして、現在の笹川陽平氏の精力的な活躍については、いうまでもない。
    その、陽平氏が「戦後最大の被差別者は父・笹川良一です。」という発言には、耳を傾けるべきだと思う。

    もちろん、本書は丹念に取材をする過程で、おそらく非常に陽平氏を理解し、尊敬もするようになった筆者によって書かれているのだと思う。だから、本書だけの情報を元に、マスコミの情報操作だと言い切ることはできない。
    しかし、戦後の日本を動かしてきた力の中に、我が国、我が国民のことではなく、米国、占領軍の政策を円滑に進めることを第一の目標にして活動してきた勢力があり、その勢力にとって不都合な人物は、汚名を着せられてきた歴史というものもあると思う。

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著者プロフィール

1958年、宮崎県高千穂町生まれ。法政大学文学部中退。2000年、『火花―北条民雄の生涯』(飛鳥新社、2000年)で、第22回講談社ノンフィクション賞、第31回大宅壮一ノンフィクション賞を同時受賞。著書に『水平記―松本治一郎と部落解放運動の100年』(新潮社、2005年)、『父を葬(おく)る』(幻戯書房、2009年)、『どん底―部落差別自作自演事件』(小学館、2012年)、『宿命の子―笹川一族の神話』(小学館、2014年)、『ふたり―皇后美智子と石牟礼道子』(講談社、2015年)など。

「2016年 『生き抜け、その日のために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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