クオリティ国家という戦略 これが日本の生きる道

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093798396

作品紹介・あらすじ

巨大経済を誇る「ボリューム国家」中国、アメリカに日本が対抗する唯一の方法は、スイス、シンガポールのように、小国であっても高い国際競争力を持つ「クオリティ国家」になることである。21世紀を勝ち抜くために必要な、クオリティ国家の実例を詳細に研究し、日本が進むべき針路を提示していく。

感想・レビュー・書評

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  • グローバリゼーションの中で、日本や地方都市が生き抜くためにはどうすれば良いか、という点が書かれている。

  • シンガポールやスイスなど、300万~1,000万人規模のクオリティ都市が、世界の繁栄の中心となる。
    日本でも道州制を導入の上、徹底的な規制緩和と各地域での独自の工夫により、各都市はそれ目指すべきであるという提言の書。

  • クォリティを意識する国家であったはずだが、いろんな場面で日本はその意識を忘れてきている。ただし、悲観するのではなく、どの分野でクォリティをあげていくかを早く決めることが大切だとおもう。

  • 少子高齢化や多額の国債などの問題を抱えながら、今の延長線上に豊かな日本を想像できる人は少ないのではないでしょうか。本書は、他国の事例をあげて日本の進むべき道を説いています。賛否両論あるでしょうが、これだけ明確にかつ説得力のある内容で未来を描ける著者に感銘を受けました。企業運営のスペシャリストが考える国策ってやっぱり興味深いです。

  • 経済規模は小さいが質の向上を目指すクオリティ国家の実例を紹介し、日本は道州制を導入してクオリティ国家を目指さなければ生き残れない、と説いています。

    欧州のクオリティ国家の例として挙げられている、スイス、ノルウェー、デンマーク、フィンランドは、民度の高さが印象的でした。

    シンガポールはリー・クアンユー元首相の強いリーダーシップが特徴。

    今の日本の政治家や統治機構では絶望的としています。読んでるほうも絶望してしまいます。

    唯一の希望が地方から国家転換の先行事例を作ることとし、大阪都構想に期待しています。

    著者の自慢が所々気になりますが、全体的には賛同できます。

  • スイス、シンガポールのような競争力を持つクオリティ国家を目指す、そのための道州制と説く大前節。アベノミクス三本の矢という言葉がメディアを踊るがまだ肝心の成長戦略が示されない新政権。一本目と二本目(金融と財政)だけではジリ貧な日本…。ま政府に期待して待つのではなく個々で成長戦略を練るしかない。

  • なんとなく、自分が思ってた事が書かれていた。
    日本は、もう終わってるって思ってたけど、それ以上にヤバそう。
    今の日本は期待が持てず不安しかない未来を変える事ができるのか疑問。

  • いつも雑誌SAPIOを通じて、大前研一さんの時事の考えを拝読しています。その素晴らしさは、考えにブレなく一貫性があること。今回も、前から提唱していた道州制の概念を、世界を俯瞰した上で、グローバルプレーヤーの第一人者として、クオリティ国家というフレームでスイス・シンガポール・北欧国家の飛躍事例を挙げて繋げてらっしゃる。圧巻ですね。
    おっしゃる通り、今の政治の延長線上では恐らく改善の域を超えないので、道州制という大胆な仕組みの変革が、カンフル作用を促すという論理にも納得です。
    さて、その鈴付け役として期待していた橋本市長の国政シフトをお嘆きになってますが、ご自身の今後の動向が愉しみでもあります。

  • クオリティ国家とは、経済規模は小さく、人口が300万人〜1000万人、1人当たりGDPが400万円以上で、世界の繁栄を取り込むのが非常にうまいという共通点がある。

    ・日本という国家の単位でとらえるのではなく、

    ・工業国、加工貿易立国モデル→高付加価値、生産性の高いクリエイティブ国家へ

    ・経済規模は小さくても、一人あたりのGDPが高い

    ・ベンチマーク先は、スイス、デンマーク

    ・教育戦略と産業戦略を連動させる→世界市場で勝負できる人材とサービスレベルを揃える

    ・国境を跨いで働く、移民を積極的に受け入れる、多様な人材の中で付加価値を生み出すワークスタイルをつくる
    China×Taiwan=CHAIWAN
    ・海外企業を誘致するためには、法人税の引き下げは必要
    ▼Wikipedia 国家戦略特区について
    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E5%AE%B6%E6%88%A6%E7%95%A5%E7%89%B9%E5%88%A5%E5%8C%BA%E5%9F%9F

    ・優秀な人材、企業を育てるためには、過保護な支援をしないこと。雇用規制

    ・世界と戦って稼がないと生き残れないという危機感をもつ。貿易比率は指標となる。日本の貿易比率は30%前後と低い


    スイスから学ぶ国家としてのイノベーション戦略と産業競争力をテーマに、自分がスイスについて調べたことをまとめてみました。

    ▼スイスと日本との共通点
    ・国土がせまい
    ・資源に乏しい
    ・ものづくり産業が強い

    ▼スイスの概要
    ・ 国土面積と生産高では日本の九州程度
    ・一人当たりのGDPは日本の2倍
    ・世界規模の大企業の本社あり
    ・世界最高水準の低失業率
    ・人口814万人

    ▼スイスに本社をおくグローバル企業
    ・ ロシュ
    ・クレディ・スイス
    ・リンツ
    ・トリンプ・インターナショナル
    ・ネスレ
    ・ロレックス
    ・オメガ
    ・スウォッチ
    ・UBS

    ▼日本が見習えることは経済・産業戦略
    世界最高水準の競争力とイノベーション力
    ・どの企業や産業でも付加価値の高い製品やサービスで競争優位を築いている
    ・ホスピタリティの高さも生かして観光大国を築いた点
    ・品質にこだわる点(高付加価値)

    ▼参考にしたい規制制度 スイスメイド法
    背景: 国内市場は存在せず、特徴的な高付加価値製品を製造・販売していくことが必須だった

    スイスメイド法の条件
    ・内蔵するムーブメントがスイス製であること
    ・ムーブメントの組み立てがスイス国内で行われていること
    ・ 製造者による検査がスイス国内で行われていること
    ・部品の少なくとも50%(価格ベース、ただし、組み立てコストは含まず)にスイス製部品が使用されていること
    ・ムーブメントの時計への組み込みがスイス国内で行われていること
    ・製造者による最終検査がスイス国内で行われていること

    ▼スイスの中小企業の戦略
    ・自ら新しい坂路を国外に開拓していくことが求められている。
    ・大企業が中小企業を支える構造になっていない
    ・スイスにおける連邦政府の産業施策とは、スイス企業を保護したり、資金援助したりすることではなく、「スイス企業をグローバル環境での激しい競争環境下に置くこと」である・
    ・イノベーションを支援しているわけではなく、製品やサービスの品質と価値の基準設定だけ

    ▼背景にあるのは人材能力マネジメント
    ・時計職人育成学校
    産業戦略と政府の施策が結びついている
    時計産業(ものづくり)を支えるための仕組みづくり
    義務教育の卒業後は、職業訓練校に通うケースが多い

    ▼参考
    いま日本企業が目指すべきモデルがスイス企業にある
    http://www.dhbr.net/articles/-/2993

  • 質の高い人材を世界から集め、民営化と規制改革を進め、スイスやシンガポールのように付加価値の高いクオリティ国家を目指しましょう。そのためには道州制が必要だそうですが、論理的つながりがよくわからない。一部の特殊事例で政治・経済全体を語っている印象。

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著者プロフィール

1943年、福岡県生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、東京工業大学大学院原子核工学科で修士号を、マサチューセッツ工科大学大学院原子力工学科で博士号を取得。(株)日立製作所原子力開発部技師を経て、1972年、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社。 以来ディレクター、日本支社長、アジア太平洋地区会長を務める。現在はビジネス・ブレークスルー大学学長を務めるとともに、世界の大企業やアジア・太平洋における国家レベルのアドバイザーとして活躍のかたわら、グローバルな視点と大胆な発想で、活発な提言を行っている。

「2018年 『勝ち組企業の「ビジネスモデル」大全 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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