戻ってきた娘

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本棚登録 : 182
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093567220

作品紹介・あらすじ

少女の成長を描くイタリアのベストセラー

13歳の時にそれまで育った裕福な家庭から、実の親と兄妹が暮らす田舎の貧しい家庭に突然戻されてしまった「わたし」。大人の都合に翻弄され、あまりに違う環境に戸惑い、寄る辺の無さに悩みながらも、実の妹という理解者と共に成長し、やがて大人を乗り越えていこうとする少女の姿を描く感動作。イタリアで30万部を売上げ、二大文学賞のひとつカンピエッロ賞を受賞、28か国に翻訳され、映画化も進行しているベストセラー。

感想・レビュー・書評

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  • 13歳の時、育ての親から生みの親の元へ返された主人公わたしは、恵まれた一人娘の暮しから子だくさんの貧困家庭へ。なぜ戻されたのか理由も分からない。
    これはつらい話だ…と覚悟して読み始めた。

    けれど語られる文体は淡々と静かだ。
    新たな暮らしに順応していく日々を描きながら、時々押さえられない感情が溢れだす。
    「生みの親と育ての親、二人の生きた母親を持ちながら、わたしは孤児だった」と感じる孤独は身を切るようだろう。語りが静かだからこそ、心が揺さぶられる。

    妹のアドリアーナの存在が大きい。装画がわたしとアドリアーナの二人が画かれているところからも分かる。貧困の中で逞しく育った妹の強さも要領の良さも、わたしに対する純粋な愛も救いとなった。

    わたしは大人の事情に翻弄され、つらい目に遭いながらも、ひねくれずに自分の足で歩んでいく芯の強さを持っている。

    その後どう生きたかを知りたいと思っていたら、続編があるらしい。
    日本での出版をお願いします。
    イタリアで映画化も決まっているそうだ。

  • 関口英子『戻ってきた娘』 | 小説丸
    https://shosetsu-maru.com/yomimono/essay/modottekitamusume

    EIKO SASAKI
    https://eikosasaki.com

    戻ってきた娘 | 小学館
    https://www.shogakukan.co.jp/books/09356722

  • 13歳の頃にそれまで育った裕福な家庭から産みの母のもとへ返された主人公。戻ってきたというより、戻された娘といったところか。最後に、なぜ返されたのかがわかるのだが、つらいなぁ……。

  • 貧富の差なのか文化の違いなのかしらんが、貧しい地域の子供たちは早くに働かせられたり、子供のうちから大人たちと社会的で現実的な話し合いをしいられたりする。そんな子沢山な家庭から養子として裕福な家庭に引き取られて育てられていた少女が突然実家という他人の家に戻される。3歳下の妹の方がしっかりして、世慣れている。娘は新しい環境に慣れるわけがない。でもやっぱり「子供時代」を昇華させられなかった人間というのは、現代でいうところのネグレクトなんだろうし、こういう物語はなー。人の立場考え方によって結構開きがあると思う

  • 大人の都合に翻弄される「わたし」が、彼女を取りまく特殊な環境の中で、出会った人、出来事、産みの親・育ての親との関係を通じて成長していく話。しかし自分でもびっくりするくらい、読後に残るものがなかった。

    思うにそれは作品のせいではなく、このところ本を読む、自分の中に言葉を取り入れるということをさぼっていた自分のせい。本の読み方、受け止め方、言葉の拾い方を忘れてしまったんだろう。ああ、もったいない。やっぱり読書は筋トレと一緒だ。読み続けないと、あっという間に読む力をなくしてしまう。

    ところで、我が家の長女は12歳。主人公の「わたし」と同世代。自分と同じくらいの年頃で、だけど自分と全然違う世界を生きる「わたし」のことを、いったいどんな風に感じるだろうか。小学校、中学校と大きくはみ出すもののない世界を生きてきた彼女が「わたし」の生きる世界をどう感じるのか、娘の言葉で聞いてみたい。

  • イタリアの貧富の差を描いた小説であるだけでなく、男性の暴力と貧困で暮らすための困難さを描いている。
     観光国イタリアではなくて、貧困にあえぐイタリアということで日本の万引き家族に似ている。

  • すごく好きな本だった。遠い国なのに情景が浮かぶ心境で,そういう本が好きなのだと思う。ニュー・シネマ・パラダイスを見た田中裕子の感想というか。続きも読みたくなる。
    他の人も書いてたけど,方言の翻訳って難しいなと思った。

  • 妹のちょっと舌足らず的な喋り方が(訳し方?)とてもすんなり入ってきてこの小説のアクセントになっていて、すごく好き。
    個性的な兄妹や環境、主人公の心情が痛いほど伝わってきてこの作者と訳者の他の作品も読みたくなった。

  • いかにも映画になりそうな物語。
    小さい映画館で、上映されそうな。
    イタリアの訛りを
    関西弁風に翻訳してあるのが、わかりやすかった

  • 自分を取り巻く世界とアイデンティティが同一である子どもにとっての、物のように一つの家庭から一つの家庭へと引き渡されるむごさ。同じ経験はしてないものの、幼い頃の痛みとそんな中でも日常のなかにあるささやかな幸福にそのまま触れられるような、瑞々しさに満ちた筆致が素晴らしい。

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