11人いる! (1) (小学館文庫 はA 1)

著者 :
  • 小学館 (1994年12月10日発売)
3.96
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本棚登録 : 3325
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (323ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091910110

作品紹介・あらすじ

不朽のSF、正・続2作合わせた新編集版!

宇宙大学受験会場、最終テストは外部との接触を絶たれた宇宙船白号で53日間生きのびること。1チームは10人。だが、宇宙船には11人いた! さまざまな星系からそれぞれの文化を背負ってやってきた受験生をあいつぐトラブルが襲う。疑心暗鬼のなかでの反目と友情。11人は果たして合格できるのか? 萩尾望都のSF代表作。

感想・レビュー・書評

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  • この題名は記憶にあるので「ひょっとしたら読んでるかも?」と思ったが未読だった。
    1975年の作品で小学館漫画賞を受賞し、NHKでテレビドラマ化もされていたので題名だけ強く刷り込まれていたのか?

    これを読んで、萩尾望都ファンになる人は多いだろう。
    いろいろと考えさせられる要素が豊富な作品だ。

    読み始めてすぐに科学と哲学の両方で「手塚治虫」の雰囲気を感じた。

    本作品の主人公はタダなのだが、突出して惹きつけられるキャラはフロルだ。
    フロルはまだ男でも女でもない両性体で、もう少し成長すると男か女かどちらかになる。
    フロルは男になりたいと強く思っており、言動は感情あけっぴろげのヤンチャ坊主だが、見てくれはきゃしゃな美少女。
    タダは性別関係なく(実際に性別未確定の設定である)一人の人間としてフロルが好きで、フロルもタダのことが好きだ。

    続編では、タダとフロルの関係性を前面に打ち出した物語になる。
    フロルは最後まで両性体のままだが、時に男性、時に女性と、このキャラをうまく生かしている。

    スペース ストリート はタダとフロルを使ったコメディだった。
    この二人のキャラはすっかり定着していて、いろんな物語の役回りを演じられそう。
    この後の作品でどのように登場するのかは知らないが、フロルの安売りはしないで欲しいと思ってしまう。

    萩尾望都さんの作品はもう少し読んでみるつもり。

    • 化け猫さん
      手塚が辿り着いた何処にこの作者は辿り着けなかったのか考えて欲しい。
      手塚が辿り着いた何処にこの作者は辿り着けなかったのか考えて欲しい。
      2024/01/26
  • 大好きな作品。特にフロルが元気良くていい。見た目美少女だけど性未分化で男口調。男前な性格の天使って感じ。……続きの作品も、好きです。

  • SF漫画の傑作!といわれる作品。1975年に描かれた漫画なんだけれど、今読んでもぐいぐい引き込まれ面白かった。何で今まで読まなかったんだろう。たぶんSFというジャンルに難しそうであまり興味が湧かなかったんだと思う。これを機会に食わず嫌いだったSFにも挑戦してみようと思う。

    とはいえ、なぜこの漫画を読んでみようかと思ったのか。それは、この「11人いる!」がミステリ小説などで紹介されていたから。へぇー、SFミステリ漫画か、ちょっと気になる、いやいやとても気になる……というわけで、今更ながら手にとってみたのだ。その結果、ミステリ漫画としても舌を巻くほどの傑作だった。
    ストーリーは難しくない。宇宙大学へ入学するための最終テストは、10人1組で宇宙船に53日間乗船すること。1名でも落伍者がでた場合は、全員不合格。ところが、乗船してみればなぜか受験者は11人いる。そして、息つく間もなく船内で爆発が起こる。それを皮きりに、彼らには次から次へと試練が訪れる。11人目の人物が何か陰謀を働いているのか……
    11人のメンバーは疑心暗鬼になりながらも、直感力を持つタダと美しい容姿のフロルを中心に、何とか試験に合格するために力をあわせていく。
    11人目のメンバーは誰なのか。一体何の目的があるのか。メンバーたちは、合格することが出来たのか、結果はいかに……

    もちろんSFとして、宇宙船での生活や、個性豊かなメンバーたちのキャラなどハラハラドキドキしながら楽しめる。そしてミステリとしても11人目が分かれば、あ、なるほど!と謎は意外と簡単なものなんだけど、人が死なないミステリが好き、古典的なミステリが好きという人にはおススメかも。

    とにかく、陰謀!陰謀!とわめく王さまであるバセスカはあんまり良いところがなかったけれど、一緒に収録されている「続・11人いる! 東の地平西の永遠」では、悩み苦しみ、悲しい友との永遠の別れを経験しながら立派な王さまに成長していく姿を見せてくれた。タダとフロルの関係も可愛らしくて見逃せない。

    • しずくさん
      ドラマの『11人もいる』に原作があって、しかもコミックだったのとかとお邪魔したのですが、全然違い、しかも萩尾さんの作品だったのですね!
      人...
      ドラマの『11人もいる』に原作があって、しかもコミックだったのとかとお邪魔したのですが、全然違い、しかも萩尾さんの作品だったのですね!
      人が死なないミステリー、良いですね。
      いつか読んでみたいです。
      2018/06/08
    • 地球っこさん
      しずくさん、こんにちは。
      コメントありがとうございます。
      同じタイトルのドラマがあったんですね。
      それは知りませんでした(*^^*)
      ...
      しずくさん、こんにちは。
      コメントありがとうございます。
      同じタイトルのドラマがあったんですね。
      それは知りませんでした(*^^*)
      『僕と先生』坂木司さんの
      「ないだけじゃない」というお話で
      このマンガは紹介されてました。
      こちらも人が死なない、日常の謎なので
      よかったら読んでみてくださいね~
      2018/06/08
  • ■11人いる! 121p
    この作品は読み返さなくてもいいくらい一コマ一コマ憶えていた。
    が、なぜこの本だけ見当たらないのか悔しくて再購入して読み返してみた。
    思い出すに、おそらく初・萩尾望都作品。
    たぶん同じ小学館の「ドラえもん」に入っていたチラシでこの文庫版の表紙イラストを見て、タイトルや絵柄に惹かれたんじゃなかったか。
    おじさんになって読み返してみると、「エイリアン」「遊星からの物体X」「イベント・ホライゾン」など思い出すものもある。
    そしてこれは続編で感想を強めるのだが……

    ■続11人いる!!東の地平・西の永遠 160p
    かなりはっきり異文化交流の話なのだ。
    発展と「未開」、信仰と文化、植民と異文化への憧れ、実際的に文明が齎されれば変革が内部からも起こる、など。
    中島らもが「ガダラの豚」などでインプリントしてくれたものの見方を、実は萩尾望都も教えてくれていたのだ、とおじさんが振り返っての感想。
    あと今回の感想としては、発表年が意外と早いことに驚き。初・SF長編なんだとか。

    ■タダとフロルのスペースストリート 32p
    単純に嬉しい。

    ◇エッセイ―美少年とは何者か:中島らも(作家)

  • さまざまな星から集まったエリートが受ける宇宙大学の最終試験。
    それは10人がひとつのチームになり、53日間宇宙船の乗員として船内にとどまること。
    その53日間は外部とのコンタクトはとれない。
    所がそんな大切な試験初日から1つのチームに異変が!
    何と10人のはずの乗員が11人いる。
    誰が11人目なのか?
    彼らは疑心暗鬼になりながら53日間を共にする事となる。

    さまざまな星から集まった11人が実に個性豊か。
    容姿も全く違うし文化も違う。
    この試験にのぞむ事情もそれぞれ。
    そんな11人がお互いを疑いながらも宇宙船で起こるトラブルに対し、それぞれの役割分担を果たしているのがいい。
    舞台が宇宙というのも緊迫感が高まり、物語の壮大さを感じます。
    この作者の話にしては、読後感もさわやかで良かった。
    またこの本には、「11人いる!」の続編、パロディ編も収録されています。

  • 再読。
    1994年発行だったけど今読んでもすごく新鮮でおもしろい。それぞれが未来へ向かって歩み出すエンディングがいいな~
    フロルが可愛い。

  • 本書は間違いなく名作古典である。
    まず魅力的な登場人物が挙げられる。主人公のタダは超能力を持つが未熟であり、その能力はなんとも心許ない。そのことが仲間内で疑心暗鬼を生んでしまうところもやけにリアルである。少年マンガの定型には無いタイプの主人公だろう。
    また素晴らしいのはフロルである。男女の性別が未分化の状態であるフロルは、外見は女性だが口調は男性的である。二次性徴前の女児がモデルなのだろうと推測するが、男性のぼくには想像がつかない人物像だ。しかしフロルは飲酒もするし少なくとも10代半ばか後半くらいの歳だろう。まさに「天使」的であり、その魅力は性的なもの以上に聖的に感じる。
    そしてストーリーもミステリ調かつSFでおもしろい。‬
    ‪また「続・11人いる!」という続編の作り込みもすごくて、これはアフターストーリーと呼べないほど一つの作品として独立してしまっている。‬

  • .

    『11人いる!』

    著 : 萩尾望都



    かねてより評判を聞いていた萩尾望都先生の
    作品を初めて拝読しました。

    これ迄に読んだ幾人もの漫画家さんが、
    尊敬する漫画家として萩尾望都先生を
    挙げており、前々から興味を持っておりました。

    伝説の漫画家の一人として、
    漫画のみならず方々に影響を与えており、
    私自身、最近は祖となる作品を鑑賞する機会が
    増えてきたこともあり、
    特別な書店へ足を運んだ際に勇気を出して
    この短篇を手に取りました。

    『11人いる!』はSF作品で、
    1チーム10人が外部と接触を断たれた宇宙船で
    53日間生きのびる試験を受けるが、
    宇宙船には11人いた!
    果たして無事合格できるのか、、。
    というお話です。

    各々の年齢・国籍・人種・性別・主義・容姿・文化・身分の違いを、11人を深い造詣で描写することで表現しており、考え方の反発や対話を通して読者に対しても問いを投げかけているのが感じられました。

    なんと現在より50年近く昔の
    1975年の作品との事ですが、
    鋭い洞察は現在に於いても普遍的で
    読者に新鮮な学びと面白さを与えてくれます。

    一つの面が悪い方向に働く時もあれば、
    全く別のタイミングで良い方向に
    活かされる時もあり、
    それが一層、その人の信念や、
    苦労に対しての人間としての
    深みを感じさせられ、
    そんな場面が沢山ありました。

    好きな登場人物は”フロル”です。

    『彼方のアストラ』が好きな方には、
    特に間違いなくおすすめだと思います。

    話題作・人気作ほどネタバレの多いこの現代に、
    一周まわって名作過ぎてネタバレされずに
    先の読めない展開を愉しめる作品は
    案外、最適かもしれません。

    .

  • 私にとっては三作目の萩尾作品。
    11人いる!、、、SFコメディというべきか。萩尾SFは神秘的ーなイメージがあるのですが(初めて読んだ萩尾作品がA- A'だったので。)結構ドタバタ感があって良かったです。主人公はタダなはずなのに、フロルのオーラがすごい、、、笑
    続編、、、実は続編のほうが好きですね、ハイ笑。まさかの11人メンバーが死んだりと滅茶苦茶物騒な作品だけど、雰囲気がすごい好みで、短編なのに色々キャラが出てくる上に凝っているのが良い。なんかさ、王子が11人いる!のときの王子とはまた違う味出てるよね。「成長してんなぁ」とか思いつつ親の気持ちで読みました。

  • 昔読んだ本の中に、萩尾望都さんの漫画を読んで、漫画家になることをあきらめたという一文があったのを覚えていて、いつか読んでみたいとずっと思っていた。そんなにすごい漫画家なのか?と思いつつ数ある作品の中から本書を選んでみた。
    絵の雰囲気は、嫌いではないし、物語にも引き込まれる。本書は座敷童風なお話を宇宙船の閉ざされた世界で展開する傑作SF作品だ。
    ほかの作品も読んでみたくなった。「ポーの一族」という作品がなぜか気になっている。エドガー・アラン・ポーを思い浮かべるので、ミステリアスな物語なのだろうか?とか、恐怖を喚起するような話だろうか?とか、勝手に想像を膨らませてしまう。

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著者プロフィール

漫画家。1976年『ポーの一族』『11人いる!』で小学館漫画賞、2006年『バルバラ異界』で日本SF大賞、2012年に少女漫画家として初の紫綬褒章、2017年朝日賞など受賞歴多数。

「2022年 『百億の昼と千億の夜 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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