ゴジラ S.P <シンギュラポイント>

著者 :
  • 集英社
3.65
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本棚登録 : 170
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087900811

作品紹介・あらすじ

TVアニメシリーズ『ゴジラ S.P』小説版!
2030年、千葉県逃尾市に一体の未確認飛行生物が飛来する。
「ジェットジャガー」と呼ばれる銀色のロボットと交戦の末、突然死を遂げたその怪鳥は「ラドン」と名付けられた。
その後、逃尾市周辺でラドンの死骸が相次いで発見されて――小説で描かれるもう一つの物語。

感想・レビュー・書評

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  • ユンとメイのパートをほぼばっさりと思い切りよく省いて、過去であり今であり未来である(?)そしてシンギュラポイントの具現化である(?)ゴジラとは何ぞやってところをかなりがっつりと描いている。たぶん『Self-Reference Engine』とかなりリンクしてる(巨大知性体ユグドラシルとか特に)。

    なので、アニメの謎解きというつもりで読むと、むしろ謎が増える感じだし、わからないものはあいかわらずわからないんだけど、円城塔の宇宙にどっぷり浸る感じがなんかたのしい。

    それと、ユンやメイが省かれているわりにおやっさんは生き生きと描かれていておもしろかった(笑)

    読むともう一度アニメ見たくなるよね……。

  • 2022-08-18
    アニメとは異なる視点、それも多重視点で語られる、もうひとつのゴジラS.P。本当の意味での異世界の侵略、生態系の乗っ取りあたりの筆致がノリノリ。
    アニメと本作、お互いを補完し合いつつ、それぞれが傑作。さすがです。

  • 面白かったー!円城塔さんの作品で一番読みやすかったです。

    この本単体だとストーリーが理解しづらいので評価が難しいんですが、ゴジラ、アーキタイプ、シヴァなど、アニメで早口で説明されて分かりづらかった要素がとても理解しやすくなってるので、アニメを見て少しでも面白いと感じた人は、この小説版も見ると相当満足してできるかと思います。

    特に面白かったのが、ゴジラの光線についての補足。なんで輪が展開した後に熱戦を放つんだと疑問に思っていたんですが、特異点という設定を利用した上でのCTCレーザー仮説という説明がとてもうまく、鳥肌立ちました。

    そして、やはり出てくるオキシジェン・デストロイヤー。やっぱりこれがないとですよね。妄想が膨らみます。

  • 本書はアニメのノベライズに非ず、『ゴジラS.P』という作品総体の、小説によって描ける部分、と言った方がいい感じがします。アニメと参照しあうことを促す一文もあり。

    まあ例えば小説『不思議の海のナディア』も『マザー2』も、小説だけ読んで当該のゲーム、アニメの内容を追うことができますが、本作はむしろアニメで描かれなかったところ、がメインになります。それは「私たちが少し賢くなって」「色んなことが分からなくなるまでのお話」の、モノローグをおったものと言えましょう。

  • ジェットジャガーが銀色って、アニメは「また別の話」だということなのか…

    それはさておき、KGよりRGについて言及して欲しかったナリ。(工場にはブランチがいなかった、のかな?)

  • アニメ「ゴジラS.P」小説版、とあるが、アニメ13話のノベライズということではなく、アニメのストーリー・世界を別の視点、中でも主にアーキタイプサイドから切り取った小説。
    世界観は共通だが、アニメの活劇的な動きのある印象に対して、こちらは(ゴジラなどの怪獣含む)関係者の群像劇という形。
    円城 塔が書いているSFなだけに、図説も入っていて楽しめる。が、JJの扱いなど大胆な省略もあり、世界観は難解で噛み応えある作品。

  • アニメのストーリーをバババンとぶった切り、新たな切り口を見せたという印象。
    アニメ見てないとストーリーはわかりにくいけど、ここで見せたいのはそういうのではないんだとも思う。そしてアニメをもう一度見返したくなる。

  • 難しかった。白黒映画のODも少しだけ触れている。

  • たまげた。凝すぎだよってくらい凝ってる。アニメのノベライズではなく補完的な話で、それぞれまた別のお話として独立をしている。
    少々読みづらさを感じる部分や違和感を感じる部分もあるのだが、それの理由についても納得感がある。全ては計算づくといった趣で、アニメ含めた作中の不思議な出来事も引っかかりも、結構な種明かしがされる。種明かしがされるから、全てが解明されるわけではなく、むしろ謎は増えるといった向きはある。
    再度アニメとこの本を頭から再度楽しみたくなってしまうのであった。

  • <不>
    炎上等の本はずっと昔に何冊か読んだ。昔と過去形なのは その時に彼の本は嫌になって読むのをやめたから。その理由は明確。書いてあることがなんだか分かりにくい。わざと不必要な文言をちりばめて読者を煙に巻いている。いや多分そうではなくて,それこそが炎上の才能で有り人気の秘密なのかもしれないが,僕には合わない。なんで物事をそんなにあえて分かりにくく書くんだ!

    という訳で今作は1959年生まれの僕の世代にとっては永遠の恐怖の象徴である『ゴジラ』だから読んだ。炎上の文章の分かりにくさはもうのっけから大爆発。なので分からなくても気にしないで読んだ,そしたら存外に面白かったw。

    難解な文章の例として本文176ページから少し長いがそのまま引く
    ーその形態は,あらゆる組織の可能な配置を新たな工夫も一緒くたに,利便性と効率性を優先して取り入れられていたー
    この文章でお分かりの様に 炎上は世界中の人々が良く知っている『ゴジラ』の形態をこの様な難解な いわば純文学的な表現で書いてしまうのだ。

    あ,そう言えば炎上は塵芥賞の受賞者だったのだ。ということは 根は純文学な奴 なのにこうやって怪獣ゴジラを書いているのだ。きっと幼少の頃のインパクトがあまりに激しかったのだろうな。分かるよ分かる。(炎上は1972年生まれらしい。僕とは13歳ほど違う。この年齢差が何を示唆するのかは分からないが,ジュンブン的文章はたとえゴジラであろうとも やはり僕には分からないのだ)

    しかし存外にも この類の小説が読み易い事にも気づいた。それは書いてある事が分からなくても気にせずどんどん読み進めて良いんだ!と思っていられること。これがミステリだったりすると,あれ? と思った瞬間に数ページも戻って読み返す行為を繰り返す。それはそれで好きだからやっている事で別にイヤではないが、いかんせん歳を取って来るとそういう事態におちいる頻度がどんどん増えてしまって、一冊読むのに時間が掛かってしょうがない。比べて本書は後戻りは一切無い。だって分からなくてもいいんだから。これは楽しい!

    以下かなり脱線するが、先日まだ解散しないで遣っているフォークロックバンド「ジ・アルフィ」の高見沢が、新型コロナバイラス禍津に罹患してしまった同坂崎幸之助のピンチヒッターとしてパソナリティを遣っていたラジオ番組 「K’s Transmission」 でしゃべっていた情報。
    今ハリウッドでは『ゴジラとコング』という題名で新作を制作中らしい。『ゴジラ vs コング』ではなくて『 「と」 』という題名に高見沢は注視していて、ということはゴジラとコングが共闘して他の怪獣と戦うのでは!と子供みたいにはしゃいでいた。

    今までは見た目で嫌っていた高見沢のことがこれでいっぺんに好きになった。(あとあの桜井さえ何とかなれば ジ・アルフィをも好きになれるかもしれないなぁ。でも曲はダメだ。あの長いギターリフは聴いてるとイライラするし、かん高い声での三声コーラスも気に障る。しかもどの曲もめちゃ長いので飽きて来る。僕はどしても アルフィ は好きになれない。すまぬ)
    さらに東宝でも新しいゴジラ映画を制作中らしく 2023年11月には公開予定らしい。たぶんCGを多用した作品になるのであろうが、出来れば僕の好きな「ぬいぐるみ」も存分に使って特撮して欲しいものだ。

    読書感想文を書く為にいろいろ調べていて分かったのだけれど、本書『コジラ SP.』はアニメシリーズとして2021年にテレビ放送され 今もNetflexで見られるらしい。もちろん原作/脚本は炎上等。いずれ観てみたいものだ。

    最後に,わが読書感想文中の「炎上」はたぶん全部「円城」が正しいのかもしれないがあえて我がPCの第一位変換漢字のまま貫き通してみた。だってこうでもしないと僕の様なエンタメ一辺倒でしかも工学者である身では ” ジュンブン ” には対抗できないのだ。(あ、意味不明だった、すまぬ)ついでにもしどこかでフルネェムを使い書いてあれば「等」は「塔」だろう。

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著者プロフィール

1972年北海道生まれ。東京大学大学院博士課程修了。2007年「オブ・ザ・ベー
スボール」で文學界新人賞受賞。『道化師の蝶』で芥川賞、『屍者の帝国』(伊
藤計劃との共著)で日本SF大賞特別賞

「2023年 『ねこがたいやきたべちゃった』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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