フランスの子どもは夜泣きをしない ―パリ発「子育て」の秘密―

  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087890044

作品紹介・あらすじ

3児の母親でもあるパリ在住の元ジャーナリストがフランス流子育てを観察分析し、秘訣を紹介する。夜泣きや食育、保育園などの様々な場面で、子どもを「小さな大人」として扱う様をユニークに描く!

感想・レビュー・書評

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  • 妊娠・出産・育児をテーマとした、アメリカ人の著者から見たフランス文化観察で、日本から見ると二重に異文化観察ができて面白い。異文化を知るのが大好きなので、私にとって異様に面白かった。

    ざっくり言うと英米系は、子どもが成長・成功するために自己犠牲を厭わない。そして実はそれが逆効果になることもある、という発見を著者はこの本を通して語っている。
    ざっくり言うとフランス人は、子どものために自己犠牲をすることよりも、自分が女であること、その結果夫婦の関係が良好に保たれること、そして自分が楽しく生活することを優先するのだと言う。

    例えば、子どもの健康のためになると思えば、英米系の母は何が何でも粉ミルクから我が子を遠ざけ、睡眠時間を削って母乳を与えようとする。
    一方、フランスの母はほとんど母乳をあげようとしない。赤ちゃんが田舎に出されて乳母に育てられた時代の名残で、フランスでは母乳が田舎くさいイメージがあるのが一つ。さらに、男は母乳をあげるところを見たがらないため、母乳をあげることは家庭環境に悪影響があると考えられているらしい。フランス人の母に産後の入院中、数日間多少母乳をあげさせるための説得として、「子どもへの健康上のメリット」では響かず「母乳を与えることはお母さんも楽しい」という説得をする必要があるらしい。

    神経質で極端なアメリカ人も面白いし(日本人にもそういうところあるけど)、「母」以外の役割を忘れないことに軸足を置くフランス人もまた面白い。出産後すぐに病院でワインリストが出てくるのもなんだか優雅でいいな〜。

    読み物として面白いだけじゃなくて、フランス流育児法もなかなか参考になりました。

  • フランスの子育て論はほぼ皆同じで、こうするべきという信念があり、自分たちもそう育てられてきたから迷いがない。子供も一人の人間として信頼され、ある意味子供扱位されない為、子供もしっかりと育つ。こどもを褒めて育てるべきという風潮がある中、子供を信頼し愛情持って厳しく育てるべきということを学んだ一冊。夜泣きに関しては早く読んで実践できてればと後悔。

  • 第一子妊娠中に読んだ
    子育て本は他に「カリスマ・ナニーが教える赤ちゃんとおかあさんの快眠講座」を読んでいた。
    二冊とも書いてある内容が似ている部分があり、思考が共感できるところがあったので(母乳にこだわっていない。母であるが旦那との関係、女であることに重きを置いている)、出産したら実践してみようと思う。

    2020/6/12 読了日

  • 初産をあと3か月後に控えた自分にとって、実りが多い読書でした。子どもとの向きあい方、人間関係、信頼関係。
    子どもが自己表現(泣く)したとき、「ちょっと待つ」ということが、本人のフラストレーションに対する力をやしなう。
    テレビでみる欧米人のイメージは、子どもをあやすときにオーバーぎみにリアクションをとると思っていたけど、フランス人は控えめ。
    褒めるときも控えめに。

    大学受験の英語教師、竹岡先生が言ってたことを思い出した。「指導者として難しいのは、生徒を褒めるタイミングを見逃さないこと。じっと我慢して待って、ここだ!というタイミングをつかめば、あとは勝手に勉強していく。適切な時を見極め、指導していくのが、教師という仕事なのだと思います。」

    自分の子どもも、のびのびと育てていきたい。

  •  パリ在住アメリカ人から見たフランスの子育て。肩の力がすっと抜けている彼らの姿勢、アメリカ人だけでなく日本人こそ見習うべき。

    ・ちょっと待つ。夜赤ちゃんが泣いたとたんにあやさない。まずは観察する。

    ・子どもにフラストレーションの扱いかたを学ばせるのが大切。心おだやかであることを重んじ、子どもの健康のみならず、両親の生活の質を重視する。

    ・「夫婦がなによりも大切だわ。だって、自分で選べるのはパートナーだけよ。子どもは選べないもの。夫を選んだのはあなたよ。だから、彼との生活を大切にしなきゃ。(中略)私にとっては、それが優先事項なの。」

    ・子どもに「枠組み」を教える。幼少期にしっかりと注意を向けて、何度も繰り返す。いったん拒否したことは取り消し不可能。方針を変えない。子ども中心ではなく親自身の要求を表に出す。

    ・ほめるときは控えめに。

    ・子どもには子どもに人生が、私には私の人生が、という考えかたを自分の心の地図に載せる。

     どれもとてもとても素敵な考え方だと思う。

  • この本を読んですっかりフランスびいきに。

    フランスについてもっと知りたい。

  • フランスでの育児の寝かしつけ、食事方法などを教えてくれる本。
    今までは、子どもを自由にをコンセプトにしていたが、枠組みの中で子どもを自由にしようと思った。際限なく自由にしていると、子どもが何をしても大丈夫な場所にしか連れて行けず、逆に子どもの体験=自由を狭めてしまいそうだと思った。
    フランス人が大事にする4つの言葉も納得がいった。私が小さい頃(今も)人が苦手だったのは、挨拶を自分からする事ができなかったことも一端にあると思った。
    また、フランス人が一人で寝れるようになるのが早いというのは知っていたが、今までは日本で今はやっているネントレには否定的な考えだった。しかしこの本に書かれている「この子の、一人で寝れる力を信じてあげるのよ」という言葉に納得した。実際その視点で子供を見てみると、夜中泣いているときは起きてはいなかった。今までは夜中に1〜2時間毎に起きていたのだが、3日信じて待っていたら急に朝6時まで眠れるようになった!子供の力を信じるって大事だと思えた今日の朝(11/1)でした。

  • フランスの子育ての文化は、フランス革命の影響が色濃く反映されているような印象を受け、とても読んでいて面白かった。

    フランスの子育てをそのまま日本での子育てで実践すると破綻するだろうが、参考にしたいエッセンスはいくつもあった。

    個人的には以下の点が印象的であった。

    ・人間は矛盾した存在であるということを大人も子供も理解して関わること
    ・子供は対等な存在であり他人であること
    ・従わない自由を得るには従うことを知る必要があること(枠組みの話)
    ・子供のことは子供自身が1番知っていること(リズムの話)
    ・フランスの食育について

    これがきっかけでいずれ子供とコース料理をゆっくり食べられる家庭になるとよい。

  • 全てに共感出来る訳ではないけれど、以下は参考になった。

    ・子供の可能性を信じて「待つ」ことが出来るようになるのを親が忍耐強く待つ
    ・何故泣いているのか観察する、すぐ抱き上げたりしない
    ・小さな一個人として接する、尊重する
     →他人への経緯を払うため、挨拶は絶対
     →親が先回りして出来る出来ないを決めつけない

    子供によかれと思ってやっていることが、もしかしたら思わぬ甘やかしや子供の可能性を狭めることになるのかもしれないと思った。
     

  • フランスに住むアメリカ人から見たフランスの子育て。
    情報に溢れる国の子育ては、その情報に振り回される事が多い。しかし、フランスでの子育ては大人が主役で信念を持ってやっている。筆者はそんな体験に触れ、戸惑い考えさせらる事も多いが成る程と納得する事も多い。文化を含めフランスらしさを感じる。

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著者プロフィール

ジャーナリスト。コロンビア大学大学院卒業。
『ウォール・ストリート・ジャーナル』の外国特派員としてブエノスアイレス、サンパウロに駐在経験をもつ。
現在、『ニューヨーク・タイムズ』のコラムニストとして活躍している。
夫と娘、双子の息子らとともにパリ在住 。
主な著書に『フランスの子どもは夜泣きをしない』(集英社)、『フランス人は子どもにふりまわされない』(CCCメディアハウス)など。

「2019年 『フランスの女は39歳で「女子」をやめる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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