予備校なんてぶっ潰そうぜ。

著者 :
  • 集英社
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087860429

作品紹介・あらすじ

大学受験には、実のところ経済格差や地域格差が存在する。そこで、「全受験生に公平な勉強の機会を」をスローガンに、東大生が始めたのが無料の授業動画サイト「manavee(マナビー)」。その、成功までの軌跡。

感想・レビュー・書評

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  • 花房孟胤さんが受験における「地域差」「経済格差」をなくそうと ネットをつかっての無料講義 http://manavee.com/ を立ち上げ運営する奮闘記。
    TVにときどき登場していて、知られている話らしい。
    その顛末を、彼自らが綴った一冊。

    自分の子供と同世代の筆者が、正直に並べた言葉はときに舌足らずで、ときに幼く、でも勢いがあって力があって、可愛げがあって。

    「自分が 教えてもらったことのおかげで行きたい大学に入れた。それをそのまま次の受験生に伝えたい。」
    これって、人類の集積知の土台、教育の基本ですよね。
    その本質をしっかり心に刻んで頑張っている。
    ほんとにTshin なんかぶっつぶせ!だ。

    ただただ頑張れや!納得するまで頑張れや!!と思う。

  • これは「地域や経済事情による教育の格差をなくす」そんな社会問題に主人公が仲間と苦難に立ち向かう物語だ。
    そして、この本のハイライトは主人公が内面の恥部を剥き出しに汚い感情を周りにぶち撒ける様だ。自分に正直になることや弱さを受容することがなぜ難しいか?それは自分が見るに堪えない行動をとる姿は偽物なんだと思いたいからだ。

  • 東進なんてぶっ壊そうと起業した東大生の経営苦悩記。レベル違うけど、学生イベントの企画運営をしたことある俺は、感心した。

     この本では、教育革命だとちょっと騒がれたその経営の実情を赤裸々に吐露している。恥ずかしい(/_/)
     さて、日本版カーンアカデミーはどうなるか!?


     「you tubeなどのネット動画サイトが普及したのだから、東進予備校みたいなのでるんじゃないか。」ということは多くの人が考えただろう。あとは誰が始めるか。彼が始めた、花房孟胤。
     多くの人がこのように考える一方で、なぜ動画サイトができて早々にこういったものができなかったのか。それはなぜ塾という存在があるかという問いの回答がすべて解決する。
     
     「勉強のモチベーションを維持するには他人が必要」
     manavee創設の動機は、遠隔地に住む受験生の塾に行けないという教育格差の是正、があった。では塾に行けないことの不利はなんであろうか。私は、先生の直接指導がないこと、だと思う。
     はっきり言って勉強は一人でできる。というか自力で臨まない奴は大成しない。だから、遠隔地に住んでいようが海外にいようが勉強はできるし、受験勉強もできる。じゃあなぜ多くの人々が塾や予備校を求めるのか。それは「学習環境を獲得」したいからである。
     塾という学習の場に行くから勉強に集中できる。塾で受験という志をともにする仲間がいるから勉強に励める。講師という課題添削マシーンがいる。これらのような自分の学習環境を整えることが何よりも大事で、教師の授業は二の次で、これが塾や予備校の存在意義だと思う。(東進のビデオ授業もはっきり言って自習教材で、大事なのは自分で解くこと。そしてチューターに支えてもらうこと。)

     そうすると、ただ授業を配信するというプログラムはどうなんだろう。…本でいいや。
     受験で大事なのは、自分の学習を親身に支える存在であると思う。一方通行の授業動画は、この点をクリアできない点で、受験勉強では物足りなくなってしまう。
     課題添付やSNS利用で対応しているが、充実したサービスには程遠いと思う。


     しかし、授業を無料配信するというのは、教育の格差是正に貢献すると思う。このシステムのおかげで、引きこもりも家で勉強できる。学生時代に勉強しなかった人がやり直しができる。「やり直し」という社会福祉的役割に貢献できる。無料で高校卒業程度認定資格は取れる時代になる。


     きっとこのような議論はし尽したんだろうなぁ…と思うくらい、創設者たちは悩み、議論し、行動している。彼らの気持ちは無視していうが、素晴らしいと思う。きっと彼らはこのmanavee作りで疲弊して、削られて、傷ついたこともあるだろう。それを知らない者から安易に褒められるのは気に障ることもあると思う。ただ、この経験が彼らの人生の大きな糧になることを祈りたい。

     このように書いていて、manaveeの存在価値はどうすれば確立できるか考えた。
     【manaveeの良い点】
    ●無料
    ●いつでも見られる(時間制限なし)
    ●動画が多い(多様性の可能性)

     【manaveeの悪い点】
    ●動画が多すぎる(選択肢の弊害)
    ●映像の質
    ●授業の質

     結局、クオリティが無料だからしょうがないというものになってしまっている。お金=価値=品質という世の理を払拭はできないか…。

     …
     …
     これ、公立学校と連携できないかなぁ。学校が受験勉強を教える場所になりつつある今、学校を受験教育から解放する機関としてmanaveeが日の目を浴びる場所にならないだろうか…。

     公立学校では最近、放課後に補講みたいなのをやっているが、生徒の自習教材としてmanaveeを使わせればいい。だったら、中学生向けの授業配信を用意することになるだろう。
     というか、公立学校がmanaveeをパクリ出したりして、先生が自分の授業をビデオに撮って、生徒に自習用として貸し出す仕組みを作ったりする。たぶん、佐賀県で始まるんじゃないかなー(例のタブレットを使って!)これができたら、先生は受験に囚われない授業をできるようになるかもしれない。だって、受験用教材を用意しておけば、保護者からの受験要望をスルーしやすくなる。ここから、教育の自由が少し復活するようになるのでは!!…ないかなー…
    ___

     この起業ストーリーを読んでいて感じたのは、資本主義の偉大さ。クソみたいな社会だけけれど、本当に良いものを作るために必要なシステムになっている。
     学生の夢は現実にボッコボコにされてしまうけれど、それに耐えうるタフな企画でないと、継続して成果をあげられる「事業」にはならないということ。

     夢って儚いなぁ。大人ってすごいなぁ…。

     花房氏も最後に言っている組織についてが、この本の結論なんだろう。
     「…僕がマナビーからいなくなったとき、そこに残った仕組みこそが、本当の組織だと思う。」

     教育とはまさにそういうものである。先生が必要なくなって、生徒が自立できてこそ本当の教育なのである。
     教育に革命を起こそうとしているmanaveeは使い捨てられる組織を目指してほしいと思う。


     私は花房氏と同い年。頑張ろう。

  • サクセスストーリーにしていない。
    スタートアップのナマの苦しみが突き刺さる。

  • 負の感情の描写が細かく、自身の感情を表現する技術の高さを感じた

  • この本を青臭いといったらオトナ枠になってしまう。

  • マナビーという教育NPOの立ち上げ奮闘記。
    実話なんだけども、まるで名作の小説でも読んでいるような気分になった。
    不器用な人間が色々な人達と出会い、ぶつかりながら前に進む話。

  • 何気に図書館で目にした1冊。
    いろいろ気になるところはあったが、教育の本、というより、組織というものがどのような経緯で立ち上がっていくか。というストーリーみたいなものを追う感じで興味深く読めました。
    ・・・教育はビジネスと勘違いしてはいけないのか。
    これからも考えていこうと思います。

  • 本の内容どうこうよりもたんに求めていたものとは違ったので星2つ

    大学時代にしておくべきは個の鍛練か和の編成か
    カリスマ経営者がいれば社員は口真似ができる
    創立者が抜けたときに残るのが組織

  • キラキラした学生の、悪く言えば起業自慢話なのかと思ったけど、最後の最後までもやもやして終わった。とことん、人間くさい内容で、読み終わってから、自分はこういう本が好きやねんなぁと思った。
    一歩踏み出したひとには、自然と味方がついてくるものなのか、と、あたたかい気持ちにしてもらえたように思います。読んでよかった。

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