- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087816846
作品紹介・あらすじ
「絵画をこう見れば、よかったのか!」
読めば名画がわかる、楽しくなる。
現役キュレーターによる“西美式"名画鑑賞法。
巷では、さまざまな切り口の絵画鑑賞法の本があふれています。そんな中で、絵画の鑑賞法の決定版ともいえるのが本書です。国立西洋美術館の現役キュレーター(学芸員)のふたり(イタリア美術史&フランス美術史)が「名画の見かた」をていねいに、わかりやすくレクチャー。“西美“所蔵の美しい名画のカラー図版を用いながら、ジャンル別(物語画、宗教画、風景画、静物画、風俗画…)にキュレーターならではの視点で語ります。さらに、知っておくと美術を見るのに役に立つトピックを集めたギャラリー・トークを収録。
[著者プロフィール]
渡辺晋輔(わたなべ・しんすけ)
1972年、神奈川県生まれ。国立西洋美術館主任研究員(国立新美術館主任研究員を併任)。東京大学大学院博士後期課程中退。専門はイタリア美術史。著書に『アート・ギャラリー テーマで見る世界の名画〈1〉ヴィーナス』(青柳正規と共著 集英社)、『ジョットとスクロヴェーニ礼拝堂』(小学館)、『ポケットガイドー西洋版画の見かた』(国立西洋美術館)など。「ラファエロ展」「グエルチーノ展」「ルーベンス展」などを企画担当。グエルチーノ国際美術史研究所(イタリア、チェント市)学術委員。
陳岡めぐみ(じんがおか・めぐみ)
1972年、東京都生まれ。国立西洋美術館主任研究員。東京大学大学院博士課程修了、学術博士。専門はフランス美術史。著書に『市場のための紙上美術館』(第27回渋沢・クローデル賞ルイ・ヴィトンジャパン特別賞 三元社)、『西洋美術の歴史〈7〉19世紀―近代美術の誕生、ロマン派から印象派へ』(三浦篤・尾関幸と共著 中央公論新社)など。「ユベール・ロベールー時間の庭」「シャセリオー展」「松方コレクション展」などを企画担当。2017年フランス芸術文化勲章シュヴァリエを受勲。
感想・レビュー・書評
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本の内容としては
Amazonより抜粋
国立西洋美術館の現役キュレーター(学芸員)のふたり(イタリア美術史&フランス美術史)が「名画の見かた」をていねいに、わかりやすくレクチャー
ジャンル別(物語画、宗教画、風景画、静物画、風俗画…)にキュレーターならではの視点で語る
内容がかなりモリモリなので、中でも今回一番興味を持った「セザンヌ」にフォーカスを…
セザンヌの絵
なんだかぎこちないバランスで落ち着かない絵だ
とずっと思っていた
なかなかの圧は感じるのだが、何が凄いのかちっともわからず
どうしても自分の中で遠近法の美しさから脱却することができない上、やはり近代美術に興味が持てない
しかし今回セザンヌの魅力をこの本で少し理解できたかも
まず遠近法について…
こちらの著の解釈は
〜なぜ美術史にとってルネサンスは重要か
ルネサンス以降19世紀末までの作品はどれも遠近法を使って描かれている
長い時代、画面の中心を見るただ1つの視点が想定され、「架空の世界を窓から覗き込んだ」ような空間を描いた〜
やはり鑑賞する側も遠近法に慣れているので、当たり前と思いがちだ
頭の中の認識が遠近法がベースになっているため、遠近法からズレた絵に対し違和感を感じでしまう
しかしここでは面白いことが書かれていた
〜私たちがリアルそのものと考えているこの遠近法にのっとった表現方法は、私たちが実際にものを見る方法とはまるで異なっている
なぜなら、私たちが対象を見るとき、視点を固定すると言う事はありえないからだ〜
確かに人の目が焦点を合わせられる範囲は狭いから周りはぼやける
だから視点を動かしつづけなくてはならない
この断片的な情報を脳が再構成して記憶と統合する
見るという行為はなんとも知的なものだ!
ここをどのように表現していくか…
画家にとって大変難題かつ興味深いテーマだ
さまざまな方法で画家たちがこのテーマに挑んだ
セザンヌはどうしたか…
彼は遠近法を放棄して、いくつもの視点から見た対象を、画面の中で再構成するということを行った
つまり実際の絶えず視線を動かして目で見るという行為そのものに極めて近しい
セザンヌは遠近法の矛盾に気づいて、新しい空間を作ったのだ
さまざまな角度からセザンヌの絵を観るようこの本では勧めている
確かに印象が変わってくる
斜めに見ると絵の深みが増す
普通に正面から観ると、机の高さが違ったり、モノが歪んだり多くの違和感があるのだが、見る角度と距離を変えるとしっくりくる場面があったり、なんだか印象が違って見えて面白い!
〜当初同じ印象派のモネは光の追求の極致となり立体感が失われているがモネは垂直線と水平線が強調され画面に奥行きが表されている
印象派の手法を用いつつ、他の印象派の画家達が失った秩序と構成を取り戻し、自然を前にしたときの感覚を再現しようとしたセザンヌ〜
この知識を忘れずにホンモノのセザンヌを改めて鑑賞する日が待ち遠しい
カラーで非常に良いのだが、絵が小さいので細かいところまでは残念ながら確認しづらい
内容はかなり盛りだくさんで、一読だけではもったいない
まじめでお堅めな内容ではあるが、ところどころお二人のキュレーター(学芸員)の美術に対する熱い思いが伝わる
後半のギャラリートークには、美術館、修復、展示会、美術品の収集などいくつかのトピックについてエッセイのようになっており、なかなか興味深い
美術館に行くのがまた楽しみになる一冊
余談
ああ、空いた美術館に行く贅沢を味わってみたいなぁ…
特に東京の美術館は人が多すぎて決死の覚悟がいるのだ!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
私たちはカメラで、目で見たままの景色を写すことができるのに、未だに絵を見る理由はなんだろうか。
序盤に書かれているこの言葉に、少しハッとしました。
ロンドンナショナルギャラリー展を前にして、忘れかけていた絵との向き合い方。
以前読んだ本にも目を通しながら、この本も別の角度から切り込んでいて面白いと感じて、購入しました。
景色を絵に描こうとした時に、その人の解釈が絵に宿ると思います。
ルネサンス期に登場した、遠近法を使うことで、額縁を窓のように見立てたり、カラヴァッジョをはじめとする、明暗を分けて、主題を強調したり。
そして、印象派のように、光を絵の中に取り入れるための技法。
現代に近づけば、さらに技術は複雑化し、そもそも絵とは何か?アートとはなんだろう?とアートの限界に挑む、マルセル・デュシャン。
最近では、ステンシルアートとして有名なバンクシーなど、もはや、逆にカメラで作品を撮影するようにまでなりました。
どちらかと言えば、絵に関する見方よりも知識が欲しいと考えている方に、こちらの本をお勧めします。
本編もさることながら、後編のギャラリートークは、絵に関わる、「外」の世界のことについて書かれており、こちらも魅力的でした。
特に印象深かったのは、最後の方に書かれていた言葉でした。
『私たちは絵を見るとき、それが昔の西洋の絵だとわかっていても、私たち自身の、つまり現代の日本の生活に涵養されたまなざしを向けてしまう。それは仕方のないことだし、それでも鑑賞に堪えるのだが、絵が描かれた時代の人々はまったく別の象徴体系に根ざした感性によってものを見ていたということは、頭のどこかに置いておいたほうがいい。』
これは、本においても、同じことがいえるような気がします。 -
ルネサンス以降の絵画の流れや、どういったことに着目すると良いのかをキュレーターが解説する一冊
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国立西洋美術館の学芸員(キューレーター)による西洋美術鑑賞のガイド。前半では、主に西洋美術館所蔵の作品を使って、西洋美術史の大きな流れを解説し、後半では学芸員ならではの視点で西洋美術の様々な側面をエッセイとして語っている。
前半では、人物の表現、宗教画、物語画、風景画、静物画、風俗画と、それぞれの絵画の鑑賞のポイント・知識が、教養として身につく。後半のギャラリートークでは、美術館や展覧会の事情などが語られ、こちらも非常に興味深い。
入門書に位置づけられているとは言え、イタリア美術、フランス美術を専門とする学芸員ならではのアカデミックな要素も盛り込まれて、読み応え十分のガイドである。 -
国立西洋美術館のコレクションを詳細に解説した好著だ.宗教画という分類での説明はよく見るが、物語画、風景画、静物画、風俗画というジャンルでの解説は異なった視点での見方もできるという事例を紹介しており楽しめた.随所に従来の解説への反論などもあり面白かった.
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西美のキュレーターによる、西美所蔵品を中心的に用いた西洋美術のジャンルの解説と、美術にまつわるギャラリートーク。
知ればもっと楽しくなる、ホンモノを見たくなる本。また、西洋美術を体系的に語るのに耐える網羅的な西美コレクションの凄さ、それに日本で誰でもアクセスできるありがたさにも改めて気付かされる。 -
絵画の見方を改めて再確認できた。
時代が進むにつれて如何に美術作品が変化していったかを知れる。国立西洋美術館にふらっと行ける今の間に出会えて良かった。 -
上野の西洋美術館へ行く、一層のインセンティブがこの本で得られたました。
ルネッサンス基やそれ以前の作品には馴染めないモノがあるのだけど、その壁がこの本でかなり打ち破れたかもしれない。
たくさんの既にみたことのある作品が出てくるので馴染みもあるけど、より深く味わう秘訣がここで得られました。
(再開したら、スグにでも常設展に行きたい!) -
よくある美術ハウツーものとは違ってなかなか本格的。
ある程度知識がある方がより理解できると思う。