- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087815177
作品紹介・あらすじ
なぜ、写真家は、自殺した妻・クリスティーネの最期をカメラに収めたのか?写真家・古屋誠一の人生を写真家・小林紀晴が描く渾身のノンフィクション。
感想・レビュー・書評
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生や死を自分の表現にしてしまうことについて写真家が考えたこと
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アジアン・ジャパニーズで知られる写真家・小林紀晴さんが、20年かけて写真家・古屋誠一さんについて書いた一冊。
写真家・古屋誠一はオーストリアのグラーツに住み、写真家として活動をしていた。
そこでクリスティーネと出会い、結婚し、長男をもうける。だが、幸せな日常は長く続かず、クリスティーネの精神が不安定になり、入退院を繰り返すようになる。
そして、その数年後、クリスティーネは自宅のアパートから身を投げ出してしまう。古屋はクリスティーネの投身直後に地面に倒れている彼女の姿をアパートの階上から撮影した。
そして、その写真を含むクリスティーネとの日々の写真を発表した。
写真群には、健康で幸せそうなクリスティーネが、どんどん精神的に追い詰められていき、最期には亡くなってしまうのだが、その変遷が写し出されている。
狂気を感じさせるオススメの一冊。 -
古屋誠一は自殺した妻(オーストラリア人)の写真集を何冊も出しているらしい。
このことに対する他の写真家とのやりとりもあったりする。
悲惨な現場を撮影するのは、写真家の性らしい。
p.51 藤原新也の書評集『末法眼蔵』 8Fアート740.4フ 市立
p.282 スーザン・ソンタグ『他者の苦痛へのまなざし』 県立 8F一般070.1ソ 大学070.17So48 -
複雑な思いに引き裂かれそうになる。
一筋縄にはいかない。
単純な「物語」にして理解した気になっているようでは、この人物に近づくことはできない。 -
古屋さんの外国に一人何年も暮らしている根無し草の感じがとても伝わってくる。そして家族に障害者がいると周りの冷淡な目がいやで、家族だけひっそり塀に囲まれて暮らしたいという感覚、分かる気がする。また、この本でやっぱりアラーキーはすごいと思ってしまった。小林さんの本は面白いが、エンジンかかるまでちょっとページ数かかるね。
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古屋誠一氏の写真を初めて知った頃からずっと、どうにも気になる写真家で、謎めいていて、氏の写真を観ると気持ちがざわざわして、結局あまり後味の良い写真では無いのに観てしまう。
その写真家を写真家の小林紀晴氏がどのような文章で表現するのだろうかと、タイトルをみてすぐにこの本の手に取った。
じわじわと謎が解き明かされていく感じ。
そういう想いでの作品の発表というのもあるんだなと思わされた。
この本の最後に「エピローグ」としてまとめられた一章は、写真家全般における心理の矛盾や葛藤といったことで締めくくられており、その感覚はとても共感できた。
やはり写真というのは、思想だとの確信が強まった。
とても読み応えのある一冊で、一気に読み進めてしまったくらい惹きこまれる内容であったが、評価を行うことは控えたいと思う。 -
感想はうまく言えない。
ずっと忘れない一冊になると思う。 -
古屋誠一が精神の正常⇔異常の境にとても興味を持つようになった背景にあるのが、知的障害のある弟との存在も大きいようだ。
白い目でみられていた弟をみつめながら”塀のなかで誰にもなにも言われずに暮らしたい”みたいな事を言っていたのが印象的だった。
それは、知的障害、精神障害の家族が持つ思いとして共通したものだと思うから。 -
久しぶりの小林紀晴。古屋誠一の写真集を買わねば、と思った。