林檎の礼拝堂 La chapelle des pommiers

著者 :
  • 集英社
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087811650

感想・レビュー・書評

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  • 美しいノルマンディの田園風景の中で、廃墟と化していた16世紀の小さな礼拝堂。その礼拝堂と運命的な出会いをした日本人美術家が、10年の歳月をかけて「林檎の礼拝堂」として再生した。その軌跡をデッサンと写真で綴る。
    (1998年)

  • きっと古いイチイの木が著者を呼んだんです。だから愛される礼拝堂が復活出来たんですね。

  • カテゴリ:図書館企画展示
    2014年度第2回図書館企画展示
    「大学生に読んでほしい本」 第2弾!

    本学教員から本学学生の皆さんに「ぜひ学生時代に読んでほしい!」という図書の推薦に係る展示です。

    永田佳之教授(教育学科)からのおすすめ図書を展示しました。
        
    開催期間:2014年6月16日(月) ~2014年9月30日(火)【終了しました】
    開催場所:図書館第1ゲート入口すぐ、雑誌閲覧室前の展示スペース

    フランスのノルマンディー地方の人口7千人余りの小さな街に朽ちた教会があり、その教会と「出会った」日本人がいます。彼の名は田窪恭治。家族を連れて、10年にわたりその地で暮らし、試行錯誤の末、地元のリンゴの木と実を教会の壁画に描いた美術家です。たわわに実るリンゴで蘇った古教会は欧州でも知られる芸術「作品」となりました。
    私はこの古教会と作者に遭いたくてノルマンディーを訪ねたことがあります。この訪問が縁で、田窪恭治先生とは2012年から陸前高田市で聖心女子大生共々、被災地支援活動に一緒に取り組ませていただいています。昨年は、世界で唯一のリンゴの木を被災地の子ども達と一緒に描いたりもしました(作品は2号館4階に展示されています)。

  • (2013.07.15読了)(拝借)
    1997年にNHK教育テレビ「新・日曜美術館」で「礼拝堂再生」が紹介されてからず~っと気になっていた本なのですが、やっと読むことができました。
    かみさんの本棚にあることは、知っていたのですが、やっと手に取りました。
    1987年に、田窪さんが廃墟と化したフランスの田舎の礼拝堂に出会い、ひと目ぼれして、自分の作品として再生したいと願い、寄付金を募集し、所有者の村とも契約して、実現にこぎつけた苦闘の記録です。
    1989年、夏に一家5人で礼拝堂の近郊の町、ファレーズ市に引っ越し。
    3人の息子たちは当時、12歳、10歳、9歳でした。(25頁)
    礼拝堂の模型を製作して、あれこれ検討の結果、屋根をガラスの瓦で覆うことに決定。
    「透明なガラスや磨りガラス、そして淡い青や緑、紫の色付きガラス、それらを透かして入ってくる光を観察しながら、一枚のタペストリーを織るように作り上げたい」(45頁)
    屋根を完成させた後は、尖塔を持つの鐘楼の修復に着手。鐘楼の屋根の形を雨漏りしにくいものに変更。
    次は、礼拝堂の床。新日鉄提供のコルテン鋼使用。新日鉄が寄付するというのに、関税をかけるとフランス政府は言ってきた。粘り強い陳情の結果、ぎりぎりの段階で、免税となった。
    最後に、壁面に林檎の木を描いて完成。

    【目次】
    序文
    はじめに
    (1993年)
    美しいノルマンディーの田園風景の中で廃墟と化していた礼拝堂
    何の目的でやってきたのか? 村人たちの不信、そして理解
    フランスの田舎町での筋書きのないドラマの始まり
    礼拝堂の模型の中を歩いているような錯覚に……
    屋根を取った瞬間に見えた新たな礼拝堂
    透明なガラスと淡いガラスと光をタペストリーのように織り込む
    (1994年)
    職人さんたちに工事費用を支払うことができるのだろうか?
    礼拝堂を彩る6色のガラス瓦をモザイクのように置いていく
    ガラス屋根の後陣に現れた十字架
    満月に呼び醒まされた〝彼女〟の鼓動
    (1995年)
    思いがけなく立ち塞がったEUの関税の壁
    新しい表現のための制度づくりに取り組む
    プロジェクトにかかわる若き才能者たち
    捜しあてた壁画の技法と最終的なイメージ
    なぜ、林檎なのか?
    (1996年)
    ラスコーの壁画がもたらす「懐かしい」世界
    千年ノエルの冬に待ちに待ったコルテン鋼が到着
    すでにあるものをさらに生き生きとした存在に
    動きはじめた礼拝堂
    (1998年)
    透明な空気や吹く風の中に、ものの本質を決定するイメージが
    あとがき
    礼拝堂プロジェクト略年譜
    アソシエーションメンバーと契約書
    サン・ヴィゴール・ド・ミュー礼拝堂プロジェクト参加の企業と個人名リスト
    礼拝堂を作った人々
    サン・ヴィゴール・ド・ミュー礼拝堂へのアクセスとファレーズ・ガイド

    ●ラスコー洞窟(106頁)
    1940年、ラスコー洞窟壁画発見
    1963年、アンドレ・マルロー文化大臣が、壁画の損傷を恐れて閉鎖
    閉鎖されてから後は、1日に5人、それもわずか35分間しか洞窟内に入れなくなりました。
    洞窟に入るためには、ボルドーの文化省に申請し、許可を受けなければなりません。
    こちらからは期日は指定できず、許可が下りるまで1年近く待ちました。
    (2013年7月16日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    美しいノルマンディーの田園風景の中で、廃墟と化していた16世紀の小さな礼拝堂。その礼拝堂と運命的な出会いをした日本人美術家が、一家でフランスに移住し10年の歳月をかけ礼拝堂を「林檎の礼拝堂」として再生。NHK・フジテレビなどで放映され反響を呼んだ、礼拝堂再生の感動的な記録。

  • かわいかったけど、アートだったな。見に行ってみたい。

    タイトルと、見た目で思わず・・・

  • 10年前くらいに読んだのだけど、今だに深く記憶に残ってる。
    美意識の高さが際立っていて同じ日本人として誇りに思った。作者の創作過程の不屈の努力と真摯な思考にとても気が遠くなり驚いた。建物にもう一度いのちを吹き込むために、あらゆる対話を試みていた。普通ならすごく不安になるだろう状況でも作者は鋼みたいに気持ちが強い。地元の人々や風土との対話して、その対話から発生するイメージがすごく鮮烈で輝きに満ちているからすごい。

  • この礼拝堂は、本当に心惹かれます。全部好き。苦労のエピソードを読むと、ますます読みたくなります。いつか見に行きたい。

  • フランス・ノルマンディー地方の田園に廃墟となって打ち捨てられていた小さな礼拝堂、サン・ヴィゴール・ド・ミューの再生にエネルギーを注ぎ込んだ田窪恭治のプロジェクトの記録。建物の素朴な美しさと自然の光を生かした、地元の職人たちとの長い年月をかけた共同作業。内部の壁面に描かれた野性的な林檎の木。訪れる人だれにとっても、なつかしいものとしてよみがえったこの場所に、一度、行ってみたい。
    装丁がうつくしい本。

  • 買ってからずいぶんたつけれど読みきれていない。写真が美しいのでそれだけを繰り返し眺めて満たされている。手作りの礼拝堂の壁面に描かれたリンゴの木をいつかみたいなと思うのだが、金比羅さんでみた作者の椿から想像するに、きっと建物に馴染んでいることだろう。建築をやる人にしては独特の世界観をもっているようだ。

  • いつかここ行ってみたい。本物の木と林檎の木の絵がつながってるのいいな。

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著者プロフィール

田窪恭治
美術家。多摩美術大学客員教授、聖心女子大学招聘研究員。1949年生まれ。多摩美術大学在学中の1971年に初の個展「イメージ裁判」を開催しポストもの派を代表する作家として注目をあびて以降、国内外で活躍。1984年、第41回ヴェネチア・ビエンナーレ参加。1987年、建築家・鈴木了二と写真家・案齊重男との恊働プロジェクト《絶対現場1987》。1989年、フランス、ノルマンディ地方にあるサン・ヴィゴール・ド・ミュー礼拝堂再生プロジェクトのために一家でフランスに移住し、11年がかりで《林檎の礼拝堂》を完成。フランス政府より芸術文化勲章オフィシエを授与される。帰国後は、香川県金刀比羅宮の「琴平山再生計画」(2000~11年)、聖心女子大学のモザイク壁画《黄金の林檎-Le Pommier d’Or-》(2017年)など、作家が不在となったあとも「表現の現場」として生きつづける“風景芸術”を展開。著書に『林檎の礼拝堂』(集英社)、『表現の現場:マチス、北斎、そしてタクボ』(講談社)など。

「2021年 『《黄金の林檎》の樹の下で』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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