この命、義に捧ぐ 台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087805413

作品紹介・あらすじ

在留邦人4万人、無事日本に帰還!その恩義を返すため、将軍は、漁船で台湾へ向かった…。60年の歳月を経て今、明かされる日本人司令官の知られざる生涯。

感想・レビュー・書評

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  • そもそも金門島の存在を初めて知った。台湾の日本統治は長かったため、台湾で生まれ育った日本人は、台湾への思い入れは相当なものがあっただろう。その中で根本博さんの台湾への功績は計り知れない。

  • 読めて、知る事ができて本当に良かった。
    こんな偉人が自分と同じ国に、ついこの間までいたんだと思うと誇らしい。
    自分も先人に恥じないように頑張らねば。

  • こういうことを大半の日本人が知らされないのは何故なんだろう。門田さんの本には、いつも、視界の違うところを開かされる。

    蒋介石という人のイメージも、少しかわった。

    中共に加担することになったのも日本だが、また、国民党を最後に踏み止まらせたのも、また日本だった。

    良くも悪くも、当時の日本人は、もういないと思わせるのが哀しい。

  • 読了しました。

  • 少なくとも高校の歴史の副読本にしてもらいたい。軍人とは何か、人としての生き方(死に方)は何かを考える大変良い素材である。日本人のほんの一世代前にこういう人達がいたということ。この歳になるまで知らなかった。

  • この本を読むまで知らなかった。こんな人物がいたことを。彼の名は、根本博。元日本陸軍北支那方面軍司令官中将である。根本は、第2次大戦終了時に、ポツダム宣言の武装解除命令をあえて無視し、迫りくるソ連軍や共産軍と戦い、中国国内の内蒙古にいた4万人の邦人を安全に国外に脱出させた経歴を持っている。そのときに、戦勝国側の蒋介石総統から多大な恩義を受けたことが忘れられず、1949年に国民政府軍が毛沢東率いる中国共産軍におされて、中国大陸から撤退し金門島まで追い込まれたときに、「義に義をもって返す」ために、根本は台湾に密航し、国民政府軍にひそかに加わり、感激した蒋介石から顧問としてむかえられた。中国国土からわずか数kmの海峡を隔てた金門島を中国共産軍から守りきることができたのは、根本の働きが大であったと島では伝えられているという。ただ、台湾において根本の立てた作戦を実行した将軍の失脚や、その後の日本と中国をめぐる複雑な国際関係から、金門島勝利の陰に日本人がいたという事実は歴史の陰に埋もれてしまっていた。著者は、丹念な取材を通して、根本とその周囲の支持者の行動を現代に蘇らせることに成功した。何の見返りも求めず、ただ受けた恩義を返したい一念で苦労して台湾に密航し、一緒に戦う。今の我々ではなかなかできることではないが、かつての日本人にとって、これはごく普通の気持ちの発露として当たり前の行動だったのかもしれない。少なくとも、この、義に義をもって返す行動が、日本と台湾の間に横たわる溝を越えて、根本と蒋介石の心を強い絆で結び付けたことは間違いない。やや台湾に渡る準備の部分などの内容が多く、実際の戦いのシーンが少なかったのがちょっと残念な気がしたが、これが史実なのだろう。

  • 全力でおススメ

  • 在留邦人4万人が無事日本に帰還!
    その恩義を返すため、将軍は漁船で台湾へ向かった・・・
    60年の歳月を経て今、明かされる日本人司令官の知られざる生涯。

  • 満州に隣接する内蒙古の日本軍司令官・根本博中将は、終戦直後、日本人3-4万、配下の軍人35万を従えて、本国からの武装解除の命令を無視しソ連軍と戦いながら、北京・天津を経由して日本への帰還を果たす。
    1949年、国共内戦に敗れた国民党軍は台湾に渡り、押し寄せる共産党軍と廈門・金門島を挟んで対峙するに至る。根本博は少数の仲間とともに粗末な舟で危険を冒して渡海して参戦する。蒋介石から受けた恩義に報いんとするためであった。国共内戦への参画という点だけから見ると根元という人間への評価はただの戦争マニアとなってしまうかもしれない。
    むしろ内蒙地区からの命令違反を犯してまでの退却にこそ、
    この人物の真価は評価されるべきと思う。

  • 台湾と中国、何故分断しているのか、政治的な問題が関係しているんだろうなと、なんとなく思ってた。
    この本を読んで、内戦の結果だと知れたのは大きい。
    そして根本博という杞憂な日本人が多大な貢献をしていたのも、大きな驚きだった。
    一言で言うと"戦争のプロ"だが、それは戦術のそれではなく、ヒューマニズムに溢れた知恵が秀逸だったようだ。
    戦争はもちろんあってはならないことだけど、こういった考え方を持った人物が同じ日本人だというのは、とても誇れることだと思う。

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著者プロフィール

作家、ジャーナリスト。1958年、高知県生まれ。中央大学法学部卒業後、新潮社入社。『週刊新潮』編集部記者、デスク、次長、副部長を経て2008年独立。『この命、義に捧ぐ─台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡』(集英社、後に角川文庫)で第19回山本七平賞受賞。主な著書に『死の淵を見た男─吉田昌郎と福島第一原発』(角川文庫)、『日本、遥かなり─エルトゥールルの「奇跡」と邦人救出の「迷走」』(PHP研究所)、『なぜ君は絶望と闘えたのか─本村洋の3300日』(新潮文庫)、『甲子園への遺言』(講談社文庫)、『汝、ふたつの故国に殉ず』(KADOKAWA)、『疫病2020』『新聞という病』(ともに産経新聞出版)、『新・階級闘争論』(ワック)など。

「2022年 『“安倍後”を襲う日本という病 マスコミと警察の劣化、極まれり!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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