- Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087754421
感想・レビュー・書評
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面白いです!登さんとかずまが出会ったきっかけが万引きっていうのが面白かったです!
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小説作法に関する本のような本だけど、小説家を目指す青少年二人組の話。もちろん、中には小説を書くのに参考になる記述もあって、タイトルに偽りはないとは思った。
表紙の絵は『バクマン。』の作画担当の小畑健。だからというわけではないけど、バクマン。の小説家版のような話だと思った。多分、表紙が小畑健じゃなくてもそう思ったと思う。性格は違うけど、コンビによるデビューとか、ヒロインとなかなか会う機会がないところとか。
それでも、キャラクターの設定自体はだいぶ違うのでそこまでパクリと思えるようにも感じなかった。もしかしたら、この小説にもあった、過去の名作の設定を、違うキャラクターや舞台で置き換えるという手法を使ったのかもしれない。
キャラクターが勝手に動き出してうまく続きが書けなくなる話はちょっと笑った。明らかにおかしい方向にいこうとしていて、こうやって続きが書けずに苦しんている小説家っているんだろうなと思った。意外とあるあるネタなのかもしれない。
ちょっとよく分からなかったのがいつぐらいの時代を想定した話なのかというのが、途中までよく分からなかった。最初は現代の話かと思って読み進めていたのだけど、時代錯誤な不良がいたり、携帯電話の話がでてこないところで現代の話ではないのだろうなと気づいた。結構最後のほうで「日本は間もなく未曾有の好景気に突入し、その後長く不況に苦しむはずだ」という言葉が出てきて、多分1980年代前半ぐらいのイメージなんだろうなと分かった。なんでどこにも明言してないんだろう。 -
地頭が良いがいじめられっ子気質の男の子と、ディスレクシアという、文字を文字として認識できないけど物語がとにかく好きなヤンキーがタッグを組んで、物語を作っていくお話。
そんな設定だけで本好きにはたまらない話になるが、本の一文が引用されているだけでなく、その物語、ひいては主語や述語に対しての考察が素晴らしい。
コンビ作家として華々しくデビューをするが、少しずつ翳りを帯びていくさまも美しい。
最後は悲しく、切なく、しかし爽やかな読後感が待っている。 -
真面目な中学生の“ぼく”と、黒い噂のある二十歳の登さん。接点のない二人が夢中になったのは本の面白さだった…。
障害のある登さんに頼まれ、小説を朗読する事になった。名作を手当たり次第に読み、自分達でも書き始める。
すげぇの書いてデビューしようぜ!『渾身の長編小説!』
ストーリー自体も面白いし、朗読本のチョイスも面白い。キャラクターも個性的でとても惹きつけられました。
「バクマン。」の小畑健さんのイラストがまたぴったりですね! -
どこかで作家になることを夢見ている青少年のための小説入門としてこの小説は未来永劫存在していくのだろう。
この「入門書」は一筋縄ではいかない、というか誰にも真似のできない唯一無二のこの二人にだけ許された方法だったのだろうけど、いくつもいくつもヒントはある。
図書館で司書さんにおすすめされた本を片っ端から朗読する、そしてそこからエッセンスだけを抜き取り別の物語を作る、あるいは今まで読んだ本を別の物語に置き換えてそれを当てあう。そういうあれこれはきっとものすごく役に立つだろう。もちろん作家を目指すところまでいかなくても本好きなら誰かとこういうやり取りができればとても楽しいだろうし。
だけど、この物語が唯一無二の二人の物語としてのみ存在するのはそれが登と一真という全然共通点のない二人のそれぞれの個性がぶつかり合い補い合い尊重しあいそして高めあってきたからであって、それはもう他の誰にも真似なんてできるはずもない。
登の生い立ちも一真の現状も、決して恵まれたものではないし、二人が全く別の、もっとなんというか人として間違った方向へと進んでいっていた可能性はとても高かったはず。そうならなかったのは、やはり物語の、言葉の力に他ならないと思う。
そう、言葉は、物語は無限の力を持っている。
誰かの救いになり、誰かの力になり、誰かの夢になる。
登がばあちゃんと過ごした最後の日々。そこに確かにあった切なさと優しさの温度を私も感じた。一真が登のいない毎日の中で感じた風の冷たさも私は感じた。そして、流れる涙の温かさを私は忘れない。
小説が、物語が、文字が、私を包み込んでいった。この記憶はきっと消えない。
そして、この小説を読んだ人は、きっと、ずっと、もっと、物語を好きになる、そう思う。 -
本紹介のYouTubeでおすすめされていたので手にとりました。
YAの部類に入るのか、とても読みやすかったです。
作中に出てくる作品を一つも読んでいないので登さんの反応の良かった作品を読んでみたくなりました。
ちょっぴり切ないラストですが、前を向いて生きよう!という感じが良かったです。
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面白すぎて、読むのがもったいない作品。
一真が主人公で語り手になっている。その彼が登さんのことを信頼しきっているので、読んでいるうちに自分まで登さんならどうするのだろうと考えていた。
とにかく、良い物語。 -
★「ぼくは小説は可能性の束だと思っています。ポール・オースターが作品の中で、小説の中心はいたるところにあって、結末を迎えるまで円周は描けない、という意味のことを言っています。編集者はもちろん、作家さんも、書き終わるまで作品の全体像はつかめない。本当にすぐれた小説とは、そういうものじゃないでしょうか」(464)
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読み書きができない20歳の田口登(ヤクザ?)と私立受験に落ちて公立校に行くことになった入江一真がコンビで小説を書く話。
読み書きができないっていう状況が想像できなさすぎて最初はよくわからなかったけど、できない分創造とかが秀でてる登さんの「一真の朗読」に対するツッコミとか指摘が的を射すぎてて、そんな捉え方もあるんだ、って発見が多かった。
あと、ただ単に小説が沢山登場してたから、気になるのも色々あって読んでみたくなった。
どこが1番面白かった、とかは明確にはわからないけど、強いて言うなら半分超えたくらいからどんどん面白くなって、一気に読み進めた。
かすみ(一真と同じクラス&マンションに住んでいた女の子)の話がどういう意味を持っていたのかがあまりつかめなかった…
解説でも言及されてなかったし…
とにかく、500ページ超える長編だったけど苦に思わずに読み終えられた!
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とにかく色々な小説が登場してきて読みたくなった。また、登さんと一真が小説書くためにやっていたトレーニング(再現クイズ等)は、普通にやっても面白そうだと思う。最初と最後が「現在」で、メインの部分が「回想」だったのを忘れるほどのめりこんだ!