傭兵ピエール

著者 :
  • 集英社
3.89
  • (21)
  • (15)
  • (26)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 117
感想 : 20
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (573ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087751963

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • なに?この大団円っぷり!?
    結構ひどい話や人物が多かったのに。

    だが、それがいい。

  • 最高オブ最高。
    ページを繰る手が止まらねぇよォ!!!

  • この作者の作品は、登場人物が生き生きしていて本当に読みやすい。

    最初の方に出てきたヴィベッドが好きだったんですが、この登場人物を含め、なかなか幸せになれない人が多いなと思いました。

  • 私がティーンエージャーだった頃、ジャンヌ・ダルクにはとっても興味があって関連書籍を集中的に読んでいた時期がありました。
    これも大昔に読んだのですがとにかく最高に面白かったです。
    私はジャンヌ・ダルクに限らず西洋の歴史小説が好きなのですが、中でも断トツに面白かった。とにかく夢中になって一気読みした本です。

    主人公は傭兵ピエール。
    見た目はひょうひょうとしててお調子者といった印象。
    でもやる時はやる、かっこいい男性です。

    そんな彼がある時、ジャンヌ・ダルクという少女に出会い惹かれていきます。お互いに。
    そしてジャンヌの守護者として戦うピエール。
    もう、本当イケメンすぎる。

    これが史実だったらな、と思います。
    やはり読者としてはジャンヌは死んでしまうっていう事実を最初から知っているので、どのように物語を締めくくるのか楽しみでした。それが最後は、ちゃんと読者が満足するようなハッピーエンドに収まるので、物語の展開についてとにかく見事としか言いようがないです。

    ヒーローものが好きな方、歴史小説が好きな方、おすすめです。
    そりゃ作り話ですが、史実では火炙りにされてしまう悲劇の少女です。こんな幸せなハッピーエンドがあってもいいんじゃないでしょうか。
    それでも敵方に捕まってしまうジャンヌの描写は痛ましくて、すごく読んでて悲しくなりました。そして内心では「ピエール!早く助けてあげて!」って思っちゃうんですよね。

    壮大な物語にとにかく没入しました。
    こういう読み応えのある物語を久しぶりに読みたいのですが、最近、最高の本との出会いに恵まれてない。

  • 救世主ジャンヌ・ダルクはフランス軍を勝利に導いたが、敵国に捕らえられ魔女裁判で火刑の判決が出た。傭兵ピエールが彼女を救う。

     ジャンヌ・ダルクの名前は知っていたが、何をした人までは知らなかった。本作は題名の通りピエールが主人公であるから、ジャンヌ・ダルクについてはあまり語られていない。例えば、どういう経緯で敵国に捕まったか?など。でも、フランスの歴史に少し詳しくなった気がする。
     数々の悪行を働いてきたピエール。それがある街の守備隊長になり、ジャンヌ・ダルクを救出したりしていく過程で己の過去を省みて、後悔に沈んでいく。終いには、廃人寸前になるが、ジャンヌ・ダルクへの恋愛パワーで立ち直る。愛って素晴らしい。
     後半は大団円に向けてキャスト総出演という感じでやり過ぎ感があったが、結婚して子供作ってハッピーエンドだったから許す。

  • 中世フランス、傭兵隊長ピエールとジャンヌ・ダルクの物語。
    主人公のピエールは強盗、追い剥ぎなどお手のものの傭兵ではあるが、貴族の私生児という微妙な生い立ちでもあり、腕が立ち部下には慕われるが女にはからっきし弱くてどこか憎めない。
    使命感と正義感に燃えた救世主ジャンヌが、神の声が聞こえなくなり、一人の少女に戻って苦悩し、おびえる姿は痛々しい。また、国を救ったにも関わらずフランス宮廷に見捨てられ、アングル軍の手に落ちた彼女の運命は、史実とはいえ胸が痛くなった。

    乱世であり、弱い者は踏みにじられ、強くなろうとすれば他者を踏みにじるしかない、そんな時代。当時の傭兵というものがどういうものであったか、また女というものがなぜ罪深いものとされていたのか、など当時の様子が分かりやすく描かれていておもしろかった。

  • 大好き!面白い!!ピエールの傭兵隊長としての自分と、 救世主というあまりに輝かしいジャンヌへ恋心を抱く自分との葛藤。そんな隊長を想う少女ヴィベットや戦争という地に立つ部下たちの想い。 神の啓示を受けて、ただただ突き進む純粋なジャンヌダルク。本当にお勧めです。

  • 傭兵ピエールの視点でジャンヌ・ダルクを描くという構成が秀逸。
    あの青髭まで登場するという、百年戦争時代のフランスを生き生きと描いた名作。
    佐藤賢一のフランス物にハズレなし。

  • 佐藤賢一先生の西洋史への造詣の深さが窺える作品
    何気ないエピソードが実際に語り継がれていた事と
    分かったときは感動ものです
    ジャンヌダルクを知りたさに読んだのですが、勿論
    主人公はピエール
    しかし、ピエールの身の回りに起きる歴史的な事件
    から浮き上がる当時の風俗や考え方
    生半可な知識じゃかけないですし、物語としても抜
    群に面白い!
    ジャンヌが涙ながらにピエールに訴える(ネタバレ)
    トコロは神の無慈悲を感じました
    少し、ジャンヌダルクがおきゃんに感じました(笑)

  •  ジャンヌ・ダルクの時代、西洋史を敷いた歴史物なのに厚さを感じさせない程読みやすくて、最後まで一気に読めました。それでも、知識に裏打ちされた、時代の文化や風俗がいきいきと描かれているので、勉強になるし面白い!
     それになんといっても、主人公の傭兵ピエールがむっっちゃくちゃかっこいいですよ!!!! 人間を、特に男を魅力的に書くのが上手な作者さんだと思った。これはジャンヌ・ダルクとの恋よりも、ピエールという男の歩んできた人生、信念、そして内面を生々しく描いた作品なんじゃないかな。なんせ最初のシーンが強姦から始まりますからね……その時代の傭兵の価値観で、ピエールも村を襲い、人を殺し、強奪し、女も犯します。だけど、どこか憎めないのは、ピエールの苦悩や葛藤、弱さ、そして人間的な魅力が、読み進めるにじわじわと伝わってくるからだと思います。仲間への情に厚く、敵には強いが、女にゃ弱い。物語における典型的ないい男だぜ! 傭兵隊の荒くれ者の男たちも非常に個性的で魅力がある。配置が絶妙。
     ストーリーも伏線が見事に拾われていくのが快感。歴史上のジャンヌの最期に沿いながらの展開は見事。それと、フランス王家がジャンヌを殺さなければならなかった理由というのが、非常に納得でした。英雄って死ぬことで完成するのか。特に聖女と崇められた女は。
     最後のほう、おっそろしいほどのハッピーエンドラッシュでどうかなぁと思ったんですが、最後の最後で、ちょっと黒いシミを落とすところがニクいと思った。
     因果応報、この言葉がぴったりの、素晴らしい物語でした。

全20件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

佐藤賢一
1968年山形県鶴岡市生まれ。93年「ジャガーになった男」で第6回小説すばる新人賞を受賞。98年東北大学大学院文学研究科を満期単位取得し、作家業に専念。99年『王妃の離婚』(集英社)で第121回直木賞を、14年『小説フランス革命』(集英社/全12巻)で第68回毎日出版文化賞特別賞を、2020年『ナポレオン』(集英社/全3巻)で第24回司馬遼太郎賞を受賞。他の著書に『カエサルを撃て』『剣闘士スパルタクス』『ハンニバル戦争』のローマ三部作、モハメド・アリの生涯を描いた『ファイト』(以上、中央公論新社)、『傭兵ピエール』『カルチェ・ラタン』(集英社)、『二人のガスコン』『ジャンヌ・ダルクまたはロメ』『黒王妃』(講談社)、『黒い悪魔』『褐色の文豪』『象牙色の賢者』『ラ・ミッション』(文藝春秋)、『カポネ』『ペリー』(角川書店)、『女信長』(新潮社)、『かの名はポンパドール』(世界文化社)などがある。

「2023年 『チャンバラ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐藤賢一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×