蝶のゆくえ

著者 :
  • 集英社
3.36
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087747171

作品紹介・あらすじ

母親の美加が18歳の時に産んだ子。美加の再婚とともに新しい父親と暮らすが、親として未熟な二人に虐待され死亡。-孝太郎(7歳・小学生)「ふらんだーすの犬」。「男の26は若くて、どうして女の26は若くないんだ」二度も二股かけられた男に呼び出され性懲りもなくまた会ってしまう。-晶菜(26歳・OL)「ごはん」。「私お母さんが大好きなの」いきなり夏子に告白されとまどう。女の19歳は問題が多い。-アオイ(19歳・短大生)「ほおずき」。深夜コンビニにたむろっている若い男たちに注意したことがきっかけで暴行を受け、夫が死んだ。殺された。定年退職した直後に。-静子(58歳・主婦)「浅茅が宿」。夫の仕事がうまく行かなくなったのを契機に夫の実家で暮らし始めたが、大学教授の舅と姑との暮らしは耐えがたいものがあった。-加穂子(37歳・主婦)「金魚」。毎年白菜漬を送ってくる母親が怪我をした。久々に故郷に帰り同窓生に会う。-孝子(57歳・主婦)「白菜」。最新小説集。

感想・レビュー・書評

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  • なんだ、この方は。
    初めて読ませてもらったけど、天才じゃないかな。
    日本語の天才。
    男でありながら、女目線で書かれたそれぞれの
    短編が秀逸である。

    筆者自身による解説によって
    本自身が引き締まるように思えた。

  • 短編集。「ふらんだーすの犬」が印象的。子供が子供をつくり虐待する。加害者はきっとこういう感じなんだろうなあ。どうしてこんなにも的確に他人の心情に近づくことができるのだろうかと感心。家族であることの不思議とか、自分が感じていることがそのまま言葉になっていて驚く。

  •  橋本治「蝶のゆくえ」、2004.11発行。ふらんだーすの犬、ごはん、ほおずき、浅茅が宿、金魚、白菜の6話。「ふらんだーすの犬」は母を思う息子に対する母親の冷たさが辛すぎる。「浅茅が宿」、内容は暗いけど、退職してすぐ若者との喧嘩で死亡した夫を想う妻の気持ち、わかる気がした。残りの4話は、私には難しすぎて意味不明だった。
     橋本治「蝶のゆくえ」、6話、2004.11発行。第1話「ふらんだーすの犬」は、若い夫婦が小1の息子をベランダの段ボールハウスに6日間放置して殺してしまう話。悲惨すぎる。著者の意図、不明。反面教師的警鐘か?。第2話「ごはん」、第3話「ほおずき」も読んで意味不明。ここで失速。
     

  • 2005/12/22

  • 人の思考の道筋を、一筋一筋追っていくような文章。情緒に流れることがないのに、かえって、人の哀しいところ、情けないところ、醜いところが露わで、私にはもう一度読み返すことができないと思う。

  • 何が面白いのかわからない。

  • 初めてこの人の作品を読んだが、あまり好きになれなかった。ひとりの人物の呼び名が、妻、母、名前、彼女、女、など短い間にころころと変わってしまうので混乱した。
    それから登場人物の女性たちがいきなり「○○よ!」などと叫びだすので、ヒステリーを目の当たりにしているようで読んでいてドキドキして落着けなかった。

    ふらんだーすの犬
    フランダースの犬のような絶望的な作品を書きたかったのか?と思うほどに後味の悪い作品。最初に出てきた孝太郎は、虐待されていた彼が成長した姿かと思ったのだが違った。

    ごはん
    晶菜の話を描きたいのか、それとも幸月なのか、よくわからなかった。白いご飯が食べたい、というのは、白ごはんのように落ち着ける場所に行きたい、欲しいという意味なのか。

    ほおずき
    なんだか気持ちの悪い話だった。さんづけで呼び合う大学の友達というのになじめないし、母親を愛している娘というのも気持ちが悪い。

    浅茅が宿
    この短編集の中で一番好きな作品。突然事件に巻き込まれて死んでしまった夫。

    金魚
    読んでいるのがだるくて、ほとんど流し読みしてしまった。

    白菜
    最初は詐欺か何かの話かと思った。

  • 橋本治さんの、日常を題材にした短編小説集。
    冒頭の2編「ふらんだーすの犬」「ごはん」は傑作。
    この2編だけで胸がいっぱいになります。
    まず、「ふらんだーすの犬」は祖母の家に預けられていた子供が、実母であるヤンママに引き取られる話。これ、泣けます。
    ただ悲しいだけではなく、人間の愚かさをつきつけられるし、社会的弱者の閉塞感みたいなものが、ひしひしと伝わってきます。
    もう一方の「ごはん」は、婚活を考えている女性や婚活中の女性に読んでもらいたい作品。
    なんで結婚しない男女がこんなに増えるの?ということに対して、橋本治さんなりの答えを出している作品。

    やっぱ頭いいな〜と改めて感心させてくれる。
    すごいですよ、橋本治!

  • 短編集。「ふらんだーすの犬」は読んで息が詰まった。本当に苦しくなった。これを最初に持ってくるとは。

  • 2009.10.12. 内田さんとの対談集から、読んでみたいと思った橋本治さんの小説。冷徹な視線。

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著者プロフィール

1948年東京生まれ。東京大学文学部国文科卒。小説、戯曲、舞台演出、評論、古典の現代語訳ほか、ジャンルを越えて活躍。著書に『桃尻娘』(小説現代新人賞佳作)、『宗教なんかこわくない!』(新潮学芸賞)、『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』(小林秀雄賞)、『蝶のゆくえ』(柴田錬三郎賞)、『双調平家物語』(毎日出版文化賞)、『窯変源氏物語』、『巡礼』、『リア家の人々』、『BAcBAHその他』『あなたの苦手な彼女について』『人はなぜ「美しい」がわかるのか』『ちゃんと話すための敬語の本』他多数。

「2019年 『思いつきで世界は進む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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