女たちのジハード

著者 :
  • 集英社
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感想 : 83
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  • Amazon.co.jp ・本 (469ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087742398

作品紹介・あらすじ

女たちよ!これはオンナの応援歌ではないが、勇気がわく物語である。めげず挫けず我が道をゆく聖戦(ジハード)という企み。

感想・レビュー・書評

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  • 内容(「BOOK」データベースより)
    女たちよ!これはオンナの応援歌ではないが、勇気がわく物語である。めげず挫けず我が道をゆく聖戦(ジハード)という企み。

    25才で結婚に焦る女性・・・30才でもはや社内でお局様扱い・・・すぐに公衆電話に走る・・・携帯電話もない時代だけど、私からしたらつい最近の話。
    流石に今は、結婚に焦る25才は40才?お局様30才は50才?になったが、女性の立場はそんなに変わらん。玉の輿したら安泰伝説は今も残ってるし。

  • 時代はバブル崩壊後。携帯もない時代。
    女はまだ、数年働いたら結婚、退職というのが当たり前だった時代。
    懸命にもがく姿が生々しく伝わってきて、自分のことのように思えたり、
    こんな会社じゃなくて良かったと思えたり。

    突然トマトの君とかパイロットになるきっかけとか、突拍子もない
    設定に、現実味が無いなぁと思うこともあったけれど、そういうときに
    彼女たちがどういう行動をするのか、それは時代がいつであろうと
    腹をくくれる女なのか、どうなのかが問われるんだよなぁ。
    最後はリサも康子も紗織もみどりも格好よかった。

    気持ち悪かったのは、紀子。でも、いるよねこういう女。

    多くの人が印象に残るところをやはり引用します。

    世の中に「普通のOL」などという人種はいないし、「普通の人生」もない。
    いくつもの結節点で一つ一つ判断を迫られながら、結局、たった一つの自分の人生を選び取る。

    男も女もなく、この言葉をかみしめながら生きていくことが大事なのかもね。結節点で腹をくくれる人間になりたいと、思う。

  • 97年か・・・その頃の女性社会人情勢はどうだったんでしょうね。
    今でこそ「結婚なんて二の次。自分の幸せは自分で掴み取る!」みたいな自立した女性が普通になって来ましたが、案外97年とか昔ながらのコンサバな考えが残ってたかもですね。
    ちょっと時代錯誤はありましたが、それでも十分楽しめました。
    こういう短編集を集めた長編って上手いな。ってか初めて読んだかも。
    ダラダラ続く長編より、全然いいですね!ハイライトのみ抜き出して短編くっつけてく風。

    しかしこれ、タイトルもいいなぁ。「ジハード」=「聖戦」ってもう、言わずとも知れた言葉ですが、女が戦うわけです。自らの理想と人生をメンツをかけて。
    「そんなくだらない」なんて言われそうな戦いですが、結構重要なんですよね~、そういうのって、特に20代後半~30代の独身女性にとって。
    「嫁に行く」しかなかった昔に比べてオプションが増えた昨今、チョイスが多いと逆に悩みも増えるんですよねー。
    さらに社会人として、後輩の一人や二人できちゃったり、無駄にお金稼いじゃったりすると、見栄もでてきますし、自分で自分をがんじがらーめー。
    女性特有なんでしょうかね、こういう悩みは。やっぱり結婚って仕事の障害になるし、でも一人で年取りたくないし・・・みたいな葛藤。

    この本に出てくる女性達はとにかくベストを!多くを!求めて戦います。己の見栄とプライドと。

    メインの女性は3人なんですが、三者三様、最初の印象とは全く逆の人生を歩むことになるんですが、とにかく「自分の人生を自分で切り開く!」っていう意欲的な姿勢がかっこいいです。
    女性メインの小説には欠かせないうざい女も出てきます。比較対象としていい味出してます。

  • 感想
    大義名分をもった戦い。ゆっくりと平等に近づいている。それでもまだまだ遅い。だから加速させる必要がある。いつしかやってくる社会への礎。

  • 女性をテーマにした小説の走りだと何かの書評で紹介されており、気になっていた。直木賞受賞とは、なるほど。
    登場人物がいきいきしており、引き込まれた。

    特に向上心が強い沙織。英語を得意としつつも、仕事とするには及ばず、でも自分自身のキャリアを求める姿が自分に似ていた。
    人よりちょっと上の生活を求めていたリサがネパールにいったこと。
    康子がビジネスをはじめたこと。

    この本の登場人物はみな個性豊かで、愛すべき、自分の分身であった。

  • なし

  • 女たちのジハード

  • うまい。

  • 昔の作品ではあるけどさすが有名なだけあっておもしろい。出産入院中のお供にしようと病院の図書館で借りたのだけれど、助産師さんに目を使い過ぎないようにと止められて読めなかった時間がもどかしいくらい、先が気になってうずうずするほど面白かった。文章がうまい、特に人の描き方が本当に達者だなあと惚れ惚れした。ムカつく人はとことんムカつくように描写されていて、読んでて無性にイライラさせられるほど。個人的に競売のマンションを格安で手に入れる話と、DV疑惑の若い同僚が実は恐ろしいほど要領が悪くてうんざりする話、売れなかった加工用トマトをなんとかしようと奮闘する話がよかった。別の作品も読んでみたいと思った。

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著者プロフィール

篠田節子 (しのだ・せつこ)
1955年東京都生まれ。90年『絹の変容』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。97年『ゴサインタン‐神の座‐』で山本周五郎賞、『女たちのジハード』で直木賞、2009年『仮想儀礼』で柴田錬三郎賞、11年『スターバト・マーテル』で芸術選奨文部科学大臣賞、15年『インドクリスタル』で中央公論文芸賞、19年『鏡の背面』で吉川英治文学賞を受賞。ほかの著書に『夏の災厄』『弥勒』『田舎のポルシェ』『失われた岬』、エッセイ『介護のうしろから「がん」が来た!』など多数。20年紫綬褒章受章。

「2022年 『セカンドチャンス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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