奇跡の大地

  • 集英社
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本棚登録 : 91
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087734911

感想・レビュー・書評

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  • 3時間余りで一気読みした。読後、これでよかったと思う・・一気に熱風が吹く様な人生を感じると面白みがヒートアップする。若干30歳代の女性が繰り広げるアフリカの壮大な歴史の凄さはこの後の作品にさらなる期待をしてしまう。
    大河小説と言えるかもしれない・・数百年に及ぶ歴史と登場人物14人・・奴隷貿易・民族間戦争・独立運動、奴隷解放、黒人大移動、地位向上運動などを巧みに取り入れて一気にストーリーに引き込ませる筆が素晴らしい。

    15世紀ごろより白人の進出が始まったガーナ、ゴールドコーストエリアは特に英国が活発に入ってくる。住民はアカン人・・なかでもアシャンティ族とファンティ族が作品の主役の祖。作品が始まる頃登場の異母姉妹が2つの大陸に別れ 作品ラストでアフリカとアメリカ「火と水」のキーワードの下に円が繋がり黒い石の存在が煌めくのは出来過ぎとは言え、涙が出そうが感動だった。

    巻末にもあるが面白いのはガーナの人々の死生観と人生観に共感を持てる事。とは言え、呪術の多さ、日常的な折檻は・・らしい。筆者の筆に「怨念・怨嗟」が無く世代的な特徴から❓遺伝子❔きわめて合理的な使命感に導かれて綴られているのに改めて驚愕。日本のこういった類の作品にはない発見だ。もっとも筆者が書きたかったのは心の奥底に沈む「奴隷制度への懺悔の念❔先祖に英国リバプールの奴隷商人がいるが故」も加味しているからか。ガーナを離れすぎてガーナ人になれない「アカタ」の感覚も頷ける。

    300年余の歴史には奴隷を積み出しやすく、城の地下牢に糞便と共に積み重ねて入れられた奴隷たち、”お女中”と称する現地妻の存在、ニャメ神とキリスト教の絡み、ガーナにカカオの種子を植える、ボルチモア・ジャズやゴスペル、当たり前だった10代同士の結婚が現代のヤウのケースでは60近くでだった結婚、上手い取り入れた繋ぎだった。

    人類最古の歴史を持つアフリカの人々、やっとこうして声をリアルに聞くことが出来る喜び、幸せに満ちた読書となった。さらに読んで行きたい。

  • アメリカの連続ドラマ「This is us」で主人公のひとり黒人のランドルが読んでいたため気になって手に取りました。

    黒人差別に関するニュースやコンテンツは上記のドラマのように普段から触れていましたが、恥ずかしながら、黒人奴隷貿易がどこでどのように行われていたのか(奴隷の調達や輸送方法、関係者)や、新大陸に渡った黒人の扱いがどのようであったか、初めて知りました。※ところどころ歴史をネットで調べながら読みました。
    この本を通じて、これまでに私が触れてきた断片的な情報が補完され、腑に落ちたものもありました。

    洋画や海外のコンテンツを気軽に見られるようになったいま、洋書を通じて基本背景を知っておくと理解度が変わってくるなと、これからは洋書も読もう!と思えた作品でした。

    白人側ではなく"被害者"である黒人側の目線で書かれたものであるにも関わらず、物語の語り手が次々に変わり、淡々と進んでいくため、感情移入し過ぎず、最後まで冷静に読むことができたこともこの作品のポイントだと思います。

  • 2022.7 奴隷貿易、黒人差別など馴染みの少ない題材なので理解するのに苦労しました。また登場する子孫が次々と、淡々と続いていくので読むのにも苦労しました。海外でベストセラーと書かれていますがアジア人とは異なる歴史なので欧米で共感を得やすい小説なのでしょう。

  • ガーナ人の書いた小説を生まれて初めてよんだ。

    数百年にわたる 同じ母親から生まれた姉妹(お互い面識はない)の子孫7世代にわたるものがたり。
    2x7で主人公が14人!

    一人につき数10ページで物語が展開し、次の数10年後に話は飛ぶ。

    アフリカにいてもつらかった。アメリカでも辛かった。
    またアフリカでも混血、アメリカでも混血。

    呪術、麻薬、愛、音楽、火、水、学問、様々な題材、巧みなストーリーテリング、すぐ読みきってしまった。

  • ガーナ生まれの新鋭小説家による壮大なファミリーヒストリー小説。2017アメリカン・ブック・アワード受賞。

    18世紀のガーナで対立する部族間で生き別れた異父姉妹とその子孫が運命に翻弄されながら7世代に渡って描かれる。

    奴隷貿易の酷さ。ガーナでの部族間の争い。イギリスとアシャンティとの戦争。アメリカでの奴隷生活と黒人差別。冤罪と炭鉱での強制労働。南北戦争後も消えない差別意識と貧困とドラッグ。

    2つの子孫が別々のストーリーで平行に進み人生が交錯します。そして偶然出会った子孫の2人が最後にたどり着いたガーナの元奴隷房で感じたものとは?

  • 数百年に及ぶ歴史を14人の登場人物を通して紡いでいくのだが、それぞれの時代背景が歴史を語っていく。

    アレックス・ヘイリーの「ルーツ」のような話かと思い、読み始めたのだが、1人1人が時代の語り部のように通り過ぎており、登場人物と系譜を確認しつつの連作短編集のようで、話がサラサラと流れすぎの、情報山盛りでお腹一杯という感想。

  • 超大作でした
    とんでもない壮大なルーツ
    系譜に苦労した

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