ジョン万次郎 海を渡ったサムライ魂

  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087734775

作品紹介・あらすじ

1800年代。アメリカ東部に暮らした初めての日本人、ジョン万次郎(中浜万次郎)。言葉も習慣も異なる地で、いじめや差別にくじけることなく、強く生き抜いていった秘訣は何だったのだろう?アメリカに残された記録や資料をもとに、日本が誇るバイリンガル、ジョン万次郎の青春時代を鮮やかに描いた物語。2011年ニューベリー賞オナー受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 日本が誇るバイリンガル、ジョン万次郎。「彼の一生は、波瀾万丈の冒険小説であり、壮大な立身出世物語であり、感動的なヒューマンドラマであり、また一方、激動の幕末から明治にかけての日本とアメリカ(その他のヨーロッパ諸国)の政治戦略の縮図でもある」。訳者あとがきから引用させてもらったが、そんな彼の人生が面白くないわけがない。今回本書を手に取った理由は、著者がアメリカ人であり、本書でニューベリー賞オナーなど数々の児童文学賞を受賞していること。そして訳者が信頼する金原瑞人であること。これは間違いないだろうと思い読み始めたら、予想以上の面白さにページを繰る手が止まらなかった。
    全体を通じて印象的なのは、万次郎の好奇心の強さ、勇敢さ、その場の空気を読む能力の高さ。どんな困難な状況にあっても、それをプラスに変えていく。基本ノンフィクションなのに、フィクションのような高いドラマ性が魅力的だ。物語を盛り上げるために架空の人物もちょっと登場しているが、読み終えてから、「え、この人もこの人も実在の人物だったの!」と驚くほど、いい意味で創作と実在の人物との境目が感じられない。どの場面も好きだけれど、やっぱり船乗りとしての航海場面は臨場感たっぷりでハラハラドキドキの連続であった。それにしても、無人島でサバイバルしたり船に乗ったり農場で働いたり金を掘ったりと、次から次へと舞台が変わってまるでロールプレイングゲームのよう。数々の試練に見舞われながらも確実に経験値をあげていく万次郎は本当にかっこいいのだ!
    そして、海外文学ならではの面白さも随所に感じられた。「立ち聞き(イーヴス・ドロップ)は失礼だぞ。」「垂れ聞き(イーヴス・ドリップ)してすみません」など(笑)ユーモラスな表現が多いところも著者のうまさかな。まさか日本の実在の人物伝を海外児童文学として楽しめるとは…逆輸入っぽくて新鮮。万次郎が描いた絵画等も挿入されており、隅から隅まで飽きない。
    奇跡的に運がよかったと言われている万次郎だけど、それほどの強運を引き寄せたのはやはり彼の人間力じゃないかなとつくづく思う。もっと彼について知りたくなってきた。

  • ジョン万次郎 海を渡ったサムライ魂 ハードカバー – 2012/6/26

    ジョン万次郎青年記
    2012年12月11日記述

    マーギー・プロイス(Margi Preus)さん著作を翻訳した児童書(金原瑞人訳)

    児童書とは分類されている。
    しかし中身は非常に良いものだった。
    小説としてレベルが高いだけではなく、当時の時代背景、万次郎の描いたスケッチなども入っており編集が良いなと好印象。

    ジョン万次郎の人生とはまさに波瀾万丈としか言いようがない。
    またこれほど奇想天外な人生を生きた人もそういないだろう。

    何人もの作家が作品で彼の人生を描くはずだ。
    ウミガメをナイフで仕留めた話しや船長の義理の息子になった話し、教育を受けたこと、
    日本に帰国する資金を貯めるために金を探しに行く・・

    それぞれのエピソードが興味ふかいし、何より全て事実であることに驚く。
    本書内では日本帰国後、山内容堂に謁見したことも書かれている。

    教え子に福沢諭吉、西周、大鳥圭介、津田真道、後藤象二郎、岩崎弥太郎・・・
    幕末期、明治期のそうそうたる人物の師だったと知ると驚く。

    ジョン万次郎の生き方をそのまま再現は出来ないけれど、その不屈の精神、勇敢さ、
    大胆さを少しでも見習いたいと思う。

    本書は児童書として編集されており、小中学生も興味深く読める。
    歴史への興味を深めるためにも良い。
    もちろん大人も十分楽しめるつくりなので安心できる。

  • アメリカ人作家によるジョン万次郎の生涯を描いたお話。どういうきっかけで万次郎に興味を持ったのか、ということが知りたくなりました。鎖国していた時代に、言葉もわからないなか、本当にべらぼうに大変なことだったと想像します。帰ってきてからの尋問とか、理不尽な扱いにじっと耐えるところとか、
    日本人だなぁと思いながら読んでいました。なかなか面白かったです。

  • ジョン万次郎についてはいろいろな本が出ているが、アメリカ人が書いた視点も興味深いし、何より万次郎の資料を忠実にベースにされているようで、変な日本がなく好感が持てる。しかもアメリカへ行くまでの航海時代やアメリカ時代が、生き生きとして面白かった。

  • 「初めて見る外国語の世界地図、そこには”見においでよ”と書いてある。」そんな気持ちでアメリカに渡った青年の話。
    挑戦する気持ちは、忘れたくないなと思いました。

  • 高知の貧しい漁師の家に生まれた14歳の万次郎は、漁の手伝いで船に乗り、
    嵐に巻き込まれて遭難した。

    一緒に船に乗っていた4人と、無人島に流れ着いたが、
    次第に食べるものが無くなり、あきらめかけていたところ、
    アメリカの捕鯨船に助けられた。

    万次郎たちにとって、外国の捕鯨船は、大きさも、やることも
    信じられないものだった。
    好奇心旺盛な万次郎は、知りたいことがいっぱいあった。

    万次郎は言葉を覚え、アメリカ人と話せるようになった。
    船長と仲良くなり、万次郎は船長の息子になって、一緒にアメリカに行った。

    人種差別をされ悔しい思いもたくさんするが、万次郎は気丈に立ち向かった。

    身分制度の無い自由なアメリカで、万次郎の未来は明るく思えたが、
    やはり万次郎の望みは、故郷に帰ることだった。

  • アメリカ人が書いたジョン万次郎、というのが興味深かった。児童書なので大人が読むと頼りない感もあるけれど、こんな日本人がいた、と子どもたちが知るには大変よい本だと思う。今と違って何の情報もない鎖国の時代に未知の世界を目指す万次郎の勇気ってすごい、と改めて感動した。彼が残した挿絵も興味深くてよかった。

  • 日本史を海外の児童文学から学べることが面白いです。児童文学なので読みやすくわかりやすい。江戸時代に初めてアメリカへ渡った少年の史実。ただ単純に主人公に感心します。

  • 教科書で名前を知ってたぐらいで他には何も知らなかったけど、その生涯はとても魅力的で興味を持った。

  • 貧しい漁師の息子だった万次郎が、持ち前の好奇心と努力で未知の世界を切り開く。ところどころ話の細部が省略されているのが気にかかったが、時に差別と闘い時に人間の優しさに救われる万次郎を応援する気になった。

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