幻の翼

著者 :
  • 集英社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087726503

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  • 「幻の翼」
    MOZUシリーズ第2弾。


    稜徳会事件から約1年3ヶ月後のMOZUシリーズ第2弾。警察の闇を「円満」に解決したお陰で、倉木は警視に昇進し警察庁警務部へ転出。津城警視正と同じ特別監察官に任命される。大杉は、警部補のまま本庁を出され、新宿大久保署に転出し、防犯課保安一係長となる。美希は公安部外事部に配置換えになる。


    倉木は栄転で大杉は左遷。美希は配置換えと稜徳会事件から立場が変わっている今回ですが、倉木と美希の関係も変わっている。一体何がきっかけなのかさっぱり分からないが、いい感じになっている。美希の方は動機は不明だが、倉木に気がある風だったが、ここまで進展するとは。これには、美希の性癖が数段レベルアップしていることも寄与しているのだろう。強気と乙女心が入り混じり、遂に変態を超えた真の変態マゾ。ここまで描く必要ある?て思ってしまう。警官としての優秀さは津城警視正の片腕だったあの一瞬垣間見せただけで以降はただの女子に見える(苦笑)。


    倉木は、随分無礼な冗談を言う奴になったようだ。「たった一回でこれだからね」って、あんたが襲って勝手に果てたからだろうと。自分のアイデンティティの為と言う理由でここまで周りを巻き込む辺り、津城警視正に似てきたようだ。少なくとも洞察力や冷静さより暴力性が増しているように見えます。


    結局大杉警部補が刑事としても人間としても一番まともと思います。津城警視正のやり方は、倉木(結果的に美希も)を捨て駒にしたもので、もはや警察がやることじゃないし、それに対する怒りは真っ当。美希の行動に呆れ、倉木に同調できないのも理解できるもの。結果的に何を手に入れたのか?という問いも正しいと見える。更に、相手の作戦を見抜き、娘への侮辱に耐え、美希の倉木に対する気持ちを理解し、大切にしてやりたいとさえ言うのだ。とりあえず、倉木と美希は、もっと大杉に感謝し、今までの無礼を謝罪すべきだ。


    そして、百舌である。今回は、倉木のアイデンティティ作戦と津城の戦略に隠れる形でしたが、最後の最後は、悪の敵というより悪のヒーロー。百舌の隠れ方も見事でこれぞ悪役のカッコよさでした。これを読めば、大杉のかっこよさと百舌のかっこよさが分かる!

  • どんどん深い底に落ちてるな、このシリーズ。

    かつて、能登の断崖に消えた“百舌”は復讐を誓い、北朝鮮の工作員として、日本に潜入した―。
    稜徳会病院で起きた大量殺人事件は、明確な理由もなく突然の捜査打ち切りが発表され、背後に政治的な陰謀がからんでいるのではと、取り沙汰されていた。
    捜査に当った倉木尚武警視は、大杉良太警部補、明星美希部長刑事などと共に闇に葬られようとする陰謀を執拗に追う。

  • 「百舌の叫ぶ夜」と同様、久し振りに読了。百舌が消えたと思ったら、姿を変えて戻ってきた。やや無理がある展開ではあるが、読ませる内容であった。

  • ドラマのキャストで描きながら読んだので鼻息が荒くなった。倉木さん、タクマシイ…!
    内容は前編のが好き。

  • やっぱり刑事物は面白い。

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著者プロフィール

逢坂剛
一九四三年、東京生まれ。八〇年「暗殺者グラナダに死す」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。八六年に刊行した『カディスの赤い星』で直木賞、日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞をトリプル受賞。二〇一三年に日本ミステリー文学大賞、一五年には『平蔵狩り』で吉川英治文学賞を受賞。「百舌」シリーズや「長谷川平蔵」シリーズなど著作多数。

「2022年 『最果ての決闘者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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