霧の彼方 須賀敦子

著者 :
  • 集英社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087716719

作品紹介・あらすじ

生涯にわたり信仰と文学の「コトバ」に共振し、晩年に稀有な作品を遺した須賀敦子。
没後二十二年たっても読者を惹きつけてやまない作家の、魅力の源泉とは。
須賀敦子の「霊性」に、同じ情熱をもって迫る本格評伝。

宮沢賢治、川端康成、ウンベルト・サバ、ナタリア・ギンズブルグ、マルグリット・ユルスナール、シャルル・ペギー、ダヴィデ・マリア・トゥロルド、聖カタリナ、聖フランチェスコ、友人マリア・ボットーニ、親友しげちゃん、父、そして夫ペッピーノーー。
詩人、小説家、カトリック左派の実践的思想家、中世の聖人、愛する人たち。
さまざまな出会いによって導かれた、「たましい」の旅を描く。

【目次】
第一章 書かれなかった言葉
第二章 不得意な英語と仏教
第三章 人生の羅針盤
第四章 二人の聖女
第五章 母の洗礼
第六章 夢幻のカテドラル
第七章 レジスタンスの英雄
第八章 終わらない巡礼
第九章 ペルージャへの招き
第十章 文筆家の誕生
第十一章 ローマと新教皇
第十二章 ダヴィデ・マリア・トゥロルド
第十三章 ミラノへの階梯
第十四章 ある幼子の物語
第十五章 言葉という共同体
第十六章 エマニュエル・ムーニエと『エスプリ』
第十七章 内なるファシスト
第十八章 ほんとうの土地
第十九章 悲しみの島
第二十章 ゲットとウンベルト・サバ
第二十一章 川端康成と虚構の詩学
第二十二章 二度の帰国
第二十三章 ダンテを読む日々
第二十四章 見えない靴、見えない道
第二十五章 トランクと書かれなかった言葉

あとがき
人名索引

【著者略歴】
若松英輔(わかまつ・えいすけ)
批評家、随筆家。1968年新潟県生まれ。慶應義塾大学文学部仏文科卒業。2007年「越知保夫とその時代 ーー求道の文学」で第14回三田文学新人賞を受賞。16年『叡知の詩学 小林秀雄と井筒俊彦』で第2回西脇順三郎学術賞を受賞。18年『詩集 見えない涙』で第33回詩歌文学館賞を受賞。同年『小林秀雄 美しい花』で第16回角川財団学芸賞を受賞、19年に第16回蓮如賞を受賞。他の著書に『井筒俊彦ーー叡知の哲学』『霊性の哲学』『イエス伝』『詩集 燃える水滴』などがある。

感想・レビュー・書評

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  • 『霧の彼方 須賀敦子』著者:若松 英輔|担当編集のテマエミソ新刊案内|集英社 WEB文芸 RENZABURO レンザブロー
    http://renzaburo.jp/shinkan_list/temaemiso/200626_book01.html

    霧の彼方 須賀敦子/若松 英輔 | 集英社の本 公式
    https://books.shueisha.co.jp/items/contents.html?isbn=978-4-08-771671-9

  • 大好きな須賀敦子さんのことを若松英輔さんがお書きになるって読まずにはいられない。
    大喜びで読み始めたが、いきなりガーンと来た。
    もちろん須賀さんが熱心なカトリックの方とわかって読んではいたのだが、そもそもカトリックに関する素養も知識も、もっと言えば関心もほぼない私。それを抜きにして読んで、それで読んだと言えるのか。何を持って好きと言ってるのか。全くわかってないではないかとショックを受けた。ほんとに。今、私のやるべきことは、この若松さんの評伝を横に置きながら、須賀さんを読み直すことと思われる。
    でも、もっと意識をして読むからと言って、カトリックの素養のない私は深くは読めないってことなのか。それを抜きにしてもやっぱり好きだから(引用されている文章が、ことごとく出典に戻って読み返したい気分を起こさせる)これを契機に読み返したいという気持ちは満々だし、これからも何度も読み返したいと思っているのに、無信仰な私は無信仰なりの理解しかできないということなのか(バカな私はバカなりの理解、と書きたいところでもある)…

    ここまで書いて、それを言い出すと、たとえば遠藤周作の小説の理解も多分全然ダメで、それでもそれなりに考えることもあるわけで、全ての書物、人物等は自分の器なりの理解しかできないということなのだなぁ…

    格調ある評伝の感想を、こんなふうに書いてしまって…
    偉そうなことを言うと、雑誌に連載されてるのを知った時から、若松英輔さんがお書きになるって、須賀さん大喜びだろうなと思っていたのだ。
    すごい組み合わせだと感動していたのだ。
    こんなガサツな感想で申し訳ない気持ちでいっぱいです。
    読み終えたばかりで、うれしいような悲しいような気持ちになっているので、もう少し落ち着かないと。

  • 須賀敦子さんは“須賀敦子”だと知らないときに手に取って読んでいた作家さんだ。
    須賀さんの“エッセイと小説のあわい”にある作品をエッセイとして読んでいた。当時はエッセイが好きで、どちらかというと賑やかなものをよく読んでいたのだけど、静謐な空気が広がっていくような氏の作品が好きでした。

    キリスト教のことは、あまり思わずに読んでいたと思う。※アメリカ・ヨーロッパの児童文学にどっぷりとつかった読書歴が、立ち止まることをせずに読み進める原因だったかもしれない。

    自分は無神論者という強い言葉で表すものではなく、緩やかに仏教と神道に親しみつつ自然への感謝や感動をうけているという日本ではよく見かける素朴な宗教観だ。
    宗教が祈りと哲学であるならば、信仰とも宗教とも遠く離れたところにいる。

    1類は哲学と宗教であることをもう一度考えてみようかと思う。


    長く時間がたって、この須賀敦子さんの「たましい」「身体」「精神」「時代」「哲学」「祈り」を辿る著書を読み、再たび須賀さんの著作を読んだとき、どのように本と対話が出来るだろうかと思う。

  • 霊性について考えさせられる名著。須賀敦子という人を初めて知った。

  • 2020I016 910.268/Wa
    配架場所:A3 東工大の先生の本

  • 霧の向こうに住みたい、だよね、と思って読んだら結構違った。そうか、私が読まなくなった時期がちょうど亡くなった時期だったから気がつかなかったんだ。久しぶりで評伝をちゃんと読んだ。

  • 20/07/31。

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著者プロフィール

1968年新潟県生まれ。批評家、随筆家。 慶應義塾大学文学部仏文科卒業。2007年「越知保夫とその時代 求道の文学」にて第14回三田文学新人賞評論部門当選、2016年『叡知の詩学 小林秀雄と井筒俊彦』(慶應義塾大学出版会)にて第2回西脇順三郎学術賞受賞、2018年『詩集 見えない涙』(亜紀書房)にて第33回詩歌文学館賞詩部門受賞、『小林秀雄 美しい花』(文藝春秋)にて第16回角川財団学芸賞、2019年に第16回蓮如賞受賞。
近著に、『ひとりだと感じたときあなたは探していた言葉に出会う』(亜紀書房)、『霧の彼方 須賀敦子』(集英社)、『光であることば』(小学館)、『藍色の福音』(講談社)、『読み終わらない本』(KADOKAWA)など。

「2023年 『詩集 ことばのきせき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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