陽だまりの天使たち ソウルメイトII

著者 :
  • 集英社
4.09
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感想 : 32
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087716344

作品紹介・あらすじ

犬という「魂の伴侶_ソウルメイト_」が、人を導き、人を癒す──。馳星周が贈る感涙必至の犬小説集第2弾!! 様々な犬種と様々な家族とを通して人生の機微を鮮やかに描く全7編。胸を打つ書き下ろし巻頭詩も収録!!

感想・レビュー・書評

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  • 犬を題材というか主人公にした短編小説集。ソウルメイトⅡという副題がつけられているように、同じく犬を主人公にした短編小説集「ソウルメイト」の続編。前作と同じく、馳星周の犬への強い愛情が感じられる短編小説集だ。
    好き嫌いが分かれる本だと思う。愛犬家の方はおそらく好きな小説集だと思う。犬に興味のない方は、さほどの興味を持たない小説集かもしれない。私自身は、犬を飼っている訳ではないが、犬は好きなので楽しく読むことが出来た。
    前作の感想でも書いたが、私自身は散歩をよくするが、散歩の途中で犬を連れた人に本当によく出会う。2018年の日本で飼育されている犬の数は890万頭らしいので、それもうなずける話だ。
    私がよく見かけるのは、柴犬。出会う数は圧倒的に多い気がする。それ以外だと、ゴールデンレトリーバー、また、ダックスフントやチワワなどの小型犬もよく見かける。けっこう躾がきちんとされているのだろうか、皆、人間について大人しく歩いているし、犬同士が出会うことも多いが、ほとんど吠えあうようなこともない。昔に比べると、犬を飼うこと自体のマナー的なものが洗練されてきているのだろうな、といつも思う。

  • ソウルメイトと、この第2弾で、「犬」は人に寄り添ってくれる一番の動物なんだなって改めて思い、かつて飼っていて、7年前に逝った「ゆうき」っていう犬の事を思い出しました。

    ある日、ゆうきと散歩に出掛け、よく立ち寄っていた田んぼで、いつものようにリードを外し、ゆうきは喜んで思い切り走り回っていました。その頃、わたしは悩んでいて、ゆうきを眺めている間に涙がでてきて、座って俯いて泣いていました。気がつくと、側にゆうきが居て、走りに行かず、私の横にただただ座っているんです。いつも「帰るよ~」って声をかけるまで戻ってこないのに。あれはやっぱり、私に寄り添ってくれていたんですね。

    様々な犬種とその家族を通じて、犬と人とのそれぞれの絆をみることができました。
    「フレンチ・ブルドッグ」のお話が、一番印象に残りました。死のうと思っていた男性がフレンチブルドッグに出会い、ただ今を一生懸命生きているフレンチブルドッグと一緒にいる内に、再び生きていく男性の姿に、またその男性とフレンチブルドッグを迎えいれる母親に、心を打たれました。
    私もあれこれ思い悩まないで、今を一生懸命生きようっていう気になります。

    人間と犬の関係性やその絆、それぞれにある物語、またその裏にある悲しい問題も、本当に上手く表現され描かれていると感じています。

  • 犬好きは犬がもっと好きに、飼っていない人はすぐにでも家族に迎えたくなる。
    千尋ちゃんの最期の日々を素晴らしいものにしたトイプードル。シロが連れてきたヤマネコをたまと名付けて一緒に暮らした永勝。盲目作家の心を徐々にとかしていく盲導犬ジョーヌ。母犬に噛まれて見た目はかわいそうなのに、笑顔で周囲を魅了していくアンジュ、。エマの安楽死を選択した家族。
    私が一番好きなのは、何もかも失くして死に場所を探す男と出合ったフレンチブル。最初に名付けた「ぶひ子」はあんまりだと思うが、本当に命の恩人になるあたりは、あまりに小説的な展開ではあるけれど、ほっと気持ちがやわらいだ。
    最後のバーニーズ・マウンテン・ドッグ。亡くなった犬の魂について、こんなふうに考えれば、愛犬との別れを経験しても、心穏やかに過ごせそうである。

  • ソウルメイトⅡです。
    著者の馳さんの飼っているバーニーズは以前飼っていたうちのワンコと出身犬舎が同じだったので、犬舎が主催する集まりやドッグショーで馳さんご夫妻とはご一緒したことがあり、勝手に親近感がわいてます☆

    病と戦う少女と家族に寄り添うトイプー、
    妻に先立たれた老人と一緒にネコを育てるミックス、
    視力を失った偏屈な男に尽くす盲導犬のラブ、
    愛犬の死から立ち直る前に母が次の犬を迎え、心をひらけないでいる娘に天真爛漫に笑顔を振りまくバセット、
    安楽死を選択せざるを得なかった家族と、それでも最後まで幸せだったフラッティー、
    ホームレスで自殺を考えていた男の再生のきっかけを与えたフレンチブル、
    歴代の飼い犬の思いを受け止める男と伝えるバニ、
    犬と人間のきずなを描いた7つの短編集です。

    前作よりも馳さんの心の安定が読みとれ、なんだか少し嬉しい気持ちになりました。
    きっと、時の流れや、新たなワンコ達との出逢いが死別の苦しみを和らげたのではないかと想像できたからです。
    そして私自身も、この本でたくさん励ましてもらいました。

    どの章も印象的で、様々な思いが蘇りましたが、バセットハウンドの章は今の私には特に刺さりました。
    「ルカはルカ。アンジュはアンジュ。どちらもかけがえのない亜紀の家族だ。
    最愛の犬を失い、うちのめされ、それっきり犬を飼わなくなる人がいる。また新たな犬を迎えて以前と変わらぬ愛情を注ぐ人がいる。
    ~犬は飼い続けるべきなのだ。今ではそう思う。~代が替わっていくうちに人間も成長する。人間が成長すれば、犬はもっと幸せに暮らしていけるようになる。
    ルカに教わったことはいっぱいあった。~」

    一番号泣したフラッティーの章では、色々なことを思い出しました。
    うちの子も、てんかんの症状を病院の先生に予告されていたのです、が、実際には一度も発作は起こさずにあっけなく旅立ってしまいました・・・
    もっとお世話をしたかったしもっと長く一緒にいたかったけど、こういう選択肢を考えるヒマがなかったことはあの子の配慮だったのだなあ、とつくづく思いました・・・

    犬はいつも「いま」を生きている。
    私は、私と関わったワンコに生きる喜びをあたえ、一緒に幸せを味わっていきたいです。

  • 「辛い」ですが。また、もう一度読んで思い出したい。

  • ペットロスの只中に読みました。
    些か、自虐的ですが、真剣に次の子が欲しくなります。
    作中にあるような、レスキューされたような、
    成犬が。
    子犬から、飼うのは、15年位の犬生に保証をしてやれるか心配になります。
    作者のバーニーズ好きは、ブログを拝見しているのでよく知っています。
    ワルテルとソーラは、よく拝見し、虹の橋を渡ったのも読みました。
    私的には、3頭目ですが、ポッカリ感がたまりません。

  • 犬と人間の短編集なんてきっと自分は泣いてしまうと前作のときもそう思っていたが、今回も予想を遥かに超える号泣をしてしまった。中でもフラットコーテッド・レトリバーのエマの安楽死の話は辛過ぎた。作者は最後の短編で言う。犬は魂の伴侶。亡くなったとしても「魂で繋がっているのだ。哀しむことはない。嘆くことはない。」と。そしてまた新しい子を迎えてと。でも私はどうしても愛するあの子への想いで心が一杯で、まだまだそれは当分出来そうにない。

  • 犬への感謝の気持ちが伝わってきます。そして飼い主としての自分のダメさ加減が…

  • こんな賢い犬はそうそう居ないやろ!と出来すぎ犬に苦笑してしまう所もあるが、犬を飼っている人間なら絶対泣いてしまうだろうと思う。
    私はどの話も号泣(笑)。

    作者がバーニーズマウンテンドッグの良き飼い主、良きボスであるので、小説という形を取りながらも飼い主のマナーブックとしても読める。犬の食事、マナー、病気、ブリーダーやレスキューなど、犬を取り巻く世界全てを教えてくれる一冊ともいえる。

  • 良かったです。泣いた。感動です。巻頭詩、トイプードル、フレンチブルドッグが良かった。Ⅰも読みたい。「飼い主が幸せなら、犬も幸せなんです」わかる。

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著者プロフィール

1965年北海道生まれ。横浜市立大学卒業。出版社勤務を経てフリーライターになる。96年『不夜城』で小説家としてデビュー。翌年に同作品で第18回吉川英治文学新人賞、98年に『鎮魂歌(レクイエム)不夜城2』で第51回日本推理作家協会賞、99年に『漂流街』で第1回大藪春彦賞を受賞。2020年、『少年と犬』で第163回直木賞受賞した。著者多数。

「2022年 『煉獄の使徒 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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