残酷な王と悲しみの王妃 2

著者 :
  • 集英社
3.80
  • (7)
  • (28)
  • (15)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 182
感想 : 23
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087716337

作品紹介・あらすじ

王も王妃も、泣き笑い、苦しみながら生き抜いた。ルードヴィヒ二世、カルロス四世、アレクサンドル三世妃マリアなど、ヨーロッパの王と王妃の波瀾万丈の人生を、絵画や写真とともに辿る歴史読み物第2弾。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 今回も大変楽しく?読むことが出来た。
    ルートヴィヒ二世、アレクサンドル三世妃マリア、カルロス四世、カロリーネ・マティルデの4人。
    ルートヴィヒ二世とオーストリア皇后エリザベートの共通性は面白かった。二人とも若い頃は大変に美しい容姿をしており、そのために多大な期待を背負ったようだ。美しすぎると自意識過剰になって、精神を病むのか?プライドの高さと相反するような自信のなさと傲慢さ。私には理解しがたいが、理解するために必要な美しい容姿も持たないので、理解するのは不可能だろう。周囲の人々のほうが迷惑極まりないように思える。ルートヴィヒ二世は女性を愛せなかったことも不運だったと思う。

    アレクサンドル三世妃マリアは複雑な気持ちになる。もし彼女が庶民のお母さんだった非常に良妻賢母で非の打ち所がない母だと思えるだろう。けれども、これが国王のお母さんだったなら困ったことになることもある、と気づかされた。舅姑とも仲良くし、努力家で周囲に溶け込む努力をし、家庭の中で太陽であり続けた。結果として息子は皆マザコンとは…。家庭的良妻賢母は王の母には良くない?そして結婚では母の言うことを聞かなかった、それが王朝の滅亡の一因になる。これもエリザベートとの類似性を指摘される。

    カルロス四世、スペイン史上最悪の王妃の夫。ここまで王に不向きな人も珍しいというか、これも周囲が大変なパターンか、それとも口出ししないから楽なのか。マリーアントワネットとルイ16世夫婦と対比されていたが、カルロス四世とマリア・ルイサでは「ベルサイユのばら」のスペインバージョンは描けないように思う。スペインのマホ、マハ、スタイルの流行は日本の国風文化みたいなものか。

    カロリーネ・マティルデ。愛人と密通して追放となると、ゾフィー・ドロテアと同じ運命か、と思ったが、ジョージ三世の取りなしのおかげで、降嫁先デンマークから離れることが出来た。しかし、23歳で死去。ずっと幽閉されるよりはいいのか、どうなのだろう。彼女の場合、愛人と密通しても夫から激高されたわけではないようだ。王妃という立場は本当に危ういものだなあと思う。夫の性質に左右されるのはもちろん、国の政情、周囲の人間達の野心なども関係してくる。

  • 近親婚、政略婚、とにかく溜息の連続。1巻でも感じたが、もう少し図版が大きいといいのにな、というものが何点か。ゴヤの絵を見に行きたくなる。

  • 舞台となっている時代と国々において、叔父と姪の結婚は多過ぎるし、同名も多くてややこしいが、著者の書き方がわかりやすいので、この辺りのヨーロッパ史を勉強するのがマイブームになっている。

  • 今までのこの作者の「怖い絵」シリーズはタイトル通り、怖い絵からその背景を読み解くというものだったけど、この本では絵はむしろ文章の色付け的な役割になっている。
    そのせいか、2という続編のせいか、イマイチ内容に興味をもてず退屈だった。
    大体、続編は1に比べて内容がイマイチというものが多いのでこの本もそうなのかもしれない。
    私は1の方は読んでないけど。

    本の内容はヨーロッパ・・・ドイツ、ロシア、スペイン、デンマークの王族たちの史実を絵と共に解説されたもの。
    絵に基づいて・・・というよりは、むしろ絵は史実を書き出した文章を分かりやすくする、いわば添え物のような感じで使われている。

    4章に分かれていて、最初はドイツのルートヴィヒ二世について。
    歴代随一の「美王」として紹介されている彼の姿は肖像絵にも描かれているが、この時代はもう写真の技術があり、写真でもその美しい姿を見る事ができる。
    しかし、同性愛者であり、後に「狂王」と呼ばれるようになる。
    後年の肖像画もあり、それでは分かりにくいけど、太って歯が抜け落ちていたらしい。

    2章はイギリスのエドワード七世とロシアのアレクサンドル三世にそれぞれ嫁いだデンマークの姉妹の話。

    3章は表紙で紹介されているスペインの王家の物語。
    絵を描いたのはゴヤで、絵からも王の愚鈍さや王妃の底意地の悪さが伝わる。
    この章ではこの本の中で最も絵に多くふれている。
    それはスペイン王家がゴヤと大きく関わっていたから。

    4章は精神的に問題のあるデンマーク王、クリスチャン七世とイギリスから嫁いだカロリーネ・マティルデ、王の精神医のストルーエンセの三角関係の物語。
    ここでは中世ヨーロッパではよく見られる残酷な処刑が絵で紹介されている。

    よく言えばきちんとした本だと思う。
    こういう本でありがちな下世話な印象はなく、史実を忠実に描いているという印象。
    多分、ヨーロッパの歴史に興味のある人なら興味深く読めるのかもしれない。
    ただ、私のように知識も興味もさほどない人間には実際にあった事をつらつら書いてるように思えて退屈だった。
    もっと他の、映画なり何なりで歴史をある程度知って興味をもってから読めば面白かったのかもな・・・と思う。

  • 情報が少なければ少ないほど、人は想像し、妄想し、夢想する。

  • 中野京子さんのご本はどれも面白いが、
    この巻ではここ数年宝塚で上演された作品に登場するマリア・フョードロヴナやストルーエンセの話が載っており、ヅカヲタ的にはより楽しめた。
    マリア・フョードロヴナの姉がイギリス王室に嫁いでいたことは初耳だった。つくづくヨーロッパの婚姻関係は入り組んでいる…

  • 1以上に面白かった。最初と最後の人物のエピソードが特にいい。

  • もっと若い時に知ってたら世界史を選択したのに、

  • 1が無かったので2を図書館で借り読みました、時代背景も分かりやすく、名前がややこしくて覚えられないけど、
    王家の哀しさ 儚さが伝わってきて興味深い本でした、次は1 読みます!

  • 切れ味控えめ。

全23件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

早稲田大学、明治大学、洗足学園大学で非常勤講師。専攻は19世紀ドイツ文学、オペラ、バロック美術。日本ペンクラブ会員。著書に『情熱の女流「昆虫画家」——メーリアン』(講談社)、『恋に死す』(清流出版社)、『かくも罪深きオペラ』『紙幣は語る』(洋泉社)、『オペラで楽しむ名作文学』(さえら書房)など。訳書に『巨匠のデッサンシリーズ——ゴヤ』(岩崎美術社)、『訴えてやる!——ドイツ隣人間訴訟戦争』(未来社)など。

「2003年 『オペラの18世紀』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中野京子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×