芸人と俳人

  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087716122

作品紹介・あらすじ

ピース又吉直樹と俳人の堀本裕樹による対談本。俳句とお笑いについての対話を交えつつ、俳句の基本テクニックがわかる入門的な一冊。二人の書き下ろしエッセイや20句を超える実作俳句も収録。

感想・レビュー・書評

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  • 神様はまるでお母さんの様に、
    この世に生まれた人達全てに
    「楽しく生きて下さいね。」
    と、たくさんのおもちゃを用意して下さった。

    あぁ、ぜんぶ面白そうっ!
    ボール、釣竿、お洋服、絵の具、楽器、乗り物、歌、
    他の生き物、他の惑星、自分以外の人達、想像力…

    なかでも
    <言葉>を選択した人ならば
    必ずや関心を示したであろう『俳句』。
    ほんの僅かな
    17文字にて
    映像とストーリーを同時に表現してしまう稀有な世界。

    だが、このたった17文字が以外と難しいっ!
    最初は
    「俳句を詠むのは怖い…。」
    と、まで言っていた又吉さんだったが、
    元来の言葉好きが功を奏して
    ぐんぐんと実力を発揮してゆく様が清々しい。

    >銀杏をポッケに入れた報い

    >石鹸(しゃぼん)玉飲んだから多分死ぬ

    相変わらず、
    一笑い入れつつも、郷愁感漂わせられる技術は
    すごいなぁ~
    もっと読みたいなぁ~

    と、又吉オモシロ成長記録でも読んでいるうちに、
    俳句の基礎が無意識に身について行くかの様に感じた。

    更に
    いよいよラストの『句会』には
    なんと短歌の穂村弘さんも参加っ♪

    又吉さん含む5名の俳人が6句の句を提出。
    あとは
    皆でいいと思った句を選び抜く。
    読みあげられた者は名乗る、
    そんなルールで始まった句会。

    ああ、
    参加もしてないのに何故かドキドキッ♪

  • 俳句に興味があり、知識を得るために読みました。
    切字は作者が切ろうと意識すればどんな言葉でも切字になる、ということが特に衝撃的でした。
    又吉直樹さんの目の付け所や、それを実体験に基づき俗なものと結びつけるセンスがすごく、ファンになってしまいました。
    難しい句でも、自分なりに反芻しながら解釈していく楽しさみたいなものが追体験できたので、少しずつ俳句に触れていくきっかけになったのではないかと思います。

  • 自分では詠まないけれど、NHKラジオやテレビの、俳句や川柳の番組は好きだ。
    俳句、というと、季語の縛りがあるので、それを知らないと詠めない、と思っていた。しかし、短い語数で表現する俳句には、季語は縛りどころか、表現の幅を与えてくれるもので、とても合理的なのだと知った。季語のことをもっと知りたくて、季語辞典が欲しくなったほどだ。

    又吉直樹が、勝手に俳句のハードルを上げて、自尊心を傷つけられないようにと心を砕いている様子も滑稽なのだが、それも師の巧みな導きによって解放されていく。その過程を読者も体験できる。大変わかりやすいご指導。
    彼の言葉に対する感性が、俳句の創作や鑑賞にも余すところなく表現されている。彼は小説よりも、詩人の方が向いていると思う。
    ここで知った俳句は、どれも興味深かった。
    なんども味わいたい、俳句の世界を知ることができた。

  • 有季定型俳句を怖がっていた又吉が、2年に渡って堀本氏の講義を受け、
    句会や吟行が出来るまでになる、会話形式の俳句教本。
    やはり又吉は言葉のセンスがピカイチだと改めて思った。
    句の鑑賞のしかたも一風変わっていておもしろい。
    彼の細やかな感性が感じられ、とても興味深かった。
    講義以外でも日常的に勉強していたことが、行間に滲み出ている。

  • 又吉さんの視点を通じて俳句の基礎を学べた。意外と実践的。

  • わー、俳句とか詠める人かっこいい!っていうレベルなのだけれども、ちょっとそんな余裕を持ってみたら、とか俳句を楽しめる可能性を少し感じさせてくれる本。

    なにより、勉強、習得の対象として、つまりセンスとかだけじゃなくて、自分次第で学べるものとして捉え直す機会になった。
    言葉は深いし難しい。
    でも外国語を学ぶぐらいやし、日本人として日本の言葉をもっと学ぶのは人生の幅が広がる、と思ったり。
    あと、学び方、大事と思った!

  • 「暖かき春風吹いてあくびする」
    春風は春の季語、「のどかであたたかい風」なので、「暖かき」も「吹いて」も余計、春が眠いのは春眠暁を覚えずなどにあるように共通認識なので「あくび」も凡庸。ほとんど削れてしまう。初心者は季語を説明しがち。

    「廃道も花火ひらいて瞬けり」
    花火、の中に開いて瞬くという意味があるので、これも意味が被っているらしい。俳句〜!

    又吉が「はい。歳時記と友達になります。」と優等生な返事をしたあと次のページにでっけえ文字で「石鹸玉飲んだから多分死ぬ」って書いてあって笑った。アナーキーだな。

  • 俳句を恐ろしく感じている又吉さんが、俳人の堀本さんと共に俳句について勉強していく1冊です。

    「季語」についての説明を俳句に加えすぎない、「切れ字」の使い方など、初心者の俳句の書き方としても参考になります。
    以前、学生の頃俳句を書いた記憶がありますが、「季語」や「切れ字」など、間違えていたんだな...と恥ずかしく感じました。

    後ろの方には、句会や吟行などの体験も書かれています。句会はよく知らなかったのですが、参加者それぞれの特性が出て、面白そうですね。

  • 俳句には興味がある。でも、そもそもルールがよくわからない。解釈もこれで合ってるの?そんな憧れと恐れを抱いていた私には、ちょうど良い入門書として読めた。
    着眼点にセンスがあり言語感覚も鋭い又吉さんが読んだ俳句を、堀本さんが添削することによって、ぐっとカッコいい句になるのにときめいてしまった。
    たった十七音に世界を集約させる。その奥深さを垣間見ることができたような気になった。

  • 実際に俳句をつくってみよう、という気持ちになれたので有り難かった。
    若手の俳人てどんな人だろうという興味あり、堀本氏の飾らない実直な人となりが伺え、又吉氏の芸人らしい鋭さとの良い組み合わせで進んでいき楽しく読めた。

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著者プロフィール

又吉直樹(またよし・なおき)
1980年、大阪府寝屋川市生まれ。2003年より、お笑いコンビ「ピース」として活躍。2015年『火花』で第153回芥川賞受賞。代表作に『東京百景』『劇場』『人間』など。

「2021年 『林静一コレクション 又吉直樹と読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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