手から、手へ

著者 :
制作 : 山本 純司 
  • 集英社
4.14
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本棚登録 : 470
感想 : 52
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  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087714746

作品紹介・あらすじ

どんなにやさしいちちははも、おまえたちとは一緒に行けない。どこかへやがてはかえるのだから。詩と写真でつづる、あなたにとっていちばん大切なもの-家族のものがたり。

感想・レビュー・書評

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  • 数年前、NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」いわた書店の『一万円選書』で紹介され、購入したまま積んでいたと記憶。

    池井昌樹氏の詩は【やさしさ】を忘れずに生きることを子に説く。その詩に植田正治氏の写真が添えられている。写真は昭和感が満載で温かい家族愛に溢れてていて、詩・写真、どちらも主役♡

    絵本ではない、詩集と写真集のマリアージュ

  • さくらももこの担当でも有名な山本純司さんが、「現代詩手帖」創刊五十周年祭で、谷川俊太郎が朗読した詩にただならぬものを感じた。

    それが、この本の詩 池井昌樹「手から、手へ」

    そこから、植田正治の写真を組み合わせて絵本をつくる。と思いついた山本さん。
    出版社に持ち込むも、なかなか実現しない企画だったという。

    この絵本は、スマートできれいなんだけど、なんだか底知れぬ怖さがある。

    とにかく
    池井さんの詩が凄みがあり、いうなれば不穏な空気がある。
    はじまりはこう。
    ________________
    やさしいちちと
    やさしいははとのあいだにうまれた
    おまえたちは
    やさしい子だから
    おまえたちは
    不幸な生をあゆむのだろう
    ________________

    見開きの左に詩が、右に
    スタイリッシュな構成バリバリの植田正治のクラッシックな写真がある。

    詩と写真は題材としてあっているのだけど、若干のズレのようなものを感じる。

    詩も、写真も言い知れぬオーラがあり、それらは底に秘めた力がある。どちらも秘めた力から距離をとってクールに表現されている。

    詩と写真の底に秘めた力が、絵本として1つになることで、絵本の奥の方で、反応し、深い地底のマグマのように熱しているようだ。
    だけど作品を読む限り、一見クールでスマートにも見える。

    読んだ後、背筋がぶるっとするような、いい知れぬちからを感じる絵本。

  • 詩とアート写真で綴る人生絵本
    心が温かくなりました
    父と母から受け継がれたものは私の中に確実に流れている
    そして私の優しさは祖母からのバトンなのですよね
    辛くなったらいつでも読み返したい本
    きっとそこにに亡くなった母と祖母がいそうな気がする

  • 帯の裏面に「詩とアート写真で綴る、みんなの人生絵本」と書いてありますが、本書を表現するのにこれ以上の言葉はないでしょう。
    私自身、その道(詩とアート写真)に明るい方ではありませんが、本書には心を大きく揺さぶられました。
    また、再読すればするほどその揺れ幅は大きくなっています。

    さて、本書のような作品について、特に芸術性の面から感想を述べるのは不相応と承知していますので、「詩」の言葉から連想した既読本を書くだけにします。

    ・『星を掬う』町田そのこさん
    ・『そして、バトンは渡された』瀬尾まいこさん

    本(特に「詩」)の感想に普遍性などないのは当然ですが、本書と、先の2作品を読まれた方はどのような感想を持たれるのか気になりますね。

  • 何か植田正治の本が欲しいなと思っていたとき書店でぱっと手にした。
    しかしむしろ池井昌樹の詩のほうに凄みを感じてしまって、ちょっと感想を書くとかどうとかではない。
    「ちまみれなばとん」って凄い言葉。
    企画構成が山本純司という人らしく、この人にも興味が湧いた。

  • やさしさは、手から、手へ、くりかえされている。
    でも、やさしくあるためには、強くあらねばならない。
    そんなとき、そっと瞳を背けて、逃げたっていい。

    繰り返される永遠のものがたり。
    写真と言葉、読みながら号泣してしまうのは、
    やさしさの本当の意味をちゃんと知っているから。

  • ひきつがれていく、やさしさ
    父と母からうけた優しさは、あとになってじんわりと伝わってくるもの。愛情をうけた人々は、自ずと自らの子どもに伝えていけるものなのでしょう。

    いつまでも一緒にいられるわけではないという現実。今あるこの時間を大事にしていこうと思えるよい本です、、

  • 読了しました。

    ■なぜ手に取ったのか
    読書会で絵本好きのパパ友が取り上げられ、見てみたいと思って手にした本です

    ■何が語られていたのか
    詩です。家族の愛の詩です。

    ■何を学んだのか
    「やさしいちち」「やさしいはは」から生まれた子ども。
    命の尊さを感じ得る、きれいごとではない生きる厳しさ、楽しさを
    感じることができました。

    ■どう活かすのか
    家族のありがたさを感じさせる気持ちにさせてくれる本でした。

    ■どんな人にお勧めなのか
    子どもが生まれてくる人、家族を大切におもう人にお勧めの本です。

  • 母からもらった本。
    何度読んでも言葉が刺さる。鳥肌がたつ。
    それだけ魂のこもった詩である。
    挿絵になってる写真が、未来永劫続くちちとははのやさしさを表しているようで、とても心に残る。

  • 『感想』
    〇やさしさって、とても大切な感情。それは誰しもがわかっている。世界中の誰もがやさしさを前面に出し生活をしたならば、世界はきっと平和になり、皆が幸せになることができる。

    〇しかし人には独占欲とか、成功者への僻みとか、自分が一番高見に立ちたいとか、自分より弱い者を作りたいといった感情も同時に存在する。その感情が強く出るとき、やさしさは不利になってしまう。

    〇子ども時代だけでなく今になっても起きること。なぜやさしさをやさしさで返してあげなかったのか。そこで相手よりちょっと優位に立つことが、いったい何の意味があるのか。

    〇やさしさという感情は、やさしいちちとやさしいははからもらえたもの。そしてちちとはははそのまたちちとははからもらった。そうやって人は皆やさしさをもらってきたはずだ。

    〇もしやさしさを持っていない人がいたならば、それは本人はその両親の責任ではなく、そういう人を生み出してしまった社会全体の責任だと思う。

    〇やさしさの種は誰の心にもあるのだから、もし今やさしさを持っていないと思っても、それを咲かせることはできる。また周囲の人は自己責任と言わず、その手助けをしてほしい。

    〇やさしさはその一時は不利を生んだとしても、最後は自分自身を助けてくれるもの。

    〇だいたいの人は家族や友人、大切な人には優しくできる。それを同じ地域の人、同じ日本人、同じ人間、同じ生物と広く適用していこうよ。自分に損とかそんなこと気にしない。やさしさに包まれた世界を作ろう。

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著者プロフィール

1953年香川県生まれ。13歳の6月の夜、詩のようなものを初めて産み落とし、以来、山本太郎選により進学雑誌投稿欄で次々と入選。1967年、旺文社主催文部省後援全国学芸コンクールで「雨の日のたたみ」が特選第一席。1972年、「歴程」同人となり、会田綱雄を知る。1977年、第一詩集『理科系の路地まで』(山本太郎序、谷内六郎画)以降、『遺品』までの単行詩集が19冊。選詩集として『現代詩文庫・池井昌樹詩集』、『池井昌樹詩集』(ハルキ文庫)、その他に植田正治の写真とコラボレーションした写真詩集『手から、手へ』(集英社・企画と構成 山本純司)がある。
現在、法政大学講師、粕谷栄市との手書き手作り詩誌「森羅」同人。

「2019年 『遺品』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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