著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 90
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087712445

感想・レビュー・書評

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  • ふいに家に帰ってこなくなった男を持つ家族の風景と心情を
    描いた四編と、ゲイの男の機微を描いた一編から成る短編集。

    題材そのものは昼メロのネタになりそうなどろどろしたもの
    なんだけれど、それを決して昼メロ調にしないで適度にクールな
    視点でまとめている感じがある。そこがいい。

    最も印象に残ったのは、ゲイの男を描いた五番目の『暁闇』。
    「ゲイだからキモイ」の一言で片付けてしまうのはとても
    もったいないくらい二人の男の心情を描ききっていて出色の出来。

  • 人間の欲望とその輪廻についての5つの短編が収められている一冊。
    展開も早く、さくさくと読めると思います。
    しかし、矛盾してしまいますが比較的重みのある内容が多く、
    電車でさらり、と読めるものではないと思います。

    私は最後に収められていた「暁闇」はが好きです。
    しかし、設定に同性愛が入っているので苦手な方も
    いらっしゃるやもしれません。

    ただ、性についてではなく、依存による執着から生まれる物を
    どろどろと書きあげられているような印象をもちました。
    同性愛が苦手な方もぜひ・・・とお勧めしたい一冊です。

  • 同性間、異性間との関わりの中で男の闇の部分が描き出されているが、対人間同士の関わりの中で言葉にして説明できない微妙なズレ、秘めた部分とでも言おうか。あると思うのです。
    互いに生じた微妙なズレは、言葉をもって説明しても拗れるばかりってことが往々にしてある。説明が出来ない部分、聞きたくても聞いてはいけないような部分、闇の部分が一人一人にあるんではないでしょうか。
    時間をおいて再読してみようと思っている。

  • 図:限りなく☆4つに近い3つ。男の夜は長い。

    出版社 / 著者からの内容紹介
    男の夜は長い――
    女を中心として書かれた『蝶のゆくえ』に続く、男をめぐる短編小説。娘、妻、愛人、知人等、男を取り巻く身近な人物たちの視点から男の暗闇を描き出す。
    内容(「BOOK」データベースより)
    「自分の父親」の見慣れた目の向こうに、自分の知らない「父親という男」の別の顔がある―そのことを考えるのがつらいから、「分からない」という拒絶のままになる(「暮色」)。なぜ泣いているのか、自分でもよく分からなかった。泣けば、問題は解決して、うやむやになってしまうような気がした(「灯ともし頃」)。三年間妻子のところへ帰らなかった。三年たった霧の深い夜、ふらっと一人で帰って来た(「夜霧」)。男が去って行った理由は、分からない。分かりたくはない。分かったとしても、認めたくはない。去って行ったことさえも、認めたくはない(「蝋燭」)。誰も彼もが、「自分の胸の内」だけを見ていた(「暁闇」)。男の心の中には何があったのだろうか?男の「性」と「愛」を描いた橋本文学の新境地。

  • 短編集。男が自分のもとを去っていく話。
    「暁闇」は男同士の話でした。思うに幼い人物はなんかをしでかすなあと。

  • 読了 2008年 9月 (借:大村市民図書館)

  • 久々に橋本さんの本読んだ。
    あれだけ文中でたたみかけるように説明してしまうのに、それでも思考の余地を残せる、というのはなんだろう。
    やっぱり内容が分析的ではあるんだけれども、だからこそなんだろうなぁ。

  • いつまでも待っちゃう妻達の話。

    暗い!!!

    こんなのやだよー!!って思いながら読んじゃった。

    浮気されても、いつかは帰ってきてくれると信じて絶対帰ってこない夫を待ち続け、離婚に承諾しない奥さんたちの心理がよくわかりました。。

  • 気まぐれに家を出て、不意に帰ってくる男、
    かたくなに離婚を拒否する女、
    浮気をする男と、それを許す女、
    愛情と憎しみが混同する夫婦の愛とは。。

    まるで、メロドラマのような短編集なのだが、
    それ程のドロドロ感は無くて、
    妻・愛人・夫・娘。。。
    それぞれの視点で、思いがクールに描かれている。

    夫の帰り待つでもなく、静まり返った家の中で、
    ただ、夜の空間にさまよう心を見つめる女。。。

    登場人物たちは、上手い解決法が見つからないまま、
    すれ違った心を放置し、時間の流れに身を任せる。

    波乱に富む展開ではないけれど、
    妙に現実的で、ついつい引き込まれてしまった。

  • 「暁闇」:ハッピーエンドの結末を迎える恋愛なんてきっとそうは多くないはずだ。恋愛の苦さ、辛さ、ずるさ、そしてちょっとだけの幸福。淡々と語られる男2人の夜の記憶。

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著者プロフィール

1948年東京生まれ。東京大学文学部国文科卒。小説、戯曲、舞台演出、評論、古典の現代語訳ほか、ジャンルを越えて活躍。著書に『桃尻娘』(小説現代新人賞佳作)、『宗教なんかこわくない!』(新潮学芸賞)、『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』(小林秀雄賞)、『蝶のゆくえ』(柴田錬三郎賞)、『双調平家物語』(毎日出版文化賞)、『窯変源氏物語』、『巡礼』、『リア家の人々』、『BAcBAHその他』『あなたの苦手な彼女について』『人はなぜ「美しい」がわかるのか』『ちゃんと話すための敬語の本』他多数。

「2019年 『思いつきで世界は進む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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