- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087711684
作品紹介・あらすじ
彼女の笑顔を想うと、時々、涙がこぼれそうになる。
この幸せが、この恋が、ずっとずっと続いてほしい。そう思っていたのに――。
駆け出しの建築家・誠と、カフェで働く日菜。雨がきっかけで恋に落ちた二人は、鎌倉の海辺の街で愛にあふれた同棲生活を送っている。家族のいない日菜に「夢の家」を建ててあげたい、そのために建築家として名を上げたいと願う誠だったが、ある雨の日、日菜と一緒にバイク事故で瀕死の重傷を負ってしまう。
目を覚ました彼らの前に、“案内人"と名乗る喪服姿の男女が現れる。
そして誠と日菜は、二人合わせて二十年の余命を授かり、生き返ることに。
しかしそれは、互いの命を奪い合うという、あまりにも苛酷で切ない日々のはじまりだった――。
この恋の結末に、涙せずにはいられない。
『桜のような僕の恋人』の著者が贈る、胸打つ長編小説。
●著者プロフィール
宇山佳佑(うやま・けいすけ)
1983年生まれ。神奈川県出身。脚本家、作家。ドラマ『スイッチガール!!』『主に泣いてます』『信長協奏曲』などの脚本を執筆。著書に『ガールズ・ステップ』『今夜、ロマンス劇場で』『桜のような僕の恋人』『君にささやかな奇蹟を』がある。
感想・レビュー・書評
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後輩から「号泣必至」と勧められて読んだ。
若者の恋愛事情について行けず「これくらいじゃ、泣けないよ!」と、読み進めていったところ、最後には、やられてしまった。
雨宮誠・26歳。建築家の卵。
相澤日菜・23歳。カフェ「レインドロップス」勤務。
二人は、出会い、愛し合い。只今同棲中。
そんな二人が、バイク事故を起こして、瀕死の重傷を負った。
二人は、輪廻統括査定部に連れられ「ライフシェアリング」を受けるかと尋ねられた。
ライフシェリングとは、一つの命を二人で奪い合いながら生きていく事。
二人で20年。一人が半分の10年を所有し、どちらか一方が幸せを感じたら、相手の命を1年奪える。
逆に、不幸を感じたら、相手に命を1年奪われる。
愛し合う二人は、命を奪い合わないで、助け合って生きていけると思い、奇跡対象者となる事を選ぶ。
以前は、お互いの幸せを願っていた二人だったが、相手が幸せになる事は、自分の命が奪われる事。
誠は、次第に、日菜が幸せを感じるのが、不愉快となる。
幸せ体質の日菜は、誠の命を奪うのが辛くなり、幸せを感じないように努力するようになり、いつしか笑顔が消えていく。
自分の命を差し出しても、相手の幸せを願う、究極の愛を見せてもらった。
好きな人と生きていくための、たった二つの言葉。
ごめんね。と、ありがとう。
どれだけ、この二つの言葉が言えてるだろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
雨が好きになる物語でした。
好きな人とライフシェアリングで喜びと悲しみで命の取り合いをする。
命を意識して生きる中で、夢は何なのか?何を成し遂げたいのか?何が自分にとって幸せなのか?をぐるぐる考えさせられます。
2人の決断した選択は死を意識した時、まっすぐに自分の心に向き合ったシンプルな答えになる。時間は選択肢をくれるけど、答えを複雑にし、何が大事かを見失ってしまう。
結局、すべては手元に残せない。何を手放すかを決めた時、何が残るが、何が大事なのかに気付かされてくれる。
真壁先生の言葉は、最高でした。
夢を叶えるために生きているのではない、誰かを幸せにするために生きている。これも夢を失って、削ぎ落とされた先のシンプルな答え。無いものを数えるな、手にあるもの、チャンスに目を向けて生きろと語りかけてくる。
ライフシェアリングできる時間がどんどん短くなる中で、ひとつひとつ何かを失いながら葛藤する2人がとても切ないけど、芯にある幸せに気付かされる物語でした。
雨降らないかな。-
2020/12/31
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この作品を読むまで、雨の日はとても憂鬱に感じていましたが、今では、雨の日が好きになりました。この作品に出てくる言葉一つ一つが心に響くものばか...この作品を読むまで、雨の日はとても憂鬱に感じていましたが、今では、雨の日が好きになりました。この作品に出てくる言葉一つ一つが心に響くものばかりでした。2022/03/16
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優希さん、コメントありがとうございます。雨の日も好きになるって、人生の良い日が増えて、なんかすごく得した気分ですね。優希さん、コメントありがとうございます。雨の日も好きになるって、人生の良い日が増えて、なんかすごく得した気分ですね。2022/04/22
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この作品を読んで、好きな人と笑って過ごせる普通の日常に感謝だと思いました。好きなのに、笑ったら相手の幸せを減らしてしまうということをきっかけに好きな人との間に亀裂が入ってしまうことに切なさを感じました。今、好きと思えること、普通に笑って過ごせること…、などの感情の大切さについて感じることのできる1冊だと思います。
是非、読んでみて下さい。 -
この本は、泣きます。
主人公たちだけではなく、その周りの人々にも感動しました。読みだしたら止まりません。
宇山佳佑さんの、作品は本当に心を癒やしてくれます。 -
小・中学生の頃に読んでいたら星4。
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本屋さんでよく見かけていたので、気になって読んでみた。泣ける系かな?と思ってたけど案外サラッと読めた。
ライフシェアリング、命の奪い合い。きっと想像するよりしんどいんだろうな。最初は誠のネガティブさとか、日菜との言い合いをなんだかなぁと思いながら読んでいたけど、二人が前向きに生きていく姿はかっこいいなと思った。自分の命をかけて相手の幸せを願うって、みんなができることじゃないと思う。
明智さんと能登さんのフォローもすごく良くて、天使なのになんだか人間らしくてあたたかくなった。 -
相手を想う気持ちがこれでもかとグイグイくるところにちょっと引いてしまった^^;とってもピュアな恋愛小説なのに。
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甘い甘いラブストーリーかと思ったら。
あの世で面談を受けて、『奇跡』を受けるだなんて、ファンタジーなお話かと思ったら。
合わせて20年の余命を2人で分け合う。幸せな気持ち(プラス)になると1年奪い、悲しい気持ち(マイナス)になると1年与えてしまう、そんなの最後までもつわけないよなぁ、無理な設定だよねぇ、と思って読んでいたら。
いいお話でした。
後半、何回も泣いた。
最後の部分を読むのに、勇気が欲しいくらい。
でも、2人ともきっと、幸せだったのでしょう。
誰かにこの素敵なストーリーを伝えたくてたまらない。 -
愛し合う誠と日菜、突然の事故で瀕死の重症を負う‥目を覚ますとふたりの案内人と出会い、ふたり合わせて20年の余命を授かることになる‥お互いの余命を奪い合うライフシェアリングの日々が始まり‥といった内容でした。読み始めて中盤から終盤は、引き込まれるように読めました!ふたりの余命は減ってゆくけど心は逆に様々なハードルを乗り越えて成長するような‥かけがえのない時間を精一杯相手を想い合いながら過ごす‥こんな恋愛できたらいいなって、感動しました!
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勧められて読んだ本。う〜んなんだろう、物語に入り込めないのは、私が年だからか(笑) 事故で亡くなるはずだったカップルが、命をシェアリングする奇跡の話だが、なんて言うか、出てくる人がみんな上滑りした考え方なのが気になる。