2.43 清陰高校男子バレー部 春高編

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087711585

感想・レビュー・書評

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  •  部員は8人。弱小と言われていたけれど,春高バレー出場を決めた福井県七符清陰高校バレー部。
     1年の天才セッター灰島公誓(チカ),まだ荒削りだけれど運動能力のポテンシャルが高い黒羽祐仁(ユニ),それから先輩たち。

     福井よりもずっと校数も能力も高い都道府県からやってきた強者たちと,いざ勝負……。


     清陰高校のメンバーも魅力的ですが,今回も,春高で対戦するチームの人々の心情がとても胸に響く。

     福岡代表箕宿(みぼし)高校の弓掛篤志。
     ここ十年くらいで実力を上げてきた東京代表の景星学園,浅野直澄。そしてその2年上のOB,佐々尾広基。

     それぞれに抱えたものがあって,誰もがてっぺんを目指している。

     試合のシーンの緊迫感が,なんともたまらないです。

     読み進めて,えっ,そう来る……?となりました。
     真剣にバレーボールに向き合っているからこそ,選んだ道。
     なんとも切ない思いです。

  • 福井県内の強豪福蜂工業を撃破して春高こと全国バレーボール高等学校選手権大会への出場権を得た清陰高校男子バレーボール部。
    今回は丸ごと東京体育館で行われたその春高編。

    春高常連校でもなく、部員もギリギリの8人の無名校が一気にそして楽に勝ちあがれる程春高は甘くない。
    今回も福岡の箕宿、東京の景星と魅力的かつ高い壁が立ちはだかる。

    今回は出番殆どないかと思われたキャラが嬉しい役割を得ていて冒頭喜んだのも束の間、清陰はもちろん箕宿と景星のそれぞれの抱える感情に振り回され、試合描写に熱くなる。
    個人的にバレーボール観戦が好きな事もあり、読んでいて本当にバレーの試合の展開が目に浮かぶ描写が相変わらず凄い。

    …が、最後の最後。
    予想もしてなかったまさかの展開に、既にそこまでで号泣して声がまともに出せなくなっていても、大声で叫びたくなった。
    ユニチカーーーーーーーーー!!!!!!!!

    読み終わって全ての巻の表紙を見返すと、さらに涙が溢れて止まらない。
    どんどん先へ進んでいる彼らに追いつけず、しばらくは放心状態。
    多分まだシリーズとして続くと思うのだけれど、続きが早く読みたいような、読むのが辛くなりそうな…。

  • 他校を取り上げながら、春高を1冊に詰め込んでいるため、前半はややこま切れ。
    それぞれの背景が明らかになってきたあたりから、ぐっと入りこむ。
    いろいろあった清陰がひとつになって全国の舞台で戦う姿には、ぐっとくる。
    他校もふくめ、懸命でさわやかなスポーツ青春小説。
    最後は、思いがけない方向への舵きりで、せつない。

  • シリーズ完結!まあ、高校バレーとしてはってことだけど。スポーツ小説っていいねえ。胸が熱くなるわ。私が望んでた結末にはならないんだけど、まあしゃあないな。しかし、試合描写が細かい・・・

  • こんな仲間のかたちもあるんだ…
    こんなラストもあるんだ…

    それぞれがそれぞれの道を進んでいくけれど、いる場所は違えど、過ごす毎日は違えど、それでも目指す先は同じで…こんな日々に憧れる。

  • 心理描写が強い。ひりひりする。相手の描写が濃いのもポイント

  • ユニチカ、なんてドラマチックなコンビなんでしょう。灰島は黒羽に出会えて本当に良かったし、黒羽も灰島に出会ったことで逞しく輝きを増した。

  • 泣いた。とにかく泣いた。
    今作も魅力的な新キャラが続々。それぞれの抱える思いや覚悟に泣いてしまう。映像が浮かぶような試合描写も健在で、アニメでも見たいなと思ったり……。
    逆らえない時間の流れの中で河原ざるを得ない彼らの関係性や、目の前に現れる選択、苦しくて痛くて切ない。それなのにそれすら愛おしく、まさに“青春”。

  • いよいよ春高へ出場することになった清陰高校バレー部。初出場の高揚感、チカの闘争心、常勝高のプレッシャー、バレーボールという競技の未来など、丁寧に描かれている。
    ユニチカが終わると聞いて、ずっと積読だったが文庫化を期に勇気を出して読んだ。憧れの春高に出場できた高揚感と、出場できなかった福井のエース三村の気持ち。また、この巻ではもう一つのユニチカこと佐々尾と弓掛の物語も綴られている。
    スポーツ界は最近、パワハラなどあまりよくないニュースも耳にする。オリンピックも不透明な状況で、全くの門外漢ながら競技の未来について思いを馳せた。勝つことで実績を積み、旧弊な習慣を打破していこうとする若き指導者の情熱。春高より先のために目の前の勝利に貢献できない川島の姿は往年の松井を思い出させた(古い)。そしてチカ。勝ち進む清陰高校に立ちはだかるのは試合日程の壁だったかもしれない。スポーツの大会のために授業が公休となることに賛否もあるのだろうが、甲子園もそうだけれど、選手に負担なく、実力を全て発揮できる日程を組んで欲しいと思った。いくつかのたらればを感じながら、チカは新しい未来を切り開いていく姿には勇気を貰えた。
    そしてユニ。何だか一足飛びに成長していて、男の子って急に背が伸びたりするよねと近くにユニがいるような錯覚を覚えた。
    棺野と荊ちゃんも相変わらずで、ひたすら棺野にエールを送っていた。頑張れ男の子。いつか報われる…と、思う。
    これで、2.43の物語は一旦終わるのだろうけれど、もちろん寂しくていつまでもユニチカを見ていたかったけれど、物語は終わるけれどもユニチカはこれからも何度でも一緒にいるのだろうと思ったら、希望が湧くラストだった。

  • 親友を思いやって、敢えて離れる決断をしたユニ。いつかまたもっと大きなところで、もっと成長した二人が一緒に大好きなバレーをするんだろうな。

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著者プロフィール

第9回電撃小説大賞〈大賞〉を受賞し、2003年『キーリ 死者たちは荒野に眠る』でデビュー。その他の著書に、『鳥籠荘の今日も眠たい住人たち』(電撃文庫)、『エンドロールまであと、』(小学館)など多数。

「2009年 『NO CALL NO LIFE』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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