- Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087606911
作品紹介・あらすじ
1957年バルセロナ。青年ダニエルと友人フェルミンは書店員として生活していたが、実はフェルミンには監獄での壮絶な過去があり…。人々の因縁を巡る、『風の影』で世界的ヒットを博したシリーズ第3弾。
感想・レビュー・書評
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名探偵ヒマキュール・ポメロ登場!(ババーン)
謎解きの時間です
ほほう、『風の影』四部作の三作目ですか…ズバリ!本当は三部作だったんじゃないですか?
でも、明らかに二作目の『天使のゲーム』がそうでもなかったんで、一作目で大人気だったダニエル&フェルミンを主人公に戻して最終作を前に急遽一冊ねじ込んて人気を取り戻したかった!
違いますか?!
うん、ぜんぜん違ーう!w(名探偵退場)
いやいやいや、なんか色々明かされた!
そうだったんか!っていう
一作目と二作目の謎が明かされあっちとこっちが繫がっていやそういうことなら話変わってくるやん!
そういうことなら『天使のゲーム』★3じゃないやん!
そしてまだ明かされていない謎、新たに加わった謎を抱えて最終作へ!
なんかどえらいことになりそうな予感!
『天使のゲーム』で止まってるマコミさん!ちょっと早計かもよ! -
フェルミンの過去、内戦直後を背景として、前作の『天使のゲーム』における主人公ダビッド・マルティンも深く絡むお話。
フェルミンの過去は想像以上に重たいだろうなと思い、第四作の『精霊たちの迷宮』の後に読んだ。感想としては、順番に読めば良かったと思った。たしかに、著者としては、どこから読み始めても大丈夫なようにしているようだし、実際ドラマみたく順番に見ないと分からなくなるということはない。でも、順番に見て行った方が後々の作品へののめり込み度合いが違ってくる。たとえば、『精霊たちの迷宮』に出てくるマウリシオ・バルスも、『天国の囚人』を読んでからの方が「こいつ…!」って感じで感情移入しながら読める。私は『天国の囚人』を後回しにしたので、『精霊たちの迷宮』で彼がメインで出てくる章では「この人誰?」というふうに、少し退屈してしまった…。そこだけが唯一悔やまれる。 -
スペインのベストセラー作家サフォン。
「風の影」「天使のゲーム」に続く「忘れられた本の墓場」シリーズ4部作の3作目。
前2作よりはだいぶ薄いので、迷宮のような重厚さ複雑さはややシンプルに。
妖しい雰囲気と登場人物の哀しいまでの純粋さは同じです。
スペインでは内戦が終わって間もない1957年、バルセロナ。
ダニエルはその名も「センペーレと息子書店」という父の書店で働いています。
怪しげな雰囲気の男が書店に現れ、親友フェルミンへメッセージを残します。
フェルミンは結婚を間近に控えているのですが‥?
フェルミンが語り始めた過去は。
18年前、監獄に入っていたこと。そこで出会った作家マルティンのこと。
彼と交わした約束のこと‥
内戦とフランコ独裁の様相は、日本人には想像を絶します。
若いダニエルにとっても、それは実感はできない話。
フェルミンが獄を出たとわかっているからまだ読むのに耐えられる獄中の話と、鬼気迫る脱出行。
そして、ダニエル自身の思わぬ問題と戸惑い。
前作が非常に描写の細かいややこしい話なので、具体的にはどこまで覚えているのか‥記憶にちょっと自信がありませんけど‥
サフォンのこの、水気が多い筆で描いたような、独特な陰影に富んだ華麗さ。
どこから出てくるものなのでしょう。
酔わされる心地を堪能しました☆ -
「忘れられた本の墓場」シリーズ3作目。てっきり三部作だと思い込んでいて、集大成なのにこんなに短いのかと残念に思い、すぐに読み終わっちゃうのは嫌だしと、前作『天使のゲーム』から読み直し。前作は恐ろしい話だったので気が進まなかったけれど、マルティンに感情移入した状態で読めたので大正解でした。そして『天国の囚人』が、これまでの二作とは対照的に、登場人物の心情描写よりもフェルミンの脱獄劇や救出され回復してゆく過程、マルティンとの約束などなどの冒険物語がテンポよく劇的に進んでいくのでとても読みやすかったです。サフォンならではの不穏で妖しい雰囲気はありつつもフェルミンの人柄で作品全体が柔らかい感じになっています。シリーズは三部作じゃなくて四部作だったし、読後感は爽やかで明るいし、良い気分で大変満足して読了しました。四作目が本当に待ち遠しいです。それを楽しみにしながら、これからまた『風の影』を読みます。
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内戦終了後間もない1957年のクリスマスを目前に控えたバルセロナ、旧市街にある「センベーレと息子書店」を訪れたのは、古臭い仕立ての黒い背広を着て杖を突いた年寄りだった。猛禽を思わせる目をした男は鍵つきの書棚から『モンテ・クリスト伯』を選ぶと、不自由な手でメッセージをしたためた。《死者のなかからよみがえり、未来の鍵をもつフェルミン・ロメロ・デ・トーレスへ。十三より》と。使用人で店主の息子ダニエルの親友でもあるフェルミンに本を贈ったのはいったい何者、不吉なメッセージは何を意味するのか。
心配するダニエルの問いに重い口を開いたフェルミンがぽつぽつと語り始めたのは、内戦からフランコ独裁に至るスペインの歴史の暗闇のなかに隠されていた悲惨きわまる物語だった。権力が推移するたび、現政府は前政府の関係者を次々と監獄送りにした。おかげで当時のスペインでは囚人の数が膨れ上がったが、そのなかにはフェルミンのように前政府の下で働いていた者ばかりではなく、政府批判をしたという理由で収監された作家や医者といった普通の市民も多かった。
『モンテ・クリスト伯』を模したフェルミンの脱獄とその後の『レ・ミゼラブル』ばりの逃亡生活は、敬愛するデュマやユゴーに捧げる作家のオマージュだろう。冒頭に登場するサルガドのような傍役にいたるまで登場人物の容貌や性格の輪郭がはっきりしているので感情移入しやすい。前二作にあった複雑に入り組んだ構成は影をひそめ、血湧き肉踊る19世紀ロマン主義小説の作風で通している。主人公が少年の面影を残す純情な人物であるだけに、話を面白くするには脇を固める人物に個性的な面々が必要になる所以である。饒舌で多方面に顔が利き、何でもこなすダニエルの良き相棒フェルミンは以前から気になる人物であったが、今回は、このトリックスター的な人物に光を当てることにより、バルセロナの闇が愈々際立つ。
世界中でベストセラーとなった第一作『風の影』、第二作『天使のゲーム』につづく「忘れられた本の墓場」シリーズ四部作の第三作。四部作のグランドデザインを描く『風の影』でラフ・スケッチにとどめ置かれた部分に光を当て、細部をふくらませ、小説の厚みを増した。迷宮のようなバルセロナの街のどこかにある「忘れられた本の墓場」をめぐる幾重にも折りたたまれた入れ子状の物語のなかでは、比較的シンプルなストーリー展開。フェルミン自身の物語による回想部分を含めても、前二作のもつ複雑な構成とは一線を画す読みやすさだ。分量も半分におさえられているのは、ひたすら怒涛のように最終巻にのめりこむために一息入れる役割を果たしているのかもしれない。
バルセロナ・ゴシックとでも呼びたくなるような独特の怪奇・残酷美に溢れるサフォンの世界だが、奇を衒っている訳ではない。住民投票の結果を見ても分かるように、スペインからの独立を強く希求するカタルーニヤ。内戦の混乱、その後のフランコ独裁に締め付けられ、忍従しつつ生き延びてきたカタルーニャの人々には、曰く云い難い日々の記憶が層を成して堆積しているのだろう。それだけに、人々の生や愛に寄せる思いは強く、願いを遂げる意志には熱いものがある。宗教的立場や政治信条の差異が生死を分ける日常の中で、他人と自分の命を秤にかけるような毎日を生き抜いてきた人々の物語は時に怪しく、時に酸鼻を極めるものともなろう。
一つの小説のなかに、別の作家の手になる物語が入れ子状に仕組まれ、物語世界の動きが現実世界に影響を与え、今を生きる人物の行動が物語に反映するという、トポロジカルでメタ小説的な小説構造。どこから入っていっても最後に待つのは「忘れられた本の墓場」であり、物語はそこからいくつもの時代、数え切れない登場人物の生活へと延びている。バルセロナという都市の地下に埋もれた歴史の層を蟻の巣のように迷宮化してしまう四部作。本篇だけ読んでも充分に楽しめることはうけ合うが、おそらく、これを読めば他の二編と、刊行の待たれる最終巻も読みたくなるだろうことはまちがいない。 -
これぞ小説のなかの小説、まさに王道を行く面白さ。唯一の不満は、第3弾の本書が前作に比べて分量が物足りなかったことで、もっと読みたいぞ、サフォン。恨めしいのは、自分の記憶の不確かさで、ちょいちょい脇役やサイドストーリーの巧みな伏線を読み飛ばしてるのではと不安にさせられた。これはもう完結編である次作が出たら、もう一度シリーズを最初から読み直すしかない。はやく次が読みたいとはやる気持ちと、次読んじゃうとこの物語世界も終わっちゃうんだからもう少し先でいいという、二律背反した思いに引き裂かれる。
フェルミンがダニエルを叱るシーンが特にいい。内戦時のことを語らない父を批判する資格はない、と。「父上はね、あの時代に生きることになった大勢の人といっしょで、ぜんぶ呑みこんで口をつぐんだ、それより方法がなかったんです。誰もが、あの痛みを何十年となく胸に抱えて、自分の一生をふいにした。そうすることで、きみや、きみみたいな人たちが生きつづけられるようにです」終戦の日を前に、何でも語り伝えることが推奨される一方で、困難な時代を生き抜いたことにあえて口をつぐむ姿勢を尊重するのも大事ではないかと考えさせられる。
今回もハッとさせられる言葉の数々。
「未来は望んで来るもんじゃない、生きてきた結果としてあるんです」
「思ったとおりですよ。神のほうが、きみのことを信じている」
「男の人って、街角で売ってる焼き栗みたいなもんじゃない? 買うときは、みんなホカホカで、いいにおいがするんだけど、袋から出したら、すぐ冷めちゃって、割ると、ほとんど中身が腐ってるのよ」 -
読み終わってしばし茫然。なかなか物語の世界から帰って来られない。時代も場所も一気に飛び越えて、連れていかれる。2作目で少し中弛みしてたのですが、この作品で前の2作がブリッジされて、俄然面白くなってきた。前のを読み返したい衝動に駆られる。この複雑な感情を喚起する感じ、映像ではちょっと味わえない。読書の楽しみを知りたいなら、読んでほしい。
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前作と違って、暗くどんよりした色が薄く、読みやすい。
このシリーズは映画を見たような読後感があると思う。スペイン、行ったことないくせに笑 -
うーん。風の影はすごく面白かったのだけど、トーンダウンしてしまった感が否めない。もう一度読み返してみた方がいいかしら?
まだ続きがあるようなので次回作に期待します。
おはようございます!
『天使のゲーム』がなんであんなファンタジーな感じになってるかのヒントがちょっと示されてるんです
でもって...
おはようございます!
『天使のゲーム』がなんであんなファンタジーな感じになってるかのヒントがちょっと示されてるんです
でもってフェルミンがなぜホームレスになっていたのか?ダニエルを守っていたもうひとつの目の存在が明かされます
いつか読んでみて下さい
『天使のゲーム』のもやもやが少しだけスッキリします
わいはこの先に進みます
「ホームレス」「ダニエルを守ってたもう一つの目」。なんや気になりますな。なんやあの「大いなる遺産」のことふっと思い出しま...
「ホームレス」「ダニエルを守ってたもう一つの目」。なんや気になりますな。なんやあの「大いなる遺産」のことふっと思い出しましたわ。
それにしてもカルロス・ルイス・サフォンさんいうお人は「天使のゲーム」で下手なことした思てましたけど、ほんまはもっともっと大きいこと考えたはったんですね。うちみたいなそこらの普通の読者には分からんでも、ひまわりめろんさんみたいなお一人にはきっと最後まで読んでもらえる思て書かはったんですね。うちは置いて行かれた。そんなんあきまへん。もぉ、うちも読みますえ。
一作目の『風の影』が面白い!思った人は絶対『天国の囚人』面白いと思う!…はず(急に弱気)
わたくしはお先に『精霊たちの迷宮』...
一作目の『風の影』が面白い!思った人は絶対『天国の囚人』面白いと思う!…はず(急に弱気)
わたくしはお先に『精霊たちの迷宮』いかしてもらはりまはりくまはりた