おっぱいとトラクター (集英社文庫)

  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087606096

作品紹介・あらすじ

母が亡くなって2年後、元エンジニアで変わり者の父が、ウクライナからやって来た豊満なバツイチ美女と結婚すると言い出した!父84歳、美女36歳。母親の遺産問題で仲の悪くなっていた2人の娘は一時休戦、財産とヴィザ目当てに違いないその女性から父を守るべくタッグを組み、追い出し作戦を開始するのだが…。ヨーロッパで話題騒然のイギリス発世界的ベストセラー、日本初上陸。

感想・レビュー・書評

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  • 世の中のほとんどの男は
    おっぱいと機械工作が大好きだ――という話。

    原題は "a short history of tractors in Ukrainian"。
    元エンジニアのニコライおじいちゃんが綴ろうとする
    論文のタイトル、
    第5章の章題でもある「ウクライナ語版トラクター小史」。
    インパクト大の邦題は
    第6章でニコライの長女ヴェーラが
    父の若い後妻ヴァレンチナを腐して零したセリフ(p.98)
    から。

    妻に先立たれた老人が
    若いバツイチ女性と再婚すると言い出し、
    相手が外国人で、
    財産と滞在許可が目当てに違いないと踏んだ娘たちが、
    普段の不仲をよそに結束して結婚を阻止しようとする
    ドタバタコメディ……だと思って読み始め、
    確かにそういう物語なのだが、
    裏にある真のテーマは、
    ロシア革命と戦争に翻弄されたウクライナの
    とある一族の小史で、
    ウクライナ出身の両親を持ち、
    イギリス国籍を取得した著者自身の家族史が
    ベースになっているらしい。

    大学講師を務める49歳、
    マイェフスカ家の次女ナージャは、
    反りが合わないからと距離を置いていた父と姉の
    過去の苦しみを、
    すったもんだの渦中で聞き出すことになり、
    戦後生まれの自分は
    今の今まで痛みを知らない甘ちゃんだったと反省する。

    という具合に、なかなか深みのある小説なのだが、
    個人的にはどのキャラクターにも感情移入出来なかった。
    利己的で周囲の迷惑を顧みない老人も嫌だし、
    その老人に辛く当たる女も醜いし……。
    トラブルの元となるウクライナ人巨乳美女ヴァレンチナが
    もっと可愛げのある女性だったらよかったのになぁ。


  • なんだ?と思わずにはいられないタイトル。



    老父の再婚を巡る家族のドタバタ悶着と、後妻ヴァレンチナの強烈なキャラ、幕間にトラクター史が語られる一風変わった内容だった記憶はあるのだがいかんせんノートを見ても思い出せない…。

    そのうち再読。


    1刷
    2021.2.4

  • ウクライナ系移民作家の自伝的小説。背景は事実に基づきつつもウクライナの人たちの置かれた苛烈な状況までもが上手にユーモアに包まれているので読みやすいです。ストーリーは80を過ぎた老父がビザ発給が目当ての40以上も年下の子連れの金髪グラマーに誘惑され(というより勝手に恋に落ち)結婚してしまい年が離れていて育った環境も性格も考え方も違う2人姉妹が振り回される、というもの。実はそのドタバタを通してウクライナの激動の時代背景やそこで暮らさざるを得なかった一般市民の現実などが語られます。80の爺さんも、娘たちもビザ目当ての嫁も、みんな自己中心的なのに率直で憎めないいいキャラクターで面白かったです。

  • " 西部開拓の後継者たちは、気象を学ぼうとしなかった。雨不足や強風にただ文句を言うだけで、そこにひそむ警告には目もくれなかった。彼らはどんどん、どんどん耕した。どんどん耕せば、それだけ収穫量も増える、そう信じて疑わなかった。そして大風が吹き、せっかく耕した畑の土はすっかり吹き飛ばされた。
     一九二〇年代に起きた土砂嵐(ダストボウル)と、これがもたらした大飢饉はアメリカ経済を混乱に陥れ、ついには一九二九年の株価大暴落を引き起こした。" P429

    人生の黄昏どきを迎えた老父が、30代の子持ち女性と再婚すると言い出したことから始まるスラップスティックコメディ。
    思えば父さんはいつでもこうだったと振り返る過去のセピア色は、思い出すたびにドドメ色に塗り替えられ、黄昏の色はウンコ色に染まっていく。
    誰にもあるかもしれない家族の傷を耐え難く感じ続けている人にはあまりおすすめできない。生臭すぎる。

    第二次世界大戦時、ソ連とドイツとの間で辛酸を舐めさせられたウクライナを物語ってもいる。
    冒頭に引用したことが本当ならば、アメリカというかルーズベルトは対日戦争を起こしたがっていたというフーバーの主張を補強するものであるかもしれない。

  • おじいちゃんの、
    男の性(さが)が全開に暴走する話。
    年をとっても、
    そこまでのめり込めるのはある意味うらやましい。
    ただ、150ページくらいで気が乗らなくなったので読むのやめた。
    自分の記録として登録しておく。

  • 完全にタイトルでジャケ買い
    んー、なぜか時間がかかってしまったのは読みづらかったということか。。。

  • ウクライナ難民出身のイギリス老人のもとにウクライナからの美女がやってきた

  • 2017/05/08 初観測 どうやら、ドタバタ、と社会派小説を一緒にしようとしてみた小説のようで、それに、トラクターの歴史(ポリティクスで自国の産業が衰退する話)もあり、けっこう凄そう。いつ読めるかな。

  • 文学

  • 元エンジニアで変わり者の84歳の父親が、
    ウクライナからやって来た金髪バツイチ
    巨乳美女と再婚すると言いだしたところ
    から話は始まる。

    それまで仲の悪かった娘ふたりは、その
    女から父親を守ろうと一転タッグを組んで、
    これでもか!とバトルを繰り広げる。

    と書くとただのコメディに見えるけれど、
    実はこの小説、ベースにあるのはウクライナ
    の悲惨な歴史。
    おそらく、まともに書くと悲惨過ぎてリーチ
    できる読者は限られていたんじゃないかと
    思える歴史。

    事実、ウクライナ生まれの両親を持ち、英国に
    移住してきた著者は、当初はシリアスな社会派
    小説を書いていて、さっぱりうけなかったらしい。

    ところが、あるきっかけでユーモアに目覚め、
    その後書いた本書が大ヒットを記録したんだとか。

    ドタバタ劇の部分がやや長くてくどい気もするけれど、
    こうした著者の経歴を理解すると、それも許せる。

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