- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087480139
感想・レビュー・書評
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東光さんが電車に乗ってきたら寝たふりする若者ばかりなので、足を踏んづけた。「いや、どうも。年をとると足下がおぼつかなくてね……」これは仏法でっせ。やっぱり法を施しているんです。年寄りが来たら替わるもんやということは、親が教えないでも、今東光という大僧正さまが足を踏んであげたお陰で気がつく。
さすが寂聴さんの師匠、小説家、政治家、天台宗の僧侶、艶福家の暴れん坊。
笑い転げなからも心にずっと残る話がいくつもあった。親孝行、人は一人では生きていけないなど当たり前のような話でも楽しい話によってハッと気づく。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
とある本屋で、懐かしき今東光和尚の本が目に留まった。
そうなのだ。わしらの世代ならまず間違いなく読んでいる、週刊プレイボーイの人生相談。それも柴田錬三郎、今東光、開高健の頃・・・(担当コメンテーターが亡くなってバトンタッチされていくのが常だった)。ああ懐かしくも、刺激的だったあの頃。
その今和尚の本である。
戸津説法といって、天台宗の偉い方が代々講じてきたのを、今和尚が務められた時の講話をまとめたものである。
代々の偉い方は、天台仏教の精髄をここぞとばかりに講義するわけだけども、そこは今和尚。時に河内弁、時に江戸弁を交えながら、自らの破天荒な人生経験をベースに語るわけです、聴衆をゲラゲラ笑わせながら。人呼んで漫才説法。
でも笑わせるだけではない、仏教(仏の教え)のエッセンスは深く強くこめられている。人間、狭い世界を分け合っているのだから互いに譲り合えばよいのに、それがなぜできないのか。「中道」で行けないのか…。
もとよりオレは仏教に帰依するものではない。今後ともない(自然宗教者だ)。だが誰しも傾聴すべき、大きな教えであろう。
世界の人々がみなこの境地に達すれば、いさかいも戦争も起きないだろうに。 -
面白いですよ。人柄がおモロ白い。仏教入門というより自伝に近い。それがまたよい。
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私は、今さんのことをよく知らなく、この本で初めて存在を知った。
経歴や経験談が面白い。
作家で天台宗のお坊さん。当時テレビにも出演する人気者、川端康成と親友で、芥川が先生。参議院議員を経験している。瀬戸内寂聴が弟子。
戸津説法は、天台宗のえらいお坊さんがするものだとのこと。内容は庶民のためにわかりやすく、時に冗談交じりに説明してくれる。
ただ、現代から見ると、時代を感じる本。
当時(1970年代)の世間はやはり男尊女卑で、内助の功、皆助け合いが美徳という価値観の中での発言に思えるところがある。
男子も女子も平等、お互いに働き競争をしていくというような時代背景で説明はしていないな~と。当然だけど。
今さんは、口が悪く中学中退といっても、いいとこの出だし、文学者としてもお坊さんとしても成功者で、いわゆる「すごい人」。その人を内助の功で支えるできた奥さんは旦那さんを尊敬していて、編集者などの人たちも崇めているのがよくわかる。非常に幸せなお父さんが、いろいろありがたい話をしているなーと思ってしまう。
映像などで観た方が、今さんの魅力や人徳や器の大きさがよくわかるのだろうが、本人のことをよく知らずに、本で、字づらだけで読むと少し距離を感じてしまうところがあった。 -
ずっと前、小林秀雄の講演CDで耳にしていた、
コントーコーという名前。
その正体は毒舌和尚だったのか。
畏まった、小難しいイメージのある説法を、
漫談でも聞いているような面白さで語ってくれる。
和尚の生き様あってこそ。
いい加減にみせて、所々にグサッとくる言葉たち。
それが江戸べらんめぇ+河内弁の口調で書かれてたまらんわい。
知識としてはそれほど残らないかもしれないけれど、
法味というものを、笑いを交えて存分に味わえる一冊。
人は選ぶけれど、なんとしてもおすすめしたい本。 -
毒舌和尚今東光の説法をおさめた本。
ツービート以前、毒舌と言えばこの人の代名詞でした。
お坊さんの説法は落語の原形だそうで(by高田文夫)、やたらめったら面白い!
知り合いの女の子に勧めたら、感謝されたことがある。 -
乗り移り人生相談の島地氏の師匠の言葉を読みたいと思い、図書館で見つけて読んだ。毒舌ということもなかったけど。面白かった。
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深夜番組(無意味良品の1コーナー)で今東光を知って、初めて手にしたのがこの本。探し回ってやっとみつけた。◆◇関連リンク◇◆『毒舌身の上相談』http://review.webdoku.jp/note/4390/15225/1?id=161539
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今東光という人を私は知らなかったが、先輩たちに聞くとなかなかおもしろくて、なかなかすごい人だったらしい。文字ではなくて、語りを聴けたらきっともっとおもしろいのかな。
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天台宗大僧正にして中尊寺管主の作家・今東光氏による戸津説法を記録した一冊。今氏の弟子にあたる瀬戸内寂聴氏の後書きによれば、型破りな説法に並み居る高僧が苦虫を編みつぶしたような顔をしていたというのがおかしい。こんな説法なら本当に聞きに行きたいデスネ。