産霊山秘録 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 175
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087478877

作品紹介・あらすじ

はるか古代から続く「ヒ」一族は、国が動乱期にさしかかると、特殊な能力を使って危機を救ってきたといわれる。その能力とは、御鏡、依玉、伊吹と呼ばれる三種の神器を使ったテレパシー、テレポーテーションであった。物語は戦国の世、織田信長の比叡山焼き討ちから始まり、関ヶ原、幕末、太平洋戦争、そして戦後の混乱期へと四百年の時を越える。歴史の襞の中で動く「ヒ」一族を圧倒的スケールで描くSF伝奇ロマンの傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 先年、集英社より再刊されているのは、気づいていた。出張先の横浜は日吉駅の書店で積み上げられているのが目に留まる。おお、これならば読み返せそう。

    頻度は多くなかったが、これまで復刊されるごと、幾度となく読み返してきたもの。今回、そのインターバルは長く、ストーリの詳細は頭から抜けきっていた。今の年齢で再読してみても、やなり超特の面白本との感想に変わりはなし。本能寺の変の意味付けを天皇制の擁護としたのは、本書が嚆矢ではなかったか。そういやあ、只今の大河ドラマも同じだった。

    SF小説が現在よりも更にマイナーなジャンルだった頃に、SFの定番的手法を網羅して綴られた時代・伝奇小説であり、尚かつ大衆小説としても成功した希少な例でありました。
    (2006年記)

  • 厨二病時代の1冊を30年ぶりに再読。今でこそありふれたアイデアに思われそうな内容だが、むしろこれが元祖だろう。約40年前に書かれた伝奇SF小説の時代劇。とにかく発想の豊かさとアイデアは当時としては革新的。今現在において似た作品が存在するとしたらそれらは全部これの真似だと思う。

  • 本能寺の変、関ヶ原、幕末、太平洋戦争と、約400年もの時をまたぐなんとも壮大な伝奇SF。
    「ヒ」というサイキック忍者一族が、日本(世界)の歴史を動かしていたという設定が、多くの伏線を回収し、別の意図を浮かび上がらせていくさまは痛快。
    下の巻、鼠小僧の「江戸地底城」と坂本龍馬の「幕末怪刀陣」が好み。

  • 著者の作品の中で再読が多いのがこの本。虚々実々の伝奇小説だが、歴史上の出来事を上手く落とし込んでいる。明智光秀に関する話など面白く読めた。

  • [ 内容 ]
    はるか古代から続く「ヒ」一族は、国が動乱期にさしかかると、特殊な能力を使って危機を救ってきたといわれる。
    その能力とは、御鏡、依玉、伊吹と呼ばれる三種の神器を使ったテレパシー、テレポーテーションであった。
    物語は戦国の世、織田信長の比叡山焼き討ちから始まり、関ヶ原、幕末、太平洋戦争、そして戦後の混乱期へと四百年の時を越える。
    歴史の襞の中で動く「ヒ」一族を圧倒的スケールで描くSF伝奇ロマンの傑作。

    [ 目次 ]


    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 表紙のイラストを見た時には、一瞬読むのをやめようかと思ったが、諦めてしまわなくてよかった。
    章は戦国時代から始まり、以降、江戸、幕末、昭和と下っていく。
    中盤辺りまで読み進めるまでは、あまりに奇抜なごった煮感にいささか面喰らい気味だったが、終いまで読めば物語がきちんと一つの連環のなかに収まり、完結していることが分かり、カタルシスを得る。
    とにかくスケールの大きな着想によって描き切られた作品だ。
    歴史小説、伝奇物としての側面が、SFという輪郭で包まれているような。
    また、作品が発表された1973年という当時の時代性も強く映し込まれている。
    高度経済成長が終わりを迎えようとしており、その代償として、公害等の様々な問題も広く表面化していた頃。
    国外に目を転ずれば、宗教観の対立と石油利権争いに端を発する中東戦争はお馴染みとなり、また完全に泥沼化していたヴェトナム戦争から生まれた厭戦ムードが伝播して、ヒッピーに代表されるライフスタイルが若年層の間に沈殿しつつあったであろう。
    そういった時代背景も合わせてこの小説を懐古してみると、より理解は深まるのではないだろうか。

  • 好き。 〈ヒ〉一族は凄いねんけど、意外に呆気ないねんなぁ・・・。『仮面の忍者 赤影』的なんを想像してたんやけどなぁ・・・。 実在するのかどうか知らんけど「ヒ」に絡めた地名はオモロイ。希望としては卑弥呼まで遡って欲しかった。 教科書程度の有名な歴史上の人物を知ってて超古代文明とか好きな人にオススメ。 物語に関係無かったけど作中に登場する、名前に『東大寺』が隠れてる『蘭奢待(らんじゃたい)』を検索したら実在してたのでビックリ。 ここで『藤堂』を持ってきたか!と感動した。

  • 破天荒。痛快。戦国、幕末、昭和に関する基礎知識があれば楽しめます。
    文庫一冊に収まるのが残念な気もする。それくらい終わるのが惜しく感じられた。

  • 2012/08/28:歴史の裏で暗躍する特殊能力者一族の話。ツッコミ所は多々あるものの戦国時代からアポロ計画まで出てくるスケールの大きさに引き込まれました。

  • 確かこれも中学か高校の頃に読了。これがキッカケで日本史好きになったようなもの。

    明智の血縁関係とか、銀座線がなぜ日本で最初に作られたかというエピソードに感動し、友達に切々と説いていたっけ。馬鹿だったなあ。

    どれもこれもムチャクチャな話ではあるが、だからこそおもしろい。これを映画とかドラマ化したらたぶん台なし。

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著者プロフィール

1933年東京都生まれ。都立高校卒業後、紙問屋の店員、板前見習、バーテンダーなど様々な職業を経験した後、広告代理店に勤務。62年「SFマガジン」第2回SFコンテストに「収穫」が入選。71年初の単行本『およね平吉時穴道行』刊行。73年『産霊山秘録』で泉鏡花文学賞、75年「雨やどり」で直木賞、88年『岬一郎の抵抗』で日本SF大賞受賞。『石の血脈』『戦国自衛隊』『妖星伝』など著書多数。2002年逝去。

「2023年 『半村良“21世紀”セレクション1 不可触領域/軍靴の響き 【陰謀と政治】編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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