白い薔薇の淵まで (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 119
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087476262

感想・レビュー・書評

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  • 愚かな2人が狂おしいほどに求めあった果て。

    一緒にいてくれないなら、もう二度と会わないで。聞き分けが悪くて最高にわがままで憎たらしいほど愛おしい。なんて切実で悲しくてひたむきなんだろう。それに比べてなんて私は賢くて分別があって狡くて醜くて弱いんだろう。

    まともな考察とか感想とか思いつかない。自分の記憶と思い出と感情と綯交ぜになって叫びたくなる。

    こんな感情にさせてくれるから小説はいい。

  • この小説は未完成だと思う。
    完全に整ったタペストリーになる必要はないけれど、日記ではなくフィクションなのだから、ある程度は収束しなければ作品とは呼び難い。
    しかし、あるところは切りっぱなし、あるところは縫い目がガタガタという具合で、読み終えた後に中途で投げ出されたような感がある。
    にも関わらず、半日なり三日なり、時間を置いて思い返すと一つの強い稲妻に打たれたような印象を受けるのは、作品の根底に息づく著者の激しい感情は一貫しているからだろう。
    小説が未熟であっても(と言えど無論、卓越したものがあるのでこの言い方はおこがましすぎるが、この後の作品と比較してみてもやはり青さは否めない)、一つの武器となるものを書ける、それは小綺麗にまとまったものを書けるよりもずっと恐ろしいことではないだろうか。

  • 薔薇が咲いた。
    脳髄の裏側の白い薔薇が、ぱっと咲いた。


    この2行にしびれた。

    • hinasayoさん
      私もそこすごく好きです!

      でも、白い薔薇って、どういう意味なんでしょう?
      私もそこすごく好きです!

      でも、白い薔薇って、どういう意味なんでしょう?
      2012/08/01
    • 貴世さん
      hinasayoさん、コメントどうもです!同じ意見の人がいて嬉しいですよ^^

      どういう意味なんでしょうね。でもそんなに深い意味は無いよ...
      hinasayoさん、コメントどうもです!同じ意見の人がいて嬉しいですよ^^

      どういう意味なんでしょうね。でもそんなに深い意味は無いような気もします(笑)
      2012/08/12
  • 退廃的で、壮絶で、乱暴な愛の話。読んだ日のごはんに味がしなかった。これも破滅的。でも好き。

  • 間違った。これがセクシャリティーに気づいて初めて読んだ本だ。
    主人公の塁みたいに自由に生きたいと思った。ちょうど、塁は8歳上の女性に恋をしたんだけれど、当時自分もそうだった。そして、ノンケと言うことも、彼氏がいると言うことも…。愛し合っていたと言うことも…。結末はこの本とは違うけれど、すごく、思い出深い本です。

  •   一生に一度の快楽は、破滅へと向かっていく。

    読んでいて白い薔薇のトゲが無数に突き刺さってくるような作品です。
    二人の葛藤や激情がこちらにまで乗り移ってくるようで心が痛い。

    お互い傷つくくらいなら別れた方がいいのに、どうしても別れられない。
    狂おしいほどに愛しいからこそ傷つけ合い、その血だまりの中で抱き合って眠るような。
    女性同士の愛は脆くて儚く、そしてどうしようもなく美しい。

    同性愛に偏見をもたない方には是非読んでいただきたいです。

  • 昔の恋人を思い出しました、
    深く深く愛して
    すべきことや理性とか関係なく
    気持ちに正直に生きるのは
    失うものも多いけど心が求めてしまうのだと思う。

  • 大学生の時、図書館で予約してわざわざ借りたのに全然読まずに返した本。こんなタイミングで読むと思わなかった。今の私じゃ語彙力足りなくて語れないのくやぴいです。久しぶりに読みながらうなった!あとがき好き。会いたいなあ

  • 天才作家に出会ってしまった…………………………………………


    2023.4.1追記
    久しぶりに読み返したら新たなことに気づいて感動しつつ,脳みそ揺さぶられるみたいな感覚にまたまたなりました
    わたしの心臓ハガネすぎて普段全然ドキドキとかしないんだけどこれ読んでる時は16ビートきざんでる



  • エゴをぶつけ合う、身体を、心を求め合う。
    そんな姿があまりに醜くて、あまりに美しくて。
    涙が溢れて苦しかった。
    嫌いになれたらどんなに楽か。
    出会う前に戻れたらどんなに楽か…
    でもね、楽と幸せは違う。
    こんな醜い感情を私は愛しく思う。
    幸せってこういうことなのかもしれないって思う。
    誰かを想って泣いた夜がある全ての人にこの本を。

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著者プロフィール

1960年生まれ。早稲田大学卒。93年『猫背の王子』でデビュー。95年『天使の骨』で朝日新人文学賞、2001年『白い薔薇の淵まで』で山本周五郎賞を受賞。著書多数。

「2022年 『感情教育』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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