オテル モル (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087463064

感想・レビュー・書評

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  • オテルの設定だけでも興味をそそられる。
    眠りについての持論もハッとさせられる。
    加えて私生活は特殊で、ここでも引き込まれる。
    絵本のような柔らかな文章で、内容は個性的。
    不思議な感覚になるお話だ。

  • 表紙を見る限りのんびりとしたお話なのかと思いきや
    とんでもない波瀾万丈が起こっていた
    あっという間に読み終えるほど続きが気になり引き込まれる
    テレビ東京系ドラマ24でやってそうな物語でした、むしろやってほしい!!
    主演は永野芽郁ちゃんがいいな
    でも読み終えた日の夜悪夢みたの解せない

  • 地下13階まである地下ホテル「オテル・ド・モル・ドルモン・ビアン」は一見さんお断りの会員制ビジネスホテルで、良質な睡眠のみを提供している。そこに就職した主人公のお話。
    不思議なホテルは夢を見ているようで、逆に主人公は物凄く現実を生きていて、現実と非現実が混じり合ってとても面白かった。このホテルで良質な睡眠を取ってみたいものだ。

  • 再読。10年以上前かなあ。
    あらすじ
    私はホテルに就職する。23歳。双子の妹の夫、その娘と同居中。夫は私の元彼。妹は病弱で、両親の関心事で、中学生から薬物中毒で、彼氏を奪って妊娠した。就職したホテルは睡眠専用、完全会員制。地下13階。音を立てない、匂いはさせない、お金の匂いも嫌だから支払いはクレジットで。稼働率9割で、各お客様の細かいデータを取っている、睡眠の。初めのころ、眠気を覚ますためにロックで踊っていたら、お客様の睡眠に影響したようだ。

     記憶より生々しい作品だったな。現実にはない、不思議ホテルの静かな物語かと覚えていたら、とんでもない毒妹に影響される若い娘の話であった。最後は妹をホテルに泊まらせてあげたり…って多分縁はきれないだろうなーとモヤモヤした。ホテルの雰囲気はすごく好き。

  • 不思議な世界
    眠れるオテル 地下にあるオテルは全体的に真っ暗でエレベーターが部屋につくまで数十分かかる。
    なんとなくゾワっとする。
    でも必ず眠れるオテル。
    希里が勤務初日のころはひたすら眠くなり家に帰っても睡魔に足を引きずられてとことん寝ている
    ここでもなんとなくゾワっと

    ただ全体的には波の音が聞こえてきそうなくらい穏やかな雰囲気。
    希里の双子の妹との関係が壊れずいるのも希里のおかげかな。

  • めっちゃ眠くなる笑いい意味で。同じ場面で眠った時はびっくりした!
    しかも眠くなる時のあのぞわぞわする足元から何も言えないなにかが侵食していって、明日は休みだと自分でわかっていたなら喜んで足元からゾワゾワと蝕まれる表現がたまらなく好きだった。
    地下のオテルでよりいい睡眠を求める人々が集う話。登場人物が全てぼやけて頼りなく感じた。この本自体が夢の中にいるかのような本だった。一度体験してみてほしい

  • 「オテル・ド・モル・ドルモン・ビアン」
    通称オテルモル
    地下13階建の完全会員制契約型のビジネスホテル
    最高の眠りと最良の夢を提供するためのホテル

    そこで働く事になった主人公希里。
    問題ある双子の妹を持ち、
    両親は妹の看病の為に病院につきっきりで、
    今はその妹の子供と旦那さんとの3人暮らし。
    旦那さんは高校の時の元彼氏で、妹に寝取られた。

    これだけの要素があったら、普通は私は悲劇の主人公よ
    とでも言うべくひたりきった文章を書く作家が多い中、
    この人は本当にあっさりとたんたんと書く。
    悲しい事も否定しないで受け入れるしかないんだよって感じに。
    全くもって悲しい話ではなく、明るい話に書く。
    それも無理やりでなく自然な感じに書く。
    そこがすごい、そしてそこが好き。
    この人のほかの本でもそうだったなぁ。

    本の内容もオテルモルの主旨も建築の仕方も
    お客様の個性も客室係外山さんの精神も
    どれも好ましく面白かった。

    もう一度読み返したくなる本です。
    ただ今後どうなるかが少しもやっとしていた
    ので星4つ!!

  • ”音楽で耳を塞がれていると安心する。音だけの世界は静かなのだ”
    20代で私もこの経験をした。
    爆音で音楽を聞いていたかったのは、静かな世界にいたかったからだ。
    外の世界と切り離した場所へ行きたかったからだ。
    うっすら気付いていたはずだけど、はっきり気付くのに随分時間がかかった。

    ”人は暗闇の中では熟睡できません。かえって興奮するのです”

    この小説はゆーるりと眠気を誘ってくれる。
    退屈で眠くなるのではない、眠りに誘ってくれるのだ。

  • 都会のビルの隙間の地下に、その謎のホテルはあった。


    『オテル・モル』 栗田有起 (集英社文庫)


    “最高の眠りと最良の夢を提供する”完全会員制の睡眠ホテル「オテル・ド・モル・ドルモン・ビアン」。
    なんと地下13階建て。

    そこで働き始めた「希里」は、お客様の眠りを誘う“催眠顔”なのだという。
    チェックインは日没後、チェックアウトは日の出前。
    窓はなく、真っ暗で、灯りはろうそく。

    「悪夢は悪魔」というポスターが貼ってあったり、エレベーターの上り下りが極端にゆっくりだったり、何だか夢の世界に入り込んだような気分で、この物語、私はすっかりファンタジーだと思っていた。
    でも違いましたねー。

    ホテルと自宅の場面が交互に描かれ、その中に希里自身が過去を回想する場面が時折挟み込まれるのだが、希里の家庭の複雑さがもう半端じゃない。
    希里は、姪(妹の子供)とその父親(妹の夫)と三人で暮らしている。
    双子の妹の「沙衣」は、薬物中毒の治療のためリハビリ施設に入っており、両親は沙衣に付きっきりなのだ。
    しかも、沙衣の夫は実は希里の昔の恋人で、妹に寝取られたってんだからびっくり。
    そして、沙衣にクスリを教えた男も自らオーバードーズで死んでいたりして、どっひゃあー。

    そういう重い話なのかぁ……
    と思ったのだが…
    またそれも違った。

    まあそんなふうに作者にいろいろと揺さぶりをかけられるけれども、往々にして肩の力を抜いて読んだほうがいいと思います。
    そして、ついでにこれも言っときたい。
    表紙カバー裏のあらすじに、沙衣の退院の直後「事件は起きてしまう」、と書かれていたので、私は沙衣が希里のホテルに泊まって何か大きな事件を起こすのだとばかり思って覚悟して読んでいたんだけど…

    出版社の人、もうちょっと書き方を考えてほしいなぁ。


    さて、複雑な事情がありながらも、物語自体はハッピーな終わり方をする。
    といっても一件落着のハッピーエンドじゃなくて、特に何も起こらなくて何となくよかったなぁというハッピーだ。
    そのハッピーの真ん中にオテル・ド・モル・ドルモン・ビアンがある。
    希里の妙に元気な前向きさが、ホテルの内と外を繋いでいる。

    お客様に最高の眠りを提供するために人生を捧げている外山さんの、ちょっと滑稽なほどの真面目さ。
    そして、希里の家庭の事情には何の関係もないけれども、ここでぐっすり眠って気持ちよく帰っていくお客さんたちの表情が明日への希望を感じさせる。

    沙衣の娘・美亜ちゃんの素直さとか、沙衣を取り巻く家族の優しさ、そして何より、道を踏み外しあんなに周りに迷惑をかけまくっている沙衣が、まったく悪者的な描かれ方をされていなくて、それどころか皆にめちゃくちゃ愛されているという、そういうところがそのままこの物語全体の雰囲気になっている気がする。
    吉本ばななの「TUGUMI」の主人公を思い出した。

    薬物依存のこととか、ホテルのお客さんがストレスがかかると別人格になったりすることとか、メンタル的なことをちょっとだけつまみ食いしている感じは気になるが、別にそれがテーマではないので、これはこれでいいのだろう。

    ホテルの備品に一つ一つ素材を表示するプレート(「牛革」とか)が付いていたり、空調が共有なので、フロントにいる希里の気分がお客さんの眠りに影響する、というのも変で面白かった。
    ホテルでは耳に綿が詰まったように音が聞こえにくい、というのもリアルでいいし。

    この物語は、辻褄を無理に合わせようとすると途端に色あせてしまうような、微妙なバランスの上に成り立っている。
    その危うい雰囲気をいっそ楽しんでしまうのがいいんじゃないかなと私は思います。

    夢の中のようにふわふわとした不思議な読後感でした。

  • 雰囲気が好き。
    希理の回想が辛い。けど全体的にゆるく流れていく様な感じであまり気にならない。
    何気ない会話が面白かった。
    お客様を想って一生懸命働く希理を見て自分も接客頑張ろうと思った。

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著者プロフィール

直木賞を受賞した恋愛文学の旗手から、早熟の天才少女作家まで。いま、もっとも切実な恋を描く6人の女性。

「2008年 『コイノカオリ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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