サグラダ・ファミリア [聖家族] (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 36
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087462241

感想・レビュー・書評

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  • 「新しい家族のかたちを描く」というコピーがとても印象に残っている。
    どんな家族がいてもいい。どんな形でも家族になれる。
    祈りのような作品だと思います。

  • なかなか読む機会がなかった著者の代表作の1つ。ご存知の方は今更ではあるが独特(レズビアンを中心とした) の恋愛小説が主流。表現が美しくかつ懐かしさを感じる筆致。話しの展開が急すぎるきらいはあるものの読者をあきさせない物語。

  • 新しいかたちの家族を描いた作品ですが、前半の恋愛部分がなかなかに強烈。
    癇の強い子供も、読んでいるだけで疲れちゃいました。
    精神状態や暮らしぶり、心の声や考え方などの“在り方”が上手く書かれているので
    ポイントであろう女性同士の恋愛や家族云々より、主人公の響子そのものの姿が印象的でした。

  • 自暴自棄から立ち直っての復活コンサートという流れは感動的だが、直後の大喧嘩に唖然。「余韻ってものがあなたにはわからないの?」ほんとそれ。
    他にもそういう流れが多いのは、読者の気持ちを掻き回すにはもってこいのやり口なんだろうけど、私には合わない。性描写の多さや登場人物の放蕩ぶりもちょっと引く。

    そういう人達の偽装結婚って結構メジャーなことだと思ってたけどそうでもないのかな。

  • レズビアンの話でした。この著者はよく書かれているようです。
    そんなに抵抗なく最後まで読めた。

  • 恋愛小説は苦手だし、ピアニストとジャーナリストとの女性同士の恋愛なんて、どこからとっかかったらよいのやら…。

    恋愛パートが苦手なのは、世界はふたりだけのものだから。
    あー、はいはい。ようござんしたね。
    とか思って、そそそ…と気持ちが後ずさる。

    2歳になる桐人を残して透子が死んでから、子ども嫌いな響子が不器用ながらも桐人のことを気にかけるようになり、行方不明になっている桐人の父親の元恋人・母性本能の塊のような照ちゃん(♂)や、面倒見の良い透子の従弟・弘くんと出会い、響子の心が周囲に開かれていく辺りから、響子の心の動きにつれて物語が動き出す。

    響子のパトロンである梅ばあ。
    金がある時もない時も、芯のある生きざまを貫く。
    今は余命いくばくもない状態で入院中であるのに、響子の復活リサイタルの時には真っ赤なバラの花束を贈り、タキシードをビシッと決めて会場に姿を見せる。
    弱音を吐かずに、格好いいところだけを見せようとするダンディズム。
    死に臨むときも。
    私にできない生き方だけど、格好いいなあと思った。

    透子の死を理解できない桐人。
    理解は出来なくても、母の不在を感じている。
    元々癇の強い子が、親戚の間をたらいまわしにされて、言葉にできない不安や寂しさを周囲にぶつけてはもて余され、ある日行方不明になる。
    母とよく行っていた公園の隅にある木の根元。大切にしていた昆虫の死骸や、壊れてしまったおもちゃなどを埋めていた場所。そこで桐人は見つかった。

    “わたしたちが走りに走って行ってみたとき、果して桐人はその木の根元にうつぶせにもたれかかり、ほとんど木を抱きしめるような格好ですうすうと寝息を立てていた。両手に小石をいっぱい握りしめ、睫毛の先には涙のあとがこびりついていた。”

    この部分を読んでいたら、なぜかしら涙が出てきて困った。
    小さな桐人が目に見えるようだったから。
    職場読書でのこんなトラップは、本当に困るんだよなあ。

  • この本はレズが題材だと聞いてちょっと身構えて読んだのですが、そんなことは杞憂でした。恋愛小説でもあり家族の小説でもありました。とても悲しい話なのに、胸が熱くなってあたたかくなりました。梅ばあがコンサート見にくるところでは、思わず涙ぐみました。梅ばあの惜しみない愛が重くてけれどとても幸福なことで、かっこよすぎました。みなしごの桐人くんのおかげで、響子は立ち直ることができ、いい意味で音楽も変わって、そういう変化は悲しいけれど、うれしいことだろうなぁと思いました。中山先生の言葉遣いがとても好きです。あと、名言がたくさん出て、同じく励まされました。

  • 150918

  • 梅ばあかっけー。
    いろんな愛と家族の形。
    時々、小説を読んでいると不安にかられる(他のしないといけないことをしなくて良いのか…!みたいな。)のだけど、中山さんと西加奈子さんの本を読んでいるときは不安も感じずどっぷり読める。基本、一気読み。何でかなー

  • この本、いくつもの名文句や名シーンが出てきます。
    恋人の死により残された幼い子供が、泣く響子の頭を撫で「イイコ、イイコ」と言って慰める。
    一念発起して臨んだコンサートを満足できる結果で終えた後の「無限に触れた」...。
    それぞれ同性愛者の響子と照光、血のつながらない桐人。
    性愛や血縁に縛られることのない、異質で神聖な家族が形成される過程を描いています。
    何と言っても"男前な"響子の人間性が魅力的でした。

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著者プロフィール

1960年生まれ。早稲田大学卒。93年『猫背の王子』でデビュー。95年『天使の骨』で朝日新人文学賞、2001年『白い薔薇の淵まで』で山本周五郎賞を受賞。著書多数。

「2022年 『感情教育』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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